「無知を許さず」
~ 連続大量差別はがき事件 ~

浦本誉至史
うらもとよしふみ

人権・平和

浦本誉至史
うらもとよしふみ

元 東京部落解放研究所研究員
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提供する価値・伝えたい事

被害に遭った、連続・大量差別はがき事件のエピソードを中心にお話を致します。

内 容

ある日家に帰ったら郵便受けにはがきが入っていた。酷い内容であることもショックだったが、一体どうして私にこのようなはがきが届くのか?何故私の住所を知っているのか?そして何故私が部落出身であることを知っているのか?全く謎だった。毎日のように送られてくる身に覚えのない差別はがき、犯行はさらにエスカレートいく。注文していな商品が代引きで大量に届く。近隣住民に差別する内容のチラシが配布される。
悪質ないやがらせが約1年半続いた後、犯人が逮捕された。
 犯人は都内在住の男。大学卒業後就職が決まらずストレスが溜まっている中、たまたま図書館で手にした被差別部落に関する書籍がきっかけでターゲットにしたとのこと。「被差別部落については詳しくは知らなかったが、なんとなく部落民は自分より下という認識があった。自分とは全く無関係の被差別部落を徹底的に差別することで、ストレス解消しようと思った。浦本さんに個人的な恨みがあったわけでなない。たまたまだ」。そのようなことを犯人は供述した。

 犯人が逮捕されたことで事件が解決したと思われたが、そうではなかった。事件が明るみに出たことで、今度はインターネットの掲示板で私を糾弾するサイトが出来た。それは今も続いてる。私のことも知らない人たちが、憂さ晴らしのために、ネット上で私を叩いている。こんな社会おかしくないですか・・?人は何故差別をするのでしょうか?

「それは相手を知らないから」 無知が差別を生むのです。

差別を受けた当事者として体験をお話し、他人ごとではなく自分や周りにも起こる可能性があるということを知っていただきたい。

<連続・大量差別はがき事件とは>
2003年5月から、都内を中心に被差別部落出身者・部落解放同盟同盟員等やその自宅周辺に、悪質な差別ハガキ・手紙・物品が送りつけられる事件が起こっています。その総数は、400件以上、被害者は数十人になっています。
2004年10月19日、警視庁浅草警察署はこの事件の容疑者を逮捕、容疑者は都内に住む34才の青年でした。同年10月26日東京法務局が「人権侵犯事件」として告発し、さらに11月8日、東京地検は容疑者を起訴しました。12月24日、東京地裁で第1回公判が開かれ、被告は「部落差別の意図を持って一連の犯行を行った」と、犯行の事実を認めました。2005年7月1日、東京地方裁判所刑事第7部は、被告に対して「懲役2年」の実刑判決を出しました。
(*部落解放同盟東京都連合会HPより)

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