コロナ禍で一気に普及したオンライン講演(ウェビナー)。参加者が好きな場所から参加でき、開催費用や移動時間を削減できるため、取り入れる企業や団体が増えています。
そんなオンライン講演とはどのようなものなのか、その定義ややり方、料金などを徹底解説いたします。
オンライン講演とは?
オンライン講演とは、オンライン上で行う講演会を指します。従来型の講演では、参加者や講師が一堂に会し、対面で行っていました。一方で、オンライン講演では、ZoomやMicrosoft Teamsなどの配信ツールを用い、参加者や講師が別の拠点からオンラインで参加します。参加者はPCやスマートフォン、タブレットを使って参加し、講師はPCやwebカメラ、マイクを用い、講演風景を配信します。
オンライン講演にはメリットも多く、利用者数も増えています。
そんなオンライン講演(セミナー)ですが、同じようなもののなかにウェビナーやwebセミナーといった名称のものがあります。
次の章ではオンライン講演とウェビナー、webセミナーとの違いについて解説します。
ウェビナー、webセミナーとの違い
ウェビナーはwebセミナーから作られた造語で、この2つの言葉は同し意味として使用されます。
一方、オンライン講演ですが、実はこの2つの言葉と明確な違いがあるわけではありません。使用するツールによって名称が変わったり、実施する企業によって異なったりするのです。ただし、一般的にオンライン講演は、教育や研修の講演やセミナーをさす意味合いでよく使用されています。
それに対し、ウェビナー・webセミナーには企業の集客セミナーの意味も含まれています。
また、web会議ツールのZoomのオンラインセミナー用ツール「Zoomビデオウェビナー」を「ウェビナー」と指すこともあります。
オンライン講演のメリットとデメリット
オンライン講演には、従来型のリアル講演と同じようにメリットとデメリットがあります。
主催者側・聴講者側、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
主催者側のメリット・デメリット
【メリット】
・通常(リアル)開催に比べ、国内外場所に制限されることなく多くの参加者を集めることができる。
・コロナ禍において3密回避が可能。
・録画したものは、後から編集が可能。
・通常開催にかかるような会場費や講師の旅費、資料の印刷など会場運営に関するコストをカットできる。
・オンラインではライブ配信ツールなどによりチャットやアンケート機能を使ってより聴講者の声を拾うことができ、聴講者との距離が近くなる。
【デメリット】
・通信トラブルなどで講演が中断してしまうことがある。
・聴講者のリアクションがわかりづらい。
・聴講者同士の親睦を深めづらい。
通常(リアル)開催の講演に比べてより多くの人が聴講可能になるオンライン講演は、大きな会場を必要とせず低コストで開催することができます。
配信中に通信トラブルが起こる可能性もありますが、オンデマンド配信などを行うことで、聴講している人をフォローすることも可能です。
聴講者側のメリット・デメリット
【メリット】
・自分の都合の良い時間と場所で聴講が可能。
・会場に足を運ぶための時間や交通費がかからない。
・オンデマンド配信ならば自分のペースで何度も繰り返して視聴することができる。
・チャット機能や質疑応答機能などで、通常開催よりも気楽に質問ができる。
・目の前の画面で講師が見えるため、リアルよりも親近感がわきやすい
【デメリット】
・インターネット環境が整っていないと聴講できない。
・自由な環境で受けられる反面、集中力を保ちにくい。
聴講する人は遠くの会場に足を運ぶ必要がなく、交通費の削減ができたり、移動時間を節約したりことができます。
インターネット環境を整える必要はありますが、特別なものが必要なわけではなく、普段使っているスマートフォンやPCなどで聴講できます。
オンライン講演の開催方法
オンライン講演の開催方法は、配信方式とその目的によって以下のように分かれます。この開催方法によって必要なものや配信用のツール(アプリ)が変わりますので、それぞれの特長を比較検討ください。次の章で、配信方式別と目的別の特長、メリット、注意点などを解説します。
1.配信方式別の開催方法
1-1.ライブ配信
ライブ配信はあらかじめ決められた日時にリアルタイムで配信する方法です。そのため、講演中に講師と聴講者同士がその場で質疑応答できる機能やチャット機能を用いてコミュニケーションをとれることが大きな特徴です。
A.個別視聴型
講師も聴講者も異なる場所からオンライン上で参加できる方法です。
✅メリット
- 講師や聴講者はどこからでも参加できる。
- 遠方の講師も呼ぶことができる。
- 一度に300人以上の大人数も参加可能。
- 会場費・設営費用や講師の旅費などをコストや移動時間を抑えられる。
✅注意点
- 講師に聴講者の反応が伝わりづらい。
- 聴講者のweb会議の経験が少ないとトラブル時の対応が難しい。
✅こんな方におすすめ
- テレワーク下で、各自が自宅から参加できる研修を企画したい方。
- 三密を避け開催したい方。
- 週末開催で、各自自宅からの参加を想定されたオンラインレクリエーションを開催したい方。
B.会場視聴型
講師は自宅や自身の事務所、スタジオなどでライブ配信を行い、聴講者は一つまたは複数の会場に集まって聴講する方法です。
✅メリット
- 遠方の講師も呼ぶことができる。
- 複数の聴講者が同じ場所にいるため、リアル開催のような臨場感が味わえる。
✅注意点
- リアル会場では感染対策をとる必要がある
- リアルとオンラインのハイブリット開催になるため、二重のコストと労力が必要。
✅こんな方におすすめ
- 親睦を兼ねた管理職・リーダー層向けの研修を実施したい方。
- 地方開催であるが、感染防止の観点から講師の県をまたいだ移動は避けたい方。
C.会場中継型
講師が主催者指定の会場に赴き、少人数の聴講者の前で講演を行い、それをオンライン参加者に向けて中継を行う方法です。
✅メリット
- 通常の大人数開催に比べ、参加人数を少なく設定するため、3密を避けた開催が可能。
- 小規模ながらもリアル開催となるため、講師にとって聴講者の反応がわかりやすい。
- その場での質疑応答が可能。
✅注意点
- 参加人数を会場の収容人数の半分以下に設定などソーシャルディスタンス対策が必要。
- リアルとオンラインのハイブリット開催になるため、二重のコストと労力が必要。
- オンライン参加者に臨場感を伝える工夫が必要。
✅こんな方におすすめ
- 現場でのグループワークのある新人研修を行いたい方。
- 親睦を兼ねた安全大会や新春大会を開きたい方。
1-2.オンデマンド配信型
オンデマンド配信とは事前に講演やセミナーを収録、編集を行い後日配信する方法です。そのため、ライブ配信と違い、聴講者は時間や場所を選ばず、繰り返し動画を視聴できます。
A.事前収録型
講師が事前にスタジオや自身のオフィスなどで講演の様子を撮影し、後日Youtubeなどの動画サイトで制限をかけた形で配信する方法です。
✅メリット
- 撮り直しができるため、配信トラブルを回避できる。
- 参加者の人数制限なしに配信できる。
- 記録として残すことができる。
- 聴講者はいつでも好きな時に見れる。
- 繰り返し再生でき、反復学習が可能。
✅注意点
- その場で質疑応答ができないため、受講後のフォローがしづらい。
- 単調になりやすいので、効果音や映像などを入れて動画にメリハリをつける必要がある。
- 編集の手間がかかる。
- 撮影には事前に講師の許可が必要。
✅こんな方におすすめ
- 多数の市民が参加する市民講座を開きたい方。
- 複数回シリーズがある講座・講習を開きたい方。
- Zoomなどの配信ツールに慣れていない聴講者が多数参加するセミナー開く方。
B.ライブ配信収録型
ライブ配信した動画を録画し、後日制限付きで聴講者に配信する方法です。
✅メリット
- ライブ配信の臨場感はそのままに、聴講者に動画を配信できる。
- 当日参加できなかった人も後日好きな時間と場所で見ることができる。
- 記録として残すことができる。
- 繰り返し再生でき、反復学習が可能。
✅注意点
- オンデマンドの視聴者は質疑応答ができないため、受講後のフォローがしづらい。
- 単調になりやすいので、効果音や映像などを入れて動画にメリハリをつける必要がある。
- 動画する際は社外に流入しないような安全対策(パスワード付、期限付きなど)が必要。
- 撮影には事前に講師の許可が必要。
✅こんな方におすすめ
- 聴講者の勤務時間がさまざまで時間が合わせられない方。
- ライブ配信したものを再度聴講者に反復学習させたい方。
- 講演に参加した部署以外の部署にも動画を共有したい方。
2.目的別の開催方法
目的別の開催方法として、講義型などの一方向型、グループワークやディスカッションなどの双方向型の2種類があります。
2-1.一方向型
講師が一方向で聴講者に知識やスキルを伝えるもので、画面は講師と共有資料が表示されます。講師とのやりとりは基本チャットのみで、音声は行いません。
▽事例
100人以上の講義やセミナーなど
2-2.双方向型
講師と参加者が音声やカメラを通じて双方向のやり取りが生じるもので、質疑応答やチャット、グループワーク機能などを使います。
▽事例
100人以下の研修やディスカッションなど
事例別の開催方法
オンライン講演の過去の事例ではどんな開催方法が選ばれたのか、いくつかご紹介します。
〇〇フェアなど官公庁主催のセミナー ・一方向型 ・ライブ配信 A.個別視聴型 |
ワークのある社員・教職員研修 ・双方向型 ・ライブ配信 A.個別視聴型 B.会場視聴型 |
マナー講座などの研修動画 ・一方向型 ・オンデマンド配信 A.事前録画型 |
組合員家族向けのオンラインレクリエーション ・双方向型 ・ライブ配信 A.個別視聴型 |
ハイブリット型安全大会 ・双方向型 ・ライブ配信 C.会場中継型 |
講師と一部の参加者が集まった展示会 ・双方向型 ・ライブ配信 C.会場中継型 |
一部の会社幹部が集まった新春総会 ・一方向型 ・ライブ配信 B.会場視聴型 |
官公庁主催の市民講座(ライブ+事後公開) ・一方向型 ・オンデマンド配信 B.ライブ配信録画型 |
全国支部の組合員のための意識向上セミナー ・双方向型 ・ライブ配信 B.会場視聴型 |
開催方法別おすすめの配信ツール・サイト
講演を撮影し、聴講者に映像を送信するライブ配信用ツール(アプリ)は、開催方法別に①一方向型、➁双方向型の2つの分けられます。さらにオンデマンド配信をする場合は、YouTubeなどの動画配信サイトも必要になります。
①一方向型ツール
講師と聴講者のビデオ通信なしで100名以上の大規模ウェビナーを前提とし、「ウェビナーツール」と呼ばれています。
【例】Zoomビデオウェビナー、V-CUBE セミナー、Microsoft teamsウェビナー、JストリームEquipmedia など
➁双方向型ツール
講師と聴講者のビデオ通信を前提とし、小グループに分けて作業できるグループワーク機能、共有した資料に書き込めるホワイトボード機能など双方間のコミュニケーション機能が充実した「web会議ツール」。
【例】Zoomミーテイング、Google Meet、Microsoft team など
③オンデマンド配信サイト
一方向型や双方向型のライブ配信ツールなどを使って収録した後、インターネット上にアップし、YouTube等限定公開できる動画配信サイト
【例】You Tube、Vimeo など
オンライン配信するのに必要なもの
講演をオンライン配信を行うためには必要になる機材やツールがあります。
どのようなものを準備すれば配信がスタートできるのか、またそれらの費用をご紹介します。
<主催者側に必要なもの>
- カメラ付きPC…プロセッサーはCore i7相当、メモリ8GB以上相当のスペック、内蔵カメラは120万画素以上はほしいところです。
- 高速インターネット…1080pHDビデオを使用する場合の推奨速度は2.5~3.0Mbps程度です。
- 配信ツール…Zoomなど、最新版のアプリを事前にダウンロードしておきましょう。
- マイク…周囲の雑音を拾わないために、単一指向性のものを選ぶとよいでしょう。
- カメラ…PCの内臓カメラはあまり映像が鮮明ではないため、200万画素以上の外付けのwebカメラまたは一眼レフカメラの使用をおすすめしています。
- ライト…講師の顔を明るく映し出すためのライトです。蛍光灯やLEDがおすすめ。
- モニター…講師が聴講者の顔を見るためのモニターです。カメラの後ろに置き、講師の目線で高さを調節します。
<聴講者側に必要なもの>
- 配信を見るためのツール…ツール対応のブラウザやアプリなど)
- 視聴デバイス…PCやタブレット、スマホなど
- インターネット環境
このように、オンライン講演のために用意しなければならないものはそれほど多くありません。
会場についても、普段使用している会議室や講師の自宅などで問題はなく、負担が少なくスタートすることができます。
4-1.オンライン講演でかかる料金の目安
ここでは、オンライン講演(100人規模・2時間講演)でかかる費用の概算をお伝えします。
講演規模や講師の有名度、会場によっても料金は流動するので、あくまでも目安としてお考えください。
内容 | 料金の目安 |
配信用のウェビナーツール | 月額5,000~30,000円 |
講師の謝礼代 | 10万円~(講師による) |
弊社おすすめのタイプAとBの場合会場費 | 10~20万円 |
コロナ禍や自然災害などで移動制限があった場合や全国に参加者がいる場合など、参加しやすいシステムであるオンライン講演をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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