新人研修担当者が研修開始前に準備する必要がある資料。
何から手を付けてよいかわからないものです。
そんな場合には、ネットで公開されている無料のテンプレートや大手企業が用意した過去の資料を利用するのもおすすめです。
そこで今回は、無料のテンプレートを使った資料の作り方とポイントをご紹介します。
新人研修における資料の必要性
新人研修資料の作成には時間がかかるため、できるだけ簡素に作りたいという人もいるでしょう。しかし、わかりやすい資料は研修を受ける人にとって必要不可欠なもの。資料の必要性を以下で詳しく見ていきます。
耳から入る情報を視覚的からも理解するため
新人研修では、スクール形式で講師の話を聞く座学スタイルの時間も多くなります。
そんなとき、口頭説明の情報を聞くだけで記憶するには限界があります。あるいは聞いたことをメモするのに必死になり、肝心の内容が頭に残らない、という事態も起こり得ます。
そこで、話の要点がまとめられた資料が必要です。視覚から文字情報を補うと、新人も「今、何について学んでいるか」をより的確に把握できるようになるでしょう。
またグラフやチャートがあると、述べられている内容が裏付けられ話の説得力が増します。さらに写真やイラストが挿入されていれば、より一層話の内容を具体的にイメージでき、受講者の頭にも残りやすくなります。
資料は研修を振り返るためのレジュメになる
また、研修資料は、研修終了後、受講生が後から復習するためのレジュメにもなります。受講生が書き込めるスペースを作り、自分だけのレジュメとしてアレンジできるようにしておくとよいでしょう。
さらに新人研修資料は、一度作っておけば次年度以降はそれをアレンジして再活用が可能です。毎回ゼロから作り直す必要はありません。
ぱっと見てわかる、記憶に残る資料の作り方
それでは資料はどのように作成すれば良いのでしょうか。6つのステップで説明しましょう。
Step.1 研修のスケジュールと目的を確認する
まずは研修スケジュールを確認し「いつまでに」「どれくらいの分量の」資料作成が必要なのかをざっと見積もります。
そのうえで新入社員に対し「どのような知識やスキルを身に付けて、どのように行動する人になってほしいか」という目的を明確化しましょう。
目指すゴールをはっきりさせることで、資料に必要な情報を厳選できます。
Step.2 研修カリキュラムや内容に沿って資料を構成する
その次は、研修カリキュラムや内容に沿った構成案を作成しましょう。
いきなり資料の本編から作り始めると、後付けで「あれも、これも」と追加したい要素が増え、何を示したいのかわからなくなるおそれがあります。
研修資料は、受講者が研修全体の流れを一目で把握できるものであることが第一です。また1ページにつき1つだけメッセージを伝えるように構成すると、受講者にも分かりやすくなるだけでなく、作成中の編集も容易になります。
Step.3 スライドのレイアウトや、デザインの方向性を決める
続いてレイアウトなどを決定します。同時に基本的なデザインの方向性も明らかにしておきましょう。
例えば、大見出しの色や大きさを定めておくと、読んだ人が話を聞きながら「今はこの項目について説明を受けているんだな」と理解しやすくなります。
図表の配置方法にも一定の規則性を持たせておくと、口頭でいちいち「3ページ目の右下にあるグラフを見てください」などと、細かな掲載場所の説明までしなくても済みます。
さらに見やすさの点で、ベースカラーを3色程度に絞っておくのがおすすめです。
なおこのステップで、配布されているテンプレートを活用すると大幅に手間が省けます。
Step.4 構成とレイアウトにしたがって中身を作成する
構成とレイアウトが決まったら、いよいよ本編のページ作成を始めましょう。
各ページで最も伝えたいことを見出しに記載し、その理由や図表などをページ内に追加してください。
作成しながらときどきステップ1の目的に照らし合わせて、ページを入れ替えてみるなどの試行錯誤を重ねてみても良いでしょう。
Step.5 上司や同僚にもチェックしてもらい完成させる
完成まで担当者1人だけで作業するのではなく、完成前に上司や同僚にもチェックしてもらうのも重要です。
誤字脱字、不適切な表現、情報の過不足などへの指摘をもらい、調整してください。自分では気づけないことはよくあるため、必ず第三者が目を通すことをおすすめします。
納得いくまで推敲を繰り返して、精度の高い資料を完成させましょう。
資料作成は無料のテンプレートを活用
新人研修の研修資料を一から作る作業はとても大変です。
そこで活用していただきたいのが、一般に公開されている無料のテンプレートです。
いろいろなサイトでダウンロード可能な資料が用意されていますが、ここではその代表的なサイトを紹介します。
【HRpro】は2007年10月にサービスを開始した日本最大級の人事ポータルメディア。
採用から教育・研修、労務管理、人事戦略まで、人事向けマッチングプラットフォームです。
このサイトでは、人事・労務、採用に関する資料のほか、人材育成・研修に関する資料をダウンロードすることができます。
ダウンロード方法は以下の通りです。
- 会員登録を行う
- 資料ダウンロードから『人材育成・研修』を選択
- 気になる資料の『詳細を見る』をクリック
- 『資料ダウンロード』をクリック
➁日本最大のHRネットワーク『日本の人事部』
採用、育成、労務管理、組織開発、働き方改革など、さまざまな人事課題を抱えるビジネスパーソン向けの人事総合メディア。ニュースや人事Q&A、HRイベント、HRソリューションなど、幅広い情報を提供しています。
セミナー検索や人事のQ&Aコーナーがあるほか、研修資料のダウンロードができます。
ダウンロード方法は以下の通り。
- 会員登録を行う
- 『資料・書式例文』をクリック
- 気になる資料の『この資料をダウンロードする』をクリック
③ビジネス書類がダウンロードできる『テンプレートBANK』
ビジネスで使える取引文書や契約書、送付状、伝票、そして名刺、のし紙、POP等のテンプレート、商用利用可能なイラスト・写真素材を無料で提供するサイト。
新人研修資料などビジネスシーンで使用する各種テンプレートをダウンロードできます。
ダウンロード方法は以下の通り。
- 会員登録を行う
- 『ビジネス書類を探す』の『社員教育・研修』をクリック
- 気になる資料をクリック
- 『選んでダウンロードする』をクリック
これらの資料以外にも、大手企業は自社の新人研修資料を自身の公式サイトで公開しているケースもあります。サーチエンジンに、ご自身の「業種」と「新人研修資料」と入力して検索すれば、過去の資料が数多くヒットします。それを資料作成の参考にしてみるもよいでしょう。
資料を作成するためのポイント
新人研修の資料を作成するにはいくつか抑えておいていただきたいポイントがあります。
書き込めるスペースを設けたり、内容を詰め込みすぎないようにしたりするなど、その理由も併せてご紹介します。
書き込めるスペースを設ける
研修資料には受講生が書き込めるスペースを設けるようにしましょう。これは研修後、新入社員が自分の言葉で補足説明を記入したり、講師から指示されたことを書き込んだりするためです。
また、研修中に、クイズなどを出して自分で書き込みを行う機会を与えることで、受講生が受け身になりすぎずに取り組むことができます。
内容を詰め込みすぎない
内容を詰め込みすぎないようにすることもポイントのひとつです。
詰め込みすぎると新人社員は細かいところにまで理解が及ばずに、計画した目標に到達することが困難となってしまいます。また、内容が理解できないと、研修に参加する意欲を削いでしまいかねません。
図や表、イラスト、画像などグラフィックを使い、フッダーヘッダーや段落間は余白を開けるようにして、余裕のあるレイアウトにするとよいでしょう。また、難しい言葉や専門用語には脚注を入れてあげるとより親切です。
要点やポイントを絞って見やすく
要点やポイントはできる限り絞って見やすくします。
文字がたくさん並んでいると、大切なポイントがどこであるのかがわからなかったり、人によって重要だと感じるポイントが異なったりしてしまいます。
資料を読むことに集中してしまい、内容が入ってこないという人もいます。
重要なポイントは、色やハイライト、大きくなるなどで強調し、何かを解説する時は文字でだらだらと解説するより要点を箇条書きで書くのがおすすめです。
実践的な内容も盛り込む
座学や講義型だけでは集中力が続かないという人もいます。そのため、ロールプレイングやディスカッション、グループワークなどの時間を設け、それを資料に取り入れてもよいでしょう。
例えば、ある商品をPRするというグループワークを設定します。その際は、資料に、企画書のテンプレートや商品のPRポスターを作成するページ、販促の計画書など、受講者が書きこむ課題を入れるようにします。
各部署の意見を聞き、現場に即した内容にする
現場では、日々さまざまなことがおこり、それに対応するように業務内容が変化していきます。昨年のやり方が今年活用できるとは限りません。なかには新人研修の資料作成担当者が全く知らない内容もあるでしょう。
そういった新しい情報を吸い上げ、資料に反映する必要があります。作成前に、各部署の意見を聞き、作成後は各部署に確認してもらうとより安心です。
このように、時間がかかる資料作りも無料のテンプレートを利用すれば時間短縮につながります。ポイントを押さえたうえで、研修後もレジュメとして使えるわかりやすい資料を作成してください。
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