新人研修ではグループワークがよく採用されています。その主な目的は、実践的なスキルやチームビルディング力、コミュニケーション術の習得などです。
しかしコロナ禍をきっかけに新人研修をオンラインに切り替えた企業が増えた結果、中には「オンラインであるためにグループワークを効果的に実施できない」といった悩みを抱えている企業もあるようです。
そこで、今回はオンラインでも効果の出る、新人研修のグループワークのネタや実践方法をご紹介します。
グループワークとは?その目的とメリット
グループワークとは、ソーシャルワークの技法のひとつです。
グループワークにはさまざまな方法がありますが、グループとなって一つの課題に取り組み、チームビルディングの方法やコミュニケーションなどのスキルを習得します。
グループワークには主に以下のような目的があります。
- 社員同士の交流を深めること
- ディスカッションを行うことで、自分の意見をブラッシュアップする
- チームワークの大切さを学ぶ
また新人研修では座学(講義)が長くなりがちです。座学が続くと受講者は集中力を保持することが難しくなります。その際、グループワークを適宜行うことで、気分転換が図れます。
オンラインでも効果のあるグループワークは可能
オンラインでは、グループワークが難しいと考えられがちです。
しかし最近では業務のリモート化も進んでおり、ITツール(=コラボレーションツール)も多く出てきています。それらを使用することで、オンライン上でのグループワークも容易になります。
例えば、実践研修で使用されるロールプレイングには、web会議ツール「Zoomミーティング」のブレイクアウト機能などが役立ちます。
また、複数人の参加者でアイデアを出し合って相互刺激を誘発するブレインストーミングでは、出たアイデアを、ホワイトボードやカードや付箋にどんどん書いていかなければなりません。この時に活用できるのがGoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートなどのツールです。
前述のZoomミーティングにも、ホワイトボード機能があります。そういった機能を使いながらブレインストーミングを実践できます。
グループワークの種類とおすすめ&面白ネタ
新人研修で実施できるグループワークの種類にはさまざまなものがあります。各タイプの特徴と事例を紹介します。
1.プレゼン型
プレゼン型とは、議題をもとにグループ内でディスカッションをし、それをまとめたのちに、発表を行うものです。ビジネスワーク、ケーススタディ、ポスターセッションなどがあります。
ディスカッションのなかでの個人の役割がわかりやすく現れるため、評価につなげることができます。
オンラインでは、Zoomなどのweb会議ツールを利用することでスムーズに実施することができます。
①課題解決型
与えられた課題の解決策について、グループで話し合いを行い、答えを見つけ出す形です。
テーマによってはこれが正解であるというものがない場合があり、さまざまな発言が生まれやすいという特徴があります。
例:
- 業務のリモート化を推進するにはどうすべきか
- コストダウンするためにはどうしたらいいのか案を企画する など
➁ディベート型
二者択一型ともいわれる形です。主催者は2つの選択肢を用意します。
参加者は、どちらかの立場になり、互いに討論を行います。
例:
- 消費税率を上げた方がいいかどうか
- 人間は見た目、中身、どっちが大切か など
③選択型
主催者がいくつか選択肢を準備し、その中からどれかひとつを選ぶ形です。
ひとつを選ぶこと以外に順位付けをするという課題も考えられます。
例:
- 国語・数学・英語・歴史・物理の五教科を重要と考えられる順に並べる
- ペットにするには、犬・猫・小鳥にうちどれが一番いいか など
④ビジネス型
実際のビジネスの場でも発生しうる課題に関して、その解決策を話し合い、答えを導き出す形です。ビジネスモデルとなる解決策を討論することが求められます。
例:
- 5年後に売り上げを2割増しにするには何をすべきか
- SDGsに対しわが社ではどんな取り組みをすべきか
2.作業型
作業型とは、チームで何らかの成果物を1つ作り上げるグループワークです。コンテンツづくりやものづくりゲームなどが当てはまります。チーム内で各々がどのように役割をし、チームに貢献できるのか見極めることができます。
①コンテンツづくり
目に見えるものを完成させる作業は、ゴールが共有しやすく、盛り上がるテーマの1つといえるでしょう。まずは、時間配分や担当を決め、どのようなデザインにするかなど「議論」を行い、その後実際に「作業」をします。
誰がどのような作業を行うのかといったことや、効率のいい作業の進め方を考えるなど、数多くあるタスクをどのようにこなしていくのかが課題となります。
例:
- 新商品のPRキャラクターとそのプロフィールを作成する
- 自分のチームのPR動画を撮影し作成する
②ものづくりゲーム型
一定のルールを設け、ゲーム性を持たせて1つのものを完成させます。プロセスや成果物の評価を競う要素を加えると、目標達成に向けて参加者が没頭できるでしょう。
「マシュマロチャレンジ」は、パスタの乾麺やひもを使い、より高いところにマシュマロを固定することを目指します。「ペーパータワー」は、同じ枚数の紙だけを使って作ったタワーの高さを競うものです。
3.ゲーム型
ゲーム型では数人のグループに分かれてゲームをすることで、親睦を図るとともに、チームビルディングやチームワーク、リーダー能力を養います。
①アイスブレイク型
アイスブレイク型のゲームは、参加者同士の連携を深めるのに最適です。研修の序盤で取り入れると、参加者全体の緊張した雰囲気も和らぎ、その後の学びの意欲を刺激するでしょう。
例えば「2つの事実と1つの嘘」は、自己紹介に3つのエピソードの中に1つだけ嘘を交えて、他のメンバーが「どれが嘘なのか」を推理するゲームです。一人ひとりのメンバーの表情を注意深く見たり、集中して発言を聴いたりするので、その後の研修効果を高める素地づくりにもつながります。
②ビジネスゲーム型
研修の後半や終盤では、ビジネススキルの獲得に特化したカードゲームやボードゲームを取り入れてみてもよいでしょう。
「NASAゲーム」は、月面に不時着した宇宙飛行士という設定で、限られた15個のアイテムの中から、優先順位をつけて脱出方法を立案するゲームです。チームで合意形成するプロセスが学べることから「コンセンサスゲーム」と呼ばれています。
「The 商社」は、世界で事業を展開する商社の経営をシミュレーションするカードゲームです。より多くの利益を上げるにはどうすればよいかをチームで話し合ったうえで、他のチームとカード交換の交渉をして目標達成を目指します。
ビジネスゲームには、カードなど集合研修で利用できるもののほか、オンライン版などもありますので、製品情報をチェックしてみてください。
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4.ロールプレイング型
名刺交換や電話対応など、現場で必要になる技術を実際にやってみるのがロールプレイングです。
オンライン研修での電話対応のロールプレイングは、ビデオ機能を一時的に切ることで、よりリアルな状況に近づけて行うことができます。
グループワークを実施する際の注意点
グループワークを実施する際には注意点がいくつかあります。
1.事前にアイスブレイクを行う
アイスブレイクとは、初対面の人同士が何かを行う前に、緊張を解きほぐす手法のこと。
アイスブレイクの時間を設けることで、参加者同士がリラックスした状態となり、本来のコミュニケーションスキルが発揮しやすい環境を作ることができます。
また研修の序盤に、アイスブレイクの要素を含むグループワークを取り入れるのも効率的です。
2.目的を明確にして参加者にも説明する
グループワークではその目的が重要です。コミュニケーション活性なのか、チームビルディングスキルの習得なのか、しっかりと目的を設定した上で、内容を決めるようにしましょう。また、その目的を参加者に共有することで、明確なビジョンを想像しやすくなり、参加者はモチベーションを維持しやすくなります。
3.実施後にフィードバックを行う
実施後は、参加者全員が良かった点や反省点を振り返り、発表を行うフィードバックの場を設けるとよいでしょう。今回のグループワークで何が得られたのか、またどんな改善点があったのかを明らかにすることで、次回につなげることができます
現在では多様なコラボレーションツールが生み出されています。ツールを駆使することで、オンラインでのグループワークでも対面と遜色のない効果が実現可能です。
グループワークを実施する際には、本記事で紹介したネタや実施方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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