現場の安全意識を向上させるために定期的に開催される安全大会。
このコロナ禍で昨年(2020年)はキャンセルが相次ぐ一方で、オンラインで行う事例も増えてきました。
安全大会の目的には、現場の安全体制の強化とともに、協力会社との関係強化もあります。
対面できないオンラインでは、後者の目的を果たすことはなかなか難しいですが、Zoomの機能を活用しながらオンラインでの安全大会を成功させた事例があります。
今回は、その成功事例について、成功のポイントを解説していきます。
製造業・建設業ほか 担当 清水 久貴
■目次
~労働災害の根本原因と対策~
講師 : 中田敬司 氏
主催者 : F会 様
開催日時 : 2020年12月下旬
講演時間 : 1時間15分
聴講者人数: 約120人
使用ツール: Zoomミーティング
講演タイプ: A.会場からの生配信タイプ
オンラインになった背景
今回の主催者様は、大手建設会社が主体となり、複数の協力会社と結成されているF会様です。
安全大会は、一般的に、7月初旬に国が主導で行っている全国安全週間の前後に開催されています。本件も、最初は2020年6月に開催予定でしたが、このコロナ禍で延期。今回の会は協力会社との関係強化という側面が強かったため、コロナ禍が収束してからリアルでの開催を考えていらっしゃったようです。
しかし、なかなかコロナが収束する気配もなく、第2波の報道も聞かれるなる中で、やむを得ず、12月末にオンラインで行うことになりました。
講師は、オンラインに切り替えることが決まってから改めて決めることになりました。主催者様の中では、すでにお目当ての講師がいらっしゃったようで、神戸学院大学教授の中田敬司さんをご指名いただきました。
中田さんは、安全大会講師の中でもとりわけ人気の高い方です。同主催者様から以前も前年度の大会で中田さんをご指名いただきましたが、中田さんの都合が合わず、他の講師に依頼したといった経緯があります。しかし、今回は、安全大会の集中する時期ではなかったこともあり、すぐに中田さんのスケジュールを確保するこができました。なかなかスケジュールを確保できない講師であるため、今回は本当に不幸中の幸いといえます。
主催者様はオンラインでの安全大会は初めてということでしたが、普段の仕事でもZoomを使っていらっしゃるようで、オンラインに対しての抵抗はなかったようです。企画から準備まで、ほとんどの工程を主催者様自身が行っていらっしゃいました。
オンラインによる安全大会を成功させる秘訣
安全大会では、前述した通り、協力会社との関係強化も目的の一つとしてあります。対面できないオンラインでは、親睦を深めることは難しいことです。
とはいえ、リアルとオンラインを組み合わせたり、Zoomの機能を活用することで、コミュニケーションを強化させることはできます。本案件の主催者が実現した成功ポイントを解説します。
1.参加人数を縮小して一部はリアル参加
通常ですと、参加人数は100名を超します。現況、その人数で集合イベントを行うのは、新型コロナウイルスの感染リスクを高め、社会的信用を損ねてしまうことになりかねません。
そのため、本案件では、参加人数を20人に絞り、それ以外の参加者はオンラインで参加していただく、という形をとりました。リアル開催の会場として、参加人数の2倍となる50名収容の会議室を手配されたようです。講師の中田さんにもその会場に出向いていただきました。弊社のオンライン講演のタイプでいうと、「A.会場からの生配信タイプ」となります。
従来の参加人数より人数を制限することで、感染リスクを下げられるとともに、少ないながらも関係強化は可能となります。また、講師の立場からすると、少数とはいえ目の前に聴講者が「見える」状態でいることで、聴講者の反応を見ながら、講演を進めることができるというメリットもあります。
一方、オンラインでの参加者も、時間や場所に制限されずに参加できるというメリットがあります。いつもなら勤務時間や移動時間の理由で参加できなかった人も参加しやすくなるため、多くの参加者を見込めます。
2.コミュニケーションを活性させるZoomの機能を活用
web会議ツールとしても使用される「Zoomミーティング」では、顔を見ながらビデオ通話ができる以外にも、チャット機能やアンケート機能、小グループに分かれて話ができるブレイクアウトルーム機能など双方間のやりとりができる機能があります。
今回の安全大会では、参加者全員がビデオをオンにし、一人ひとりの表情が汲み取れるようにしました。
リアル開催では、壇上から離れた場所に座っている参加者は、壇上に上がった人の顔が見えづらいといったこともあるでしょう。しかし、Zoomミーティングでは、特定の参加者の画面を大きく見せるスポットライト機能があり、話をする相手がまるで正面に座っているかのように見えることもでき、はっきりと声を聞き取ることもできます。
また、画面共有機能を使えば、安全宣言やプログラム、配布資料を画面共有することもできます。今回の安全大会では、安全宣言を全員で唱和する際に、安全宣言が画面共有されました。宣言する人の顔と斉唱する文字が一つの画面上に同時に表示されるため、参加者は見やすかったと思います。
また、オンライン講演においては、アンケート機能を使って参加者の考え方を聞いたり、クイズを出したりすることもあります。アンケート機能は、大人数が一斉に参加できるという利点があり、より参加意識を高められます。
今回は使用されませんでしたが、ブレイクアウトルーム機能もコミュニケーション活性化にはおすすめの機能です。大人数でも小グループに分けることにより、さらに細分化されたコミュニケーションも実現できます。
3.リアル会場と同じような雰囲気をオンライン参加者に伝える
今回の講師である中田さんはホワイトボードに書き込みながら解説をする方で、オンラインにおいても実際のホワイトボードに書き込みながら講演を行いたいとリクエストがありました。
実際のホワイトボードを利用することで、より講師の意図が聴講者に伝わりやすくなりますし、聴講者の関心を引くこともできます。
しかし、通常のオンライン講演では、PCに固定されたwebカメラが使用されるため、ホワイトボードを映し出すことができません。ホワイトボードを映し出すためには、広角で撮影できるビデオカメラとそれを操作するカメラマンが必要となり、主催者様の負担が増えます。
とはいえ、webカメラだけの画像だけでは画面に変化がなく画一的であるため参加者の集中を長時間持続させることが難しいのが事実です。加えて、ホワイトボードを使いながら講演することで聴講者の理解度や関心度もかなり上がることも、体験上理解しています。
本案件を成功させるためにも、主催者様のご負担が増えるのも分かった上で、ホワイトボードの導入を提案いたしました。幸い、主催者様はすぐに理解を示していただき、会場にホワイトボードを設置する手筈となりました。
カメラはwebカメラではなく、ビデオカメラをパソコンにつなぎ、カメラマン役がつくことなりました。カメラマンは、講師が聴講者に話しかけるときは講師の顔をアップしたり、ホワイトボードで解説する際は焦点を引いてホワイトボード全体が映るようにしたりと、さまざまな角度から撮影を行っていました。
通常ならば平坦になりがちなZoomの映像も、まるでテレビ番組のような変化に富んだ映像となり、より会場の臨場感が伝わったと思います。オンライン参加者にも今回のカメラワークは好評だったようで、主催者様からも「会場の雰囲気が伝わってよかったです」との感想をいただきました。
オンラインはリアル開催の保険にもなる
安全大会の目的を考えると、やはり実際に会って、社員や協力会社全員で安全を確認しあい、関係強化をすることが重要です。しかし、パンデミックの収束がいまだに予想できない状況にあっては、計画自体ができないという現状もあります。
そこで、ご提案しているのが、「オンラインへの切り替えプラン」です。まずはリアルで開催準備を進めておき、もしコロナのような緊急事態が行った場合オンラインに切り替えるといったものです。リアルからオンラインに切り替えるのは、何も難しいことではありません。オンライン講演は、インターネット環境とZoom、PC、webカメラさえあれば、どこからでも開催することができ、リアル開催のような会場・機材の手配や感染対策などの手間が減ります。
リアル開催だけで準備を進めていった場合、緊急事態宣言のような突然の事態では、キャンセルや延期の対応に追われ、先が見えないというイライラ感もつのります。
しかし、オンラインという保険があることで、予定した日に開催でき、さらに当日の準備といった主催者様のご負担も減らせます。
本案件のように、規模を縮小した形での一部リアルや一部オンラインの併合型、完全オンライン型など、さまざまな形での開催が可能です。働き方やイベントがオンラインに切り替わり、配信ツールも進化を遂げています。また、弊社のオンライン講演におけるサポート体制もさらに強化され、Zoomの開催設定から当日の運用まで全て代行することもできます。
「去年は安全大会ができなかったけど、今年こそは開催したい」「感染リスクなしで安全に開催したい」という方は、ぜひとも清水までご連絡ください。参加者、主催者の皆様が満足する形で安全大会を実現できるようサポートいたします。
【この記事を書いたスタッフ】
清水 久貴 しみず ひさき
入社以来、官公庁・公的団体様からあらゆる業種の民間企業・業界団体様、そして経済団体様まで、ほとんど全てのお客様を担当させていただきました。
また、企業・経済団体のお客様向けの『講師ガイドブック』、安全週間・衛生週間における安全大会向けの『講師ガイドブック 安全大会』の制作を担った、担っていることから、講師の情報には社内で一番精通していると自負しています。
これらの経験とノウハウを活かして、お客様に“最適”な講師をご紹介させていただくこと、みなさまの大切な講演会や講習会を“安全・確実”にお手配させていただくことに努めております。講師の選定に迷われた時はご遠慮なくご相談ください。
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