オンライン講演の主力配信ツールといえばZoom。しかし、Zoomにはプランによって人数制限があるため、より多く人にオンライン講演を見てもらいたいという理由で、ZoomとYouTubeを連携して、ライブ配信するケースも増えてきています。
YouTube からライブ配信するには、YouTube Liveというサービスを利用します。
このYouTube Liveを使えば、Zoomをインストールしていない人にもYouTubeを使い、Zoomビデオウェビナーで配信することができます。
今回は、YouTube LiveとZoomビデオウェビナーを組み合わせて配信する方法について見ていきましょう。
■目次
YouTube Liveとは?
YouTube Liveとは、名前の通りYouTube上でライブ配信ができるサービスのことです。以前はYouTubeのチャンネル登録者数が100人以上にならないとできなかったのですが、現在ではその制限がなくなり、認証済みの一般ユーザーにも機能が開放されました。
YouTube Liveには、以下のような特徴があります。
1.利用料がかからない
YouTube Liveで配信するにも、視聴するにも利用料がかかりません。誰でも気軽に活用できる魅力があります。
2.配信動画の保存期限がない
配信後のアーカイブを保存する期間に制限がないので、期限が過ぎて動画が消える、ということがありません。
3.追っかけ再生ができる
YouTube Liveでは、配信中の番組を最初から視聴する「追っかけ再生」ができます。参加者が配信時間に遅れて入っても、最初から見逃さずに講演を見られます。
Zoomビデオウェビナーとの違い
YouTube LiveとZoomビデオウェビナーは、主に以下のポイントに違いがあります。
項目 | YouTube Live | Zoomビデオウェビナー |
---|---|---|
費用 | 無料 | 有料(プランにより料金が異なる) |
参加可能人数 | 無制限 | 最大10,000人(プランによる) |
質問など | チャットのみ | 双方向のやりとりOK |
アーカイブ | 自動で残る | あらかじめ保存設定が必要 |
YouTube Liveは無料で参加人数が無制限という大きなメリットがありますが、Zoomビデオウェビナーのように参加者が直接発言したり、質疑応答したりする双方向のやりとりはできません。どうしても参加者が発言したい場合は、チャットのみです。
ZoomビデオウェビナーにYouTube Liveを組み合わせる事例も増加
Zoom単体でもオンライン配信は可能ですが、YouTube Liveと組み合わせて配信する方法もあります。例えば、100名までのZoom有料プランに入っていて、オンラインでの参加者が100名以上いるケースや、参加者が不特定多数の場合など、ZoomとYouTube Liveのメリットを同時に享受したい事例に使用されています。
高品質で双方向のコミュニケーションも可能なZoomビデオウェビナーの配信を、YouTube Livedでも同時に配信することで、自動でアーカイブを残したり、参加人数を気にせず配信したりできます。
ZoomビデオウェビナーをYouTube配信する方法
それでは、実際にZoomビデオウェビナーをYouTube Liveで配信する方法について説明します。まず、Zoomビデオウェビナー側でYouTubeライブストリーミングを有効にし、その後、「今すぐ配信」するかYouTubeイベントを使って「設定配信」するかという2つの方法があります。
基本は「今すぐ配信」で十分ですが、例えば、以下のようなケースの場合、YouTubeイベントで設定配信の方が何かと便利です。
- 2つ以上の講演を同日に開催するため、スケジューリングしておきたい
- YouTubeダッシュボードで配信前に問題がないかどうか確認したい
それでは、次の章で詳しくYouTube Liveでの配信方法を見ていきましょう。
1.ZoomビデオウェビナーのYouTubeライブストリーミングを有効にする
まずは、Zoomビデオウェビナー側でYouTubeライブストリーミング機能を有効にしましょう。
- アカウントオーナーまたは管理者として、Zoomウェブポータルにサインインする
- 「アカウント管理」、「ウェビナー設定」の順にクリックする
- 「ウェビナー設定内」の、右側にある「編集」をクリックする
- 「ホストはウェビナーのライブストリーム配信を実行できます。」を有効にし、「YouTube」を有効にする
- 「変更を保存」をクリックする
最初にこの設定を行っておかないと、YouTubeライブストリーミング機能が使えません。もし、ライブストリーミング配信ができないなどのトラブルがあった場合は、まず設定を確認してみましょう。
2.YouTubeでライブストリーミング配信を開始する
A.今すぐ配信する
では、ZoomビデオウェビナーからYouTubeに直接配信する方法を見ていきましょう。
- Zoomビデオウェビナーを開始する。
- 「詳細」から、「YouTubeにてライブ中」をクリックする
- ブラウザが開き、Googleへのログインを促されるため、配信したいGoogleアカウントを入力する
- ZoomがGoogleアカウントへのアクセスをリクエストする画面が表示されるため、「許可」をクリックする
- 「Zoomミーティング/ウェビナーをYouTube Liveでブロードキャスト」ページで、Zoomビデオウェビナーのタイトルとプライバシー(公開、限定公開、非公開)を設定
- 「ライブへ」ボタンをクリックし、セットアップする
- ZoomクライアントにYouTubeでのライブ配信中の通知を受け取ったら、Zoomビデオウェビナーを開始
- ストリーミング配信を停止するには、Zoomビデオウェビナーを終了するか、「詳細」→「ライブストリームを止める」の順にクリック
YouTubeに直接配信する場合、Zoomクライアントの機能を使って配信します。そのため、配信ソフトなどは使えないので注意しましょう。
B.YouTubeイベントで設定配信する
YouTubeイベントは、操作が複雑で配信ミスをおこす可能性があるため、事前に練習をしておくことをおすすめします。
単一の講演を行うだけであれば、「今すぐ配信」で十分です。
- Zoomビデオウェビナーの「アカウント管理」➡「アカウント設定」から「ミーティング中(詳細)」 セクションに行き、 「ミーティング] 」タブで、「ウェビナーのライブ ストリーム配信を許可する」を有効にする。
- 新しいタブを開き、YouTubeアカウントにサインインする
- 「作成」アイコンをクリックする
- 「ライブ配信を開始」をクリックする
- 新しいストリーミングイベントを配信する場合は「エンコーダ」、既にスケジュールされているストリーミングイベントを配信する場合は「管理」をクリックする
- YouTubeイベントのストリーム設定から「ストリームキー」、「ストリームURL」、「ライブストリーミングページのURL」をコピーし、Zoomビデオウェビナーのライブストリーム設定にペーストする
- 「ライブストリームサービスを追加」画面で「保存」をクリックする
- .Zoomビデオウェビナーを開始する
- ミーティングコントロールで「詳細」をクリックし、その後「カスタムライブストリーム配信サービスにてライブ中」を選択する
- Zoom画面左上に「LIVE カスタムライブストリーム配信サービスに参加中」と表示され、YouTube側に「ライブ」と表示されれば成功
YouTubeイベントで行う場合、ストリームキーなどの設定が必要です。設定を忘れないようにしましょう。
ZoomビデオウェビナーとYouTubeを組み合わせるメリット
ZoomビデオウェビナーとYouTubeを組み合わせるメリットには、以下の2つが挙げられます。
①限定公開ができる
YouTube Liveは、通常の動画と同じように公開、限定公開、非公開の設定ができます。特定の相手にだけ見せたい場合は、検索結果や関連動画に表示されない「限定公開」や「非公開」を選びましょう。
限定公開:URLにアクセスすれば動画を見られる
非公開:投稿主が登録したGoogleアカウントを持っているユーザーだけが動画を見られる
限定公開ではURLが流出した場合、多くの人に見られてしまいますが、非公開にすればURLを知っているだけでは見られません。用途に応じて公開設定を行いましょう。
②アーカイブが残る
YouTube Liveは動画が自動保存なので、オンライン講演(ウェビナー)終了後に配信した映像がYouTube上に保存されます。保存された映像はアーカイブとして確認するほか、オンデマンド配信として公開することもできます。もちろん、これらもライブ配信中と同じように、限定公開や非公開設定が可能です。
YouTube LiveとZoomビデオウェビナーを組み合わせる際の注意点
YouTube Liveと Zoomビデオウェビナーを組み合わせて配信する場合、以下の2点に注意しましょう。
- 20秒程度の遅延(ラグ)が生じる
- Zoomビデオウェビナーの参加者は、YouTube Live側で書き込まれたコメントを見られない
オンライン講演(ウェビナー)でYouTube LiveとZoomビデオウェビナーを組み合わせる場合、これらのことに注意して配信しましょう。
YouTubeは利用者も多く、誰でも気軽に参加しやすい、配信しやすい動画プラットフォームとして進化してきました。その一方で、双方向のコミュニケーションには弱い面もあります。YouTube Liveのデメリットをうまく補えるZoomビデオウェビナーと組み合わせて使い、オンライン講演(ウェビナー)を成功させましょう。
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