2023年3月に内閣府が発表した調査によると、15~64歳の引きこもりの推定人数は146万人。そのうち15~39歳は2.05%(前回2016年調査では1.57%)、40~64歳は2.02%(前回2019年調査では1.45%)で、前回の調査よりも増えています。今や50人に1人が引きこもる時代。特に、中高年層の引きこもりは、8050問題、中高年の貧困、孤独死等の二次被害を招き、大変深刻な社会問題となっています。
不登校や引きこもりは、家庭内だけで解決することは難しく、行政や地域全体で解決していかなければならない緊急課題です。
そこで、今回は、引きこもり・不登校をテーマにした講演プランをご紹介します。講師は、自身や家族の当事者であったり、当事者を支援する活動をしたり、当事者を取材したりと、引きこもりと向き合ってきた方ばかりです。当事者の声を聞き、家庭や地域、社会でどんな支援ができるのか、考える時間にして頂ければ幸いです。
■目次
- 南雲明彦 『不登校とどう向き合ってきたか~僕がボクであるために~』
- 家田荘子 『ティーンからのメッセージ~知ってもらいたい。子どもたちのこと~』
- おおたわ史絵 『働くひとのメンタルヘルス』
- 鮎川ヒロアキ 『“生きる”を支え、寄り添うということ』
- 望月美由紀 『うつ病がつなぐ家族の絆 笑顔の力で取り戻そう!心と体の健康そして絆』
- 白井智子 『誰もとりこぼさない教育を目指して~不登校・ひきこもり・発達障害の子どもの支援を通じて~』
- 藤田孝典 『どうする老後?どうする子どもの貧困・格差? 下流老人と貧困世代~広がる高齢者と若者の貧困』
- 湯浅 誠 『人としての尊厳を守る~貧困と人権~』
- 石川結貴 『家族はどう変わり、何に悩むのか』
- アグネス・チャン 『未来を担う子どもを育てる~心を豊かにする教育とは~』
- 三木ひとみ 『生活保護申請サポート数10,000件の行政書士 誰でも必要なときに、いつでも何度でも利用できる~安心感と幸福感に繋がる身近なセーフティーネット~』
- 玉田玉秀斎 『人権先進国 スウェーデンで学んだ講談師が語る~違いがあるからおもしろい 道は一本じゃない~』
南雲明彦 なぐもあきひこ
明蓬館(めいほうかん)高等学校
共育コーディネーター
不登校とどう向き合ってきたか
~僕がボクであるために~
21歳の時に学習障害の1つであるディスレクシアであることが判明した南雲明彦さん。10代後半に精神障害を発症。高校は、転・編入を繰り返し、不登校、引きこもりを経験したと言います。現在は、明蓬館高等学校の共育コーディネーターとして活動する傍ら、発達障害で悩む子ども達や保護者、教育関係者の方々に講演を行っています。「不登校時代、得たものもあったが、失ったものの方が多かった」と語る南雲さんが、これまでの道のりを振り返りながら、保護者や教育者・社会が不登校・引きこもり児童・生徒に対してどう向き合っていくべきなのかを一緒に考えていきます。
- 教育・青少年育成人権・平和
福祉・介護
主催者様からの声
机上論でない実体験に基づいたお話は多くの気づきと理解を得ることことができました。また、障がいを持たない子どもをもつ保護者や教育関係者にとっても十分価値のあるお話でした。
家田荘子 いえだしょうこ
作家
僧侶(高野山本山布教師・大僧都)
ティーンからのメッセージ
~知ってもらいたい。子どもたちのこと~
女子少年院の榛名女子学園に一年間を通して取材し、DV、ひきこもり、自殺、摂食障害、リストカット、薬物、犯罪などを経験した子どもたちと向き合ってきた作家の家田荘子さん。入所者やその家族を取材する中で一番大切なのは「家族」であることを強く感じたと言います。本講演では、これまでの取材経験をもとに、同じ時代を生きる違う土地の子どもたちの実態を伝え、私たち周囲の大人が問題を抱える子どもたちにどんな手を差し伸べられるかを考えていきます。
- 文化・教養 人権・平和 教育・青少年育成コミュニケーション
主催者様からの声
開催目的をしっかりくみ取って頂いた内容で、多くの気づきと心のこもったメッセージを頂き、素晴らしい大会になりました
おおたわ史絵 おおたわふみえ
総合内科専門医
法務省矯正局医師
働くひとのメンタルヘルス
2022年の日本の自殺者数は前年比べ874人(4.2%)増の21,881人。なかでも40~50歳代の「働き盛り」の男性の自殺が圧倒的多数を占めるのが現状です。長年のひきこもりや鬱病を発症してから自殺するケースも増えており、職場や家庭でのメンタルヘルスの問題をどのように捉え、対策していくのかは重要な課題です。どんなひとが危ないのか?どんな職場が危険なのか?はたまた初期症状はどんな形で表れるのか?等、さまざまな項目についてそれぞれの早期回避策とともに解説していきます。
- 健康 教育・青少年育成 メンタルヘルス 意識改革
主催者様からの声
テレビや雑誌などで聞いたことがあるような話も、おおたわ先生からお聞きすると信憑性が増し、今日からでも実践してみようと思うとの声が多くありました。また、言葉のチョイスやロジックの説明が分かりやすく、参加者にとってはすんなりと頭に入ったようです。
鮎川ヒロアキ あゆかわひろあき
心理カウンセラー
“生きる”を支え、寄り添うということ
精神疾患を抱える妻との結婚生活を機にメンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラー等の資格をとった元お笑い芸人の鮎川ヒロアキさん。ゲートキーパー(自殺のサインを見逃さず、適切な対応をとる人)としての講演活動の傍ら、NPO法人「セーフティネットワークおおさか」にて中高年のひきこもりの相談員を務めています。本講演では、鮎川さんのこれまでの活動を通して、ひきこもりや自殺・孤独死等の問題を解決するために、家族や地域は何ができるのかを考えていきます。
- 人権・平和
主催者様からの声
自死という重いテーマながらも、ご自身の経験談をもとに人との向き合い方をアドバイスいただき、非常に説得力のある、自らを省みるきっかけをいただいた講演会だったと思います。
望月美由紀 もちづきみゆき
スマイルナビゲーター
うつ病家族支援アドバイザー
うつ病がつなぐ家族の絆
笑顔の力で取り戻そう!心と体の健康そして絆
日本人の3分の1はうつ病になるといわれているこの時代。あなたの大事な家族も例外ではありません。家族がうつ病になってしまったら「家族は崩壊」と思っていませんか?誰かがうつ病になると周りはどう対処してよいかわからず、家族の雰囲気はギクシャク、周りもつられて気分が落ち込む…なんて悪循環を断ち切りましょう! 自ら鬱病を患い、笑いの重要性を実感してから、笑いのクラウンとして活動する講師が、うつ病をポジティブな発想に転換していく心得をお教えします。
- メンタルヘルス教育・青少年育成コミュニケーション文化・教養
主催者様からの声
わかってはいることだが実際にどうすればいいかまではわからないということをわかりやすく話していただきました。
白井智子 しらいともこ
特定非営利活動法人 新公益連盟代表理事
誰もとりこぼさない教育を目指して
~不登校・ひきこもり・発達障害の子どもの支援を通じて~
講師の白井智子さんは、国による不登校の子どもたちの支援がほとんどなかった20数年前、沖縄に不登校の子どもたちが通うフリースクールを立ち上げました。以来、何千人もの子どもたちが元気と自信を取り戻し、社会で活躍していく中、2017年に初めて国による不登校の子どもを支援する法律『教育機会確保法』が制定。この法律は、白井さんの教育モデルも参考にしており、そのときの経験談を、子どもや親のリアルな声を交えて語ります。ひきこもりや不登校の子供たちに対して、地域の支援策になるヒントが満載です。
- 教育・青少年育成
主催者様からの声
白井さんが考案した支援システムがとても画期的であり、今後、私たちの地域での取り組みでも活用できそうです。とてもためになる情報をいただけました。
藤田孝典 ふじたたかのり
特定非営利活動法人ほっとプラス 理事
社会福祉士
聖学院大学 客員准教授
どうする老後?どうする子どもの貧困・格差?
下流老人と貧困世代~広がる高齢者と若者の貧困
下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」のことを言います。高齢期になっても、生活に対して強い不安をもつ人が多いと言われる現代。下流老人は、あらゆるセーフティネットを失った状態で、一度陥ると自力では解決が困難です。だからこそ社会問題として対策を講じる必要があります。本講演では社会的な背景から貧困や格差、そして下流老人とは何か、どうすれば防ぐことが出来るのかということについてお話し、皆さんと一緒に考えていきます。
- 福祉・介護
主催者様からの声
藤田先生の御講演ありがとうございました。データに基づき、ユーモアを交えてお話しいただきましたので評判は大変良かったです。
湯浅 誠 ゆあさまこと
社会活動家
東京大学先端科学技術研究センター特任教授 経済同友会会員
認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長
人としての尊厳を守る
~貧困と人権~
ひきこもる子どもの長期・高齢化により、80代の親が50代の子どもを支える「8050問題」が近年問題視されています。2021年に内閣府は40~64歳のひきこもりの人が全国に61万3千人いるとの推計値を公表しました。このような世帯に対し行政の支援が行き届かず、親子ともに餓死するような最悪の事件も起きています。このような悲しい事件を起こさせないためにも、地域や社会は何ができるのか。1991年よりホームレス支援・生活困窮者支援に従事している講師がひきこもりの現状を伝えながら、支援策をともに考えていきます。
- 福祉・介護人権・平和
主催者様からの声
多くの気づき、メッセージを頂きました。素晴らしい内容でした。
石川結貴 いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族はどう変わり、何に悩むのか
不登校・ひきこもり、児童虐待の増加、小1プロブレム…。今、日本の家庭では、従来の家族像では語れないさまざまな問題が山積する状態です。これらの問題は、家庭内で解決できるものではなく、学校、地域、また社会全体が協力して対処する必要があります。家族が抱える悩み、子どもに起きている異変、学校と親の関係、主婦の現状などについて一貫して取材をつづけてきた講師が、刻々と変化する社会環境を踏まえ、問題解決のヒントを伝授します。
- 教育・青少年育成 人権・平和
福祉・介護 男女共同参画
主催者様からの声
石川様の講演は私がこれまで担当した中でも、屈指の好評ぶりでした。事前打ち合わせをしていないのに、制度のことも熟知しておられ、きちんと「民生委員・児童委員」向けのお話しになっていたのは驚きました。そこも好評の要因のようです。
アグネス・チャン あぐねすちゃん
歌手、エッセイスト、教育学博士
未来を担う子どもを育てる
~心を豊かにする教育とは~
「いじめ」「ひきこもり」「パラサイト現象」「ニート」など言葉は変わっても青少年の問題は、いつの時代も社会の大きな課題となっています。3人の子の母親として、また教育学博士として「教育の基本は家庭にある」という信念を持っているアグネス・チャンさんは、“自分自身をよく知り、自分に誇りの持てる子どもに育てる”ことの必要性を強調しています。実体験に基づく独特の子育て論だけでなく、心理学、教育学などあらゆる視点から子どもを取りまく環境の改善を訴え、教育改革、親と子の意識改革などについても言及します。
- 教育・青少年育成文化・教養人権・平和 環境問題
主催者様からの声
非常にうまくいきました。講演も好評で参加者の方々も喜んでおられました。
三木ひとみ みきひとみ
特定行政書士
生活保護申請サポート数10,000件超えの行政書士
生活保護申請サポート数10,000件の行政書士
誰でも必要なときに、いつでも何度でも利用できる
~安心感と幸福感に繋がる身近なセーフティーネット~
「生活保護の受給資格があるにも関わらず、受けられず貧困にあえいでいる人がたくさんいます。生活保護制度は、誰でも必要なときに、いつでも何度でも利用できる安心できる制度なのです」。そう語るのは、生活保護の必要性を感じたとき受給できなかった経験から特定行政書士となり、生活保護申請のサポートを行っている三木ひとみさん。家族や自身がひきこもりであっても生活保護を受給できた方はたくさんいらっしゃるそうです。これまでの経験を交えて、生活保護に関する正しい知識をお伝えします。
- 人権・平和福祉・介護
主催者様からの声
これまでの生活保護に対するネガティブなイメージを一蹴する内容で、とても有意義な時間となりました。今後の民生員の活動に役立てていきたいと思います。
玉田玉秀斎 たまだぎょくしゅうさい
講談師
人権先進国 スウェーデンで学んだ講談師が語る
~違いがあるからおもしろい 道は一本じゃない~
講師の玉田玉秀斎さんは、小中学校でいじめに遭うものの、母親の支えもあり、一念発起して高校でスウェーデンに留学します。言葉の通じない外国で家族と離れての暮らしに、孤独や失意を経験し、家出した先でスウェーデン人にかけられた言葉が「違いがある方がおもしろい」ということ。「イジメられても、家出をしても、自殺がしたくなっても大丈夫。私たち人間は、決して強い人ばかりじゃありません。人が歩める道は1本だけではありません」と語る玉田玉さんの力強いエールを受け取ってください。
- 人権・平和 国際化・グローバル
主催者様からの声
親しみやすい講師の方で,講演前の打ち合わせも遠慮なくさせていただき、スムースに開演できました。内容も分かりやすく,ポイントもきちんと話され,受講者からも「よかった。」との評価をいただきました。
合わせて読みたい
介護の問題、子育ての問題、それから防犯・防災においても地域の支…
2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、5人…
人生の終わりをどのように過ごすか? これからどう生きるか?人生…
他の記事をみる
業務外の講師への取次は対応しておりません。