コミュニケーションスキルや論理的思考力の研修を導入してきたけれど、営業チームの成績がなかなか上がらない」というお悩みはないでしょうか?

営業のスキルアップというと、商談でのテクニックをイメージしがちです。しかし実際には、そこに至るまでの行動量が圧倒的に不足しているケースが多く見られます。これまでと同じ時間で行動量を増やすには、スケジュールを最適化する時間管理術を身に付ける必要があります。

今回は営業パーソン向けに特化して、自身もメガバンクや外資系生命保険会社の営業の第一線で活躍、その後営業所長を勤めた後、数々の営業パーソンの指導を実施してきた猿樂昌之氏に、時間管理術のポイントをお聞きしました。

Your Image【監修・取材先】
猿樂昌之氏

つむぐ人たち 代表

 

同じ勤務時間なのに、なぜトップ営業は多くの受注を上げているのか?

2人の営業が毎日ほぼ同じ時間に出勤し、同じ時間に退勤している。なのに片方は毎月売上目標を達成していて、片方は未達が続いている。社内でそんなケースを目にしたことはないでしょうか?

営業の成果は必ず「行動量×成約率×単価」で導き出されます。メンバーの売上が伸び悩んでいると、商談でのトークスキルを習得させて「成約率」を上げることに意識が向きがちですが、優先的に取り組むべきは「行動量」アップのためのスケジュール管理です。

アプローチ数が3件で成約が3件の営業メンバーは、一見したところ優秀な営業に映るでしょう。それに対してアプローチ数が10件で成約が3件の営業は打率が悪いという印象です。

しかし実際には、10件のアプローチで3件決めればいいだけなら心理的プレッシャーも低く、スキルもそこまで高いものは要求されません。しかし3件中3件とも決めなければ目標達成できない状況となるといかがでしょうか?

それだけでなく、成約に至らなかった7件は来月の見込みの数字として生かすことができます。来月はその7件のうち何件かが成約となり、成約率の高いメンバーを追い越すことができるかもしれません。

成約率アップのためには営業としてのテクニックを磨かなくてはならないので、多くの経験や学びが必要です。しかし行動量はスケジュール管理の仕方によって、新人営業でもすぐに増やすことができるものです。

行動量を増やせば、最後には必ず営業成果となって現れます。

トップ営業は時間管理術=スケジュールの組み立て方が違う

では行動量を増やすためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。重要なのは、スケジュールを組み立てるときの優先順位です。

まず優先すべきは、今月中に成約できる見込みがある顧客との商談。これはトップ営業に限らず、ほとんどの営業が意識していることでしょう。大切なのは、2番目に何を優先するか、何の時間を確保すべきかということです。

トップ営業は、来月・再来月の売上をつくるために、新規の見込み顧客とのアポイントを入れていきます。初回のアプローチですから、それらは今月の成果に直結する見込みは薄いアポイントです。

しかしトップ営業たちは、そうした“種まき”をしておかなければ毎月確実に売上を出し続けることが難しいと知っています。また、見込み顧客を十分に抱えていれば、売上はある程度自動的に上がってくるため、スケジュールに自然とゆとりが出てくることも理解しています。

対して売れない営業は、今月の売上に直結しない見込み顧客へのアプローチをないがしろにする傾向があります。「テレアポは空いている時間にやればいいや」「新規先は時間があるときに回ればいいや」と後回しにし、代わりに何の予定を入れるかというと、社内の会議とそのための資料作成などです

つまりトップ営業が徹底して“営業としての行動量”にこだわっているのに対し、売れない営業は、主に目の前の売上数字と上司からの評価を気にしているといえます。営業として成果を挙げるための時間管理術は、まずスケジュールの優先順位を正すところから始めなくてはなりません。

トップ営業を育成するための時間管理術、ポイント3選

売れ続けるための時間管理術とは、「見込み顧客獲得の時間」を確保する、タスク管理のスキルであるといえます。ここではそのためのおすすめテクニック3選をご紹介します。

色分けしたスケジュール帳で、営業活動の割合を可視化

営業の時間管理術は、すなわちスケジュール帳の管理術です。スケジュールが「売れ続ける営業のスケジュール」になっていれば、あとはそれに従って動くだけで成果は上がります。

まずは営業メンバーに、スケジュール帳に書き込む予定を3種類に分類して、マーカーなどで色分けさせてみましょう。今月の売上になる商談を「赤」、今後の見込みになるアプローチを「黄色」、会議や書類作成など社内のための業務を「青」というように決め、手帳を開いたときに直感的にそれぞれの割合が分かるうにします。

「赤」の予定が多いメンバーは今月は安心ですが、その分「黄色」が少ないと来月・再来月は慌ただしいかもしれません。また「黄色」よりも「青」の割合が多くなっているメンバーは要注意。営業として必要な行動量が不足している証です。

「行動」の目標数字に徹底的にこだわる

漠然と「見込みになるアプローチを増やしなさい」と言っても、現場のメンバーはなかなか行動に移すことができません。アプローチに充てる時間を増やすためには、売上以上に「行動」の目標数字にこだわる必要があります。

例えば各メンバーに「初回アポイントを月5件入れる」といった、具体的な目標を設定します。新人営業であれば「テレアポを週50件」といった、より行動レベルの目標に落とし込んでもよいでしょう。

そして一度設定した目標は必ず達成できるよう、社内の業務を後回しにしてでも、スケジュールの中で優先的に取り組むよう指導します。これを繰り返すうちに、メンバーは月5件のアポイントを取るためにはアプローチにどれくらいの時間を割り当てればよいか分かるようになり、スケジュールの中の「黄色」の割合が適正かどうか一目で判断できるようになるでしょう。

営業活動を重視するチーム全体の風土

しかし、見込み顧客へのアプローチを優先するために社内の業務を後回しにするというのは、特に若手や新人営業にとっては簡単なことではありません。「売れ続けるための時間管理術」を実践するには、何よりも上司の理解が必要です。

まずは営業チームのリーダーや管理職自身が、見込み顧客へのアプローチを優先したスケジューリングを「絶対」とする姿勢を示しましょう。先ほどの「赤」「黄色」「青」のスケジュール色分けの中で、「赤」は見込み顧客を多く作ったことの結果、「青」の多くの部分は上司との面談や会議の報告で「売上が上がらないことへの言い訳」に充てられる時間です。

経営層や管理職側が、現場の営業メンバーは「黄色」の時間を確保することを優先するべき、という認識を持ち、どうやってそれを実行するかを一緒に考えることが大切です。そして社内の業務に関しては、限られた時間しか使えない中で、いかに効率的に作業を終わらせるかを指導します。

時間管理術の研修を導入してトップ営業を育成!


営業としての優先順位を理解し、それに基づいたスケジュール管理を実践することが、トップ営業への第一歩です。まずはメンバーに顧客対応の機会を増やすよう働きかけ、その後に商談のテクニックなどを習得させてチーム全体の成約率アップを目指しましょう。

今回お話を聞かせていただいた猿樂昌之氏には、これまで多くの営業パーソンや営業チームを指導してきた実績があります。猿樂氏の講演は、時間管理術だけにとどまらず、営業として必要な幅広いスキルを学ぶことができ、ロジカルで再現性が高いと人気のプランです。

研修プランによっては簡単な営業ロールプレイングや、タイムマネジメントについて体感的に学べるワークなども。チームの営業力を底上げしたいとお考えの管理職や経営者の方は、ぜひ次回の社内研修としてご検討ください!

猿樂昌之 さるがくまさゆき

つむぐ人たち 代表

一橋大卒後、三井住友銀行を経て、外資系生保営業所長。在勤時より、金融機関向け教育事業を開始。独立後、大手・地方銀行・信用金庫対象の【現場目線×理論によるアウトプット研修】を展開。 税理士法人、M&A仲介、IFA、コンサル会社等に向けた【経営者とのコミュニケーション術研修】も好評。

コンサルタント

プランタイトル

売れ続けるセールスだけがやっている案件と時間管理術

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