DXやAIの進化が急速に進む時代、蓄積されるデータの重要性が高まり、企業においても、データの活用は業務の効率化や収益拡大の手段として注目されています。
データ分析というと遠い存在のように感じるところもあるかもしれませんが、私たちは天気予報やスマートウォッチなどによる健康管理、渋滞予測など様々なデータを活用しながら生活しています。データ分析はとても身近な存在なのです。
今回はデータ分析・活用の専門家である高橋威知郎氏にデータをどのようにビジネス戦略に活用するのか、その利点や導入のポイントについてお話を伺いました。
【監修・取材先】
高橋威知郎氏
ビジネスデータ分析コンサルタント
なぜ今、データ分析が注目されるのか?
スマートフォンやSNSの普及により、私たちの日常生活の中で膨大なデータが生まれ、蓄積されるようになりました。企業内でもDX(デジタルトランスフォーメーション)といったデジタル化の進展により逐次的にデータが発生していて、そのデータを活用し、業務の効率化や顧客ニーズの分析、収益の向上などに繋げようという動きが活発になってきたのです。
売り上げアップや収益向上など、数値として目に見える形で効果を把握できることがデータ分析のメリットでもあります。一方で、データの活用を成功に繋げるためには、いかにデータと真剣に向き合うかという企業の風土が欠かせません。
さらにデータ分析の重要性が高まっている背景として、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)など実際にデータを活用して大きく業績を伸ばしている企業があるというのも一つの要因です。
また、急速に少子高齢化が進み労働人口が減少する中で、データの力を使って、いかに業務を効率化できるかということが企業にとっても喫緊の課題となっているのではないでしょうか。実際にデータを活用することで、同じ業務をより少人数でできるようになったり、人手が無くても可能になったりといった事例もあります。
成功体験の積み重ねを!導入成功のカギは「自分事」と捉えられるテーマ選定
データ分析を社内で導入するにあたり、重要になってくるのがテーマの選定です。
中小企業や、大企業の支社、支店、子会社など比較的規模が小さい企業の方が、成功に繋がるケースが多いです。なぜなら、小規模であるほど業務内容や互いの影響力が各部署間で共有されやすく、全体像が見えているからです。
その上で、ある部署でデータ分析によって成果が出ると、身近な成功体験を目の当たりにすることでデータを身近な存在として感じることができ、自分事として捉えることができるのです。いかに自分事としてデータと向き合えるかが成功のための大きなポイントとなります。
ここで、テーマを選ぶにあたって最も大切なことは現場起点のテーマを選定するということです。現場からの声をもとに行動していくことで、従業員も自分事として捉えることができ、人任せではなく積極的に関わることができます。
ある製造業での事例をご紹介します。この企業ではこれまで機械の不具合を確認するためには、装置がある場所に足を運び、出力されている数値を確認する必要がありました。しかしこの作業は、広い工場の中を歩き回らなければならず、人手も労力もかかってしまっていました。
この現場の困りごとの解決に向けて、ある一室で機械の異常を確認できるようにするためDX化を検討することになったのですが、システム導入など大きな予算がかけられない状況にありました。
結局、この企業で実施したのは、Webカメラを装置の前に設置して表示されている数値を読み取り、それをデジタルデータとしてパソコンやスマートフォンで確認できるようにするということでした。数万円程度のコストで、人が動き回らなくても迅速に不具合を発見できるようになったのです。
このように、まずは現場で困っていることを列挙し、その中でデータを活用すると改善できそうなことを話し合い、テーマとして選定していきます。簡単ですぐに成果が出そうなものから取り組むことも重要です。そしてデータを活用することで、現場の課題が解消できたという体験をすることで、従業員の意欲も向上し、次の一歩に繋がっていきます。
コストダウンや受注件数・受注率の向上など成果に繋げられたときには、成果報告会のような形で、社内で共有する場を設けることもおすすめです。自社の成功事例を知ることで、従業員がより身近に、自分事として捉え、モチベーションの向上や学ぶ行動に繋がっていきます。
データはあくまでも脇役!効率化して生まれた時間をクリエイティブなことに
データはあくまでも脇役です。「データを使うことで私たちの負担が減り、楽になる」。これがデータ分析における最大の指標です。つまり、効率性や生産性を向上させ、人手が無くてもできることを増やしていくということです。
データをうまく活用することで、売り上げを平準化・安定化させ、コストを削減し業務を効率化していくことができます。そこで生まれた時間をクリエイティブなことや新しいことへのチャレンジに費やすことができるのです。売り上げを安定化させていることで、リスクを考えすぎず、大きな挑戦もしやすくなるのではないでしょうか。
つまり、データの活用の最大のメリットは、自分たちのリスクを減らして、いかにリターンを大きくするかということなのです。資産運用でいうポートフォリオ(運用する金融商品の配分や組み合わせ)のようなイメージです。そしてチャレンジする余力を生み出すことで、さらに企業成長に繋げる起点にしていくことができます。
データを活用することで、何かが劇的に変わる、新しいものが発見できると思いがちですが、魔法のように売り上げが上がり、社内の問題解決が一瞬で実現できるものではありません。データはあくまでも過去のもの、過去を記録しているもの。大きな夢を描いて取り組むのではなく、着実に堅実に目の前にある課題を解決するためにデータを分析していく、過去の蓄積を活かすという意識が大切になってくるのかもしれません。
データの活用で現場・企業に変革を生み出せる!
前述したように、データの活用を成功に導くためには、いかに自分事として捉え、社内全体で前向きに取り組めるかが一つのポイントになってきます。まずは、社内や部署全体でデータ分析を導入するメリットを共有し興味・関心を高め、社内に意欲的に取り組むムードを作り出すためにも、セミナーの開催がおすすめです。
今回お話を伺ったビジネスデータ分析コンサルタントの高橋氏の講演では、データを活用するメリットや、成功・失敗事例も含めたデータを活用した具体的な事例も紹介しています。そして実際に成果がでるためのポイントやデータ分析の進め方・ノウハウなども学ぶことができます。
データの活用で成功した企業に共通してみられる要素の一つに、組織のトップや経営層が意欲を持って取り組んでいるということも挙げられます。
自社に合ったデータ活用や具体的なノウハウなどについて興味のある経営者の方や企業担当者の方、社内の困りごとを一つずつ解決していくための一つの手段としてデータ分析を活用してみませんか。データ分析について具体的に学べる研修の実施をぜひご検討ください。
高橋威知郎 たかはしいちろう
ビジネスデータ分析コンサルタント
中央省庁・コンサルファーム・大手情報通信業など、一貫してデータ分析業務を担う。【手軽・安価に「ビジネス貢献するデータ分析」の実務利活用】を提唱している。データ分析コンサル、データ分析者育成支援、セミナーなど、幅広く活躍中。「営業生産性を高める! 『データ分析』の技術」など、著書多数。
講師ジャンル
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実務知識 | 営業・販売・マーケティング |
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プランタイトル
近未来を見据えた営業活動のためのデータ分析
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