弊社のオンライン講演サポートをスタートさせて早4年が経ちました。コロナ禍の終息とともに、サポート回数は減ってはいるものの、私が担当する学校市場ではいまだに一定のご依頼があります。
オンライン講演のサポートで最も注意している点は、主催者様と聴講者の方々に「最上の一期一会を提供すること」。オンライン講演の中でもライブ配信は、一発勝負の部分があり、失敗は許されません。

今回ご紹介する講演は、3場面が転換する構成でありながらも、緻密なタイムスケジュールとリハーサルのおかげで、よりよい視聴環境を提供することに成功しました。

開催後の主催者アンケートは、講師、弊社サービスともに満点をいただきました。満足度の高かった本案件の全容をお伝えします。

自治体・医療福祉・公的団体・学校・PTAチーム

講演テーマ: いじめられっ子のぼくが落語家になったわけ
講師   : 林家染太 氏
主催者  : 北海道内PTA会  様
開催日時 : 2024年11月中旬
講演時間 : 90分
聴講者人数: 約130名
講演タイプ: ライブ配信

広大な地域をつなぐオンライン講演

本講演は、北海道内にある地域のPTAが合同で行った子育て研修会で、弊社がサポートするのは今回で3回目となります。主催者様は、広大な北海道の地域性を考慮し、聴講者が自宅からでも参加できるライブ配信を選択。3町から約130名の親子がオンラインで参加しました。
弊社のスタジオから、主催者様と聴講者が集まっている会場、個別接続の聴講者のご自宅を結び、ライブ配信でお届けするスタイルとなりました。

親子で楽しめる内容へのシフト

主催者様からの「家族で楽しみながら学べる内容にしたい」というご要望を受け、今回は落語家の林家染太さんを講師に迎える事となりました。
染太さんによる「自身のいじめ体験を交えた講演」の後に落語や南京玉すだれのご披露も頂いて、笑いと感動を織り交ぜた親子の心に響く講演会となったかと思います。

念には念を。2回のリハーサルの模様

第1回打ち合わせ: 場面展開に苦労したスケジューリング

▲当日のタイムスケジュール

オンライン講演の準備では、事前打合せ・リハーサルが成功の鍵を握ります。開催1か月前の打合せでは、主催者様と私で、Zoomの設定確認や進行計画のすり合わせを行いました。
弊社側での課題として、「落語や南京玉すだれ、講演の各パートをどうスムーズに切り替えるか」が見えてきました。

多くの場合、オンライン講演の運営サポートはスタッフ1名で対応しておりますが、今回は、ホワイトボードを使い立って行う講演の場面と、高座の上で行う落語の場面、その後で南京玉すだれを披露される場面の3場面で構成され、その時々で音響やカメラ画角の調整、舞台転換を行わなければなりません。

私は学生時代から演劇経験がありますが、場面転換のある本講演は1名だけでは対応が慌ただしくなると考え、もう1名のスタッフに場面転換のサポートを依頼することにしました。私がZoom調整と全体の音響調整、1名が場面転換と出囃子の操作、カメラ調整を行うことで、スムーズに進行ができるのではないかと考えました。何度も場面転換のシミュレーションを重ね、どこでだれが何をするのか、より細かなタイムスケジュールを作成しました。そのスケジュールを見ながら、当日のトラブルにも万全な対応で臨めるよう、スタッフ間で起こりうるトラブルを洗い出し、その都度、どのように対応すべきか準備しました。

直前リハーサル:音響トラブルの発見と対応

▲今回のオンライン講演でも使われた音声ミキサー

本番の2日前に行われた直前リハーサルでは、本番の弊社スタジオから主催者様側の会場をつないで、当日の流れの再確認と音響・舞台転換のリハーサルを行いました。

音響チェックでは、講師の登場とともにBGMとして流す出囃子の調整に一番苦労しました。講師のマイクの音とCDからの出囃子の音を、いったん外付けミキサーで調整してからZoom側に送っていたのですが、最初は出囃子を流した時になぜか音質が悪く、いろいろと試した結果、Zoomのノイズキャンセリング機能が出囃子の音を消してしまうことが判明しました。

ノイズキャンセリング機能とは、人の声を明瞭に聞き分けられるように人の声以外の音を低減する機能です。マイクからの音だけであればこの機能があった方が鮮明な声になるのですが、様々な楽器の音が組み合わさった出囃子の音ではこの機能が出囃子の音を雑音と判断し低減するせいで、視聴者側では出囃子の音が切れ切れになり聞こえてきます。そのため、ノイズキャンセリング機能を無効にして、BGMをクリアに届けるため「オリジナルサウンド」を有効にしました。オンライン配信ならではの特有の課題でしたが、この設定変更により出囃子の音も視聴者に適切に届く環境にできました。

また、本番の進行に沿って場面転換も再現したことで、主催者様と当日のイメージのすり合わせができました。

細部まで徹底した最終準備

▲当日は場面転換で必要なすべての道具を準備した

当日、私たちスタッフは開始の2時間前にスタジオに入って、機器や舞台の準備を行いました。音声トラブルに対応するため、マイクもピンマイク、ハンドマイク、卓上マイクの3本を用意し、机の上に並べておきました。

開始1時間前に染太さんが会場入りし、まずは主催者様とオンラインで挨拶をした後に、接続テストとリハーサルを行いました。その際に、染太さんから出囃子をどのタイミングで出して消すのかなどが書かれた指示書をいただいたため、それをもとに、再度、出囃子の音声とタイミングを最終チェックしました。

また、資料投影のタイミングや画角の調整には入念に時間を割き、聴講者が快適に視聴できる環境を整えました。

舞台転換をスムーズに進行

本番では、特にスムーズな場面転換に気を使いました。タイムスケジュールを見ながら、場面転換の時には私がZoom全体を調整している間にもう一人のスタッフが出囃子をスタート、ホワイトボードを画面の外に運ぶなどを行い、円滑に場面転換を行うことができました。これにより視聴者側には途切れることなく視聴いただける事が出来ました。

笑いあり、涙あり、教訓ありの講演

▲前半では、立った形でいじめ体験の話を語った

染太さんの講演は、笑いと感動を絶妙に組み合わせた内容で、親子の心に深く響くものでした。

講演は、軽い自己紹介から始まり、大阪の射的場で見かけた「実弾禁止」の看板を紹介するなど場を和ませる笑いをとりながら、話題は中学時代のいじめ体験の話へと移っていきました。

当時、クラス委員長だった染太さんは、いじめられていたクラスメイトを守ろうとした結果、自らがターゲットになり、暴力や教科書を破かれるなどのつらい経験をしたそうです。家族に相談できない中、唯一心を開けたのが釣り好きの祖父でした。ある夜、祖父にいじめのことを話すと、祖父は「なんで気づけなかったのだろう」と涙しながら、自分の戦争体験を語り始めました。

祖父は太平洋戦争中、満州に動員され、その後シベリアで捕虜として3年間強制労働を経験。戦友が亡くなる間際に「こんなくだらない戦争を二度と起こさない国を作ってほしい」と言った言葉が心に残っていると語ったそうです。そして、祖父は染田氏に「お前がここにいるのは、学校に行きたくても行けなかった多くの人々の命のバトンがあるからだ。死んではいけない」「いじめている人たちは本当に大切な友人ではない。お前を大切にしてくれる人の言葉を信じろ」と伝えました。

祖父の言葉に背中を押され、両親と担任にいじめを打ち明けると、大人たちは「本気で守る」と誓ってくれました。それからいじめっ子たちに厳しく注意をしてくれ、事態が改善していきました。このエピソードを通じて、染田さんは「子どもたちの小さなSOSを見逃さないでほしい」「周りの人が守ってくれていることを伝える大切さ」を強調しました。

▲落語を披露する染太さん

逃げることは挑戦への第一歩

さらに、「逃」という漢字を書き、「しんにょう」を「手」に変えると「挑」になることを示し、逃げた後に挑戦が待っているという教訓をユーモアを交えて説明。シマウマがライオンから逃げる例を挙げ、まずは命を守ることが先決と訴えました。その上で、周囲の大人は、日ごろから子どもたちに命の大切さを説き、「つらい経験の先には楽しいことが待っている。だから今は逃げたっていいんだ」と一言一言をかみしめるように語りました。

参加者からは「子どもと一緒に聞けて本当によかった」「笑いと感動が交互にあり、心に残る講演だった」といった声が多く寄せられました。
主催者様からの開催後アンケートは10点満点で、以下のような感想が届きました。

「幸せのポイントカード」や「ピンチの後に楽しいことがある」など、具体的な提案があり、参加者にとって学びの大きな内容だった。親子で動画視聴された参加者もいて楽しく学べたようである。
さすがの語りと、実体験にもとづく内容であった。参加者にとって時間を感じさせず、有意義な学びを提供できると考える

講演はライブ(生き物)である~一期一会の瞬間を支える弊社のサポート

オンライン講演は「生き物」と言われるほど、リアルタイムで進行する一度きりのイベントです。そのため、どんなトラブルにも対応できる準備が欠かせません。今回の講演では、事前リハーサルを重ね、あらゆる課題を解決し、本番での成功を実現しました。

弊社では、オンライン講演を単なる「配信」にとどめず、視聴者に感動と学びを届ける「ライブ体験」として提供しています。Zoomを活用した配信では、音響調整、舞台転換、進行管理など、細部にわたるサポートを行います。

主催者様や参加者の満足度を最優先に考え、技術的な課題をクリアしながら、より質の高いサービスを目指しています。次回の講演やイベントでオンライン形式をご検討の際は、ぜひ弊社のサービスをご利用ください。一期一会の瞬間を全力でサポートします。問い合わせを心よりお待ちしております。

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