認知症850万人時代の到来

認知症とは、何らかの原因で記憶力・判断力などの脳の認知機能が低下してしまい、日常生活に支障が出る状態のことを言います。少し古い情報にはなるので今はもう少し数が増えていると思いますが、2012年に厚生労働省研究班が発表した認知症高齢者の推計によると、3079万人と言われる65歳以上の高齢者人口のうち、「要介護認定(日常生活自立度Ⅱ以上)の方」が305万人、「日常生活自立度Ⅰ、または要介護認定を受けていない方」が157万人、「軽度認知障害の方(全ての方がなるとは限らない)」がおよそ400万人いると言われています。

認知症の原因として一番多いのはアルツハイマー病が約70%、次が脳血管障害で約20%と言われています。認知症になったら記憶障害や徘徊、幻覚、無気力、暴言・暴力などさまざまな症状が出てきます。失行(歯磨きなど日常的に行ってた行動が出来なくなる等)、失語(言葉が出てこない)、失念(子どもや孫の顔を忘れる等)は認知症の中核症状と言われます。これらの症状は、普段とは違う状況や環境からくるストレスが原因となり出てくることが特に多いと言われます。そのため、周囲の人が温かく接することや安心して暮らせるような環境を整えることで認知症の進行を緩めたり症状を緩和させるのではと、現在介護の現場ではさまざまな研究が繰り返されています。認知症というと悲観的な情報だったりネガティブなイメージを持たれる方が多いと思いますが、認知症は特別なものではなく誰でもなりうるごく自然なことなのだと思ってください。

 

住み慣れた地域で暮らし続けるために

「認知症の人と家族の会」のアンケートでは、家族の変化を感じてから平均9.5カ月後に初めて医師の受診を受けたという結果があります。その理由は「本人が病院に行きたがらなかった」「年齢によるものだと思ってた」「どの診療科や医療機関に行けばよいかわからなかった」などがあるそうです。そんな中、実際に診察を受ける先としてアンケート結果で一番多かったのが地元のかかりつけ医です。普段やり取りをしている先生だと最初の変化に気づきやすく、一番信頼できるからだそうです。また認知症に関する相談窓口や情報提供を行っている地域包括支援センターの利用も有益だったというアンケート結果もありますが、実は地域によってはその存在を知らない方も意外と多いようです。その他では予防教室や認知症カフェ、訪問介護、デイケアなど、地域ごとに活用できる制度や設備は色々とあります。住み慣れた地域で暮らし続けるためにも、元気なうちにしっかり調べて知っておくことと同時に、できる限り地域とのつながりを持つことが大切です。

 

認知症のリスクを知り予防・対策を行う

認知症予防を行う上で大切なことは、何がリスクであるかを知り、その対策をしっかり行うことです。 認知症のリスクとして挙げられる中で「生活習慣病」、特に糖尿病はアルツハイマー病と深く関係していると言われています。また高血圧・脂質異常症も認知症のリクスにつながると言われます。生活習慣病にならないように食事や運動に気をつける生活を行うことが認知症予防につながってくると言えるでのはないでしょうか。また新聞や書籍など文字を読んだり、将棋やオセロなど頭を使うゲームをする、家族や友人、知人などとの会話をするなど、脳に刺激を与える知的な生活・活動を行うことも非常に重要です。そのような生活を日常的に行うためにも、定年後も仕事を続けたりボランティアや生涯学習関係のサークルへ参加するなど、何かしら社会とのつながりを持つことを大切にしてください。 では最後に皆さんと一緒に手を動かして脳トレゲームをしてみましょう。

 

認知症850万人時代を支える地域医療とは?
病とともに地域で生きる

久田直子 ひさだなおこ
元NHK「きょうの健康」キャスター
NHKEテレの健康情報番組「きょうの健康」司会を15年間続けてきました。話を聞いた医師、医療、介護関係者700人以上。生活習慣病、認知症、がん、女性の健康、高齢者の食事と運動、セカンドオピニオンの取り方や医師からの話の聞き方、医療情報の取り方など、幅広いテーマでお話しできます。

 

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「2025年問題」が示すように、日本では3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎えようとしています。高齢者中心の人口構造へ変化する中で、高齢者世帯の増加、認知症を患う高齢者の増加、死亡者数の急激な増加などの問題が生じており、福祉や介護、医療の現場では対策の検討と準備が進められています。「地域ではどのような取り組みをすれば良いのか?」さまざまな疑問や課題に対し、おすすめの講演テーマや講師をご提案いたします。

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