労働災害を防止するため年に1回開催される安全大会。
しかし、コロナ禍や天災などで、その安全大会を開催できるかどうか、判断に悩むことあります。

そこで今回は、安全大会を中止にする際の判断基準とその事後対応や案内文の書き方についてご紹介します。

2020年の安全大会の多くが中止または規模縮小に

現場で働く人たちの安全に関する意識を高めてもらうために開催される安全大会。

しかし、コロナ禍の2020年においては、最初の緊急事態宣言により、安全大会のほとんどが中止や延期、規模縮小で行われる形になりました。
大手では、大林組・清水建設・竹中工務店などが全国の開催を中止しています。このほか大成建設は1カ所に大勢の職員が集まることを避け、支店幹部や協力会幹部による小規模の安全推進会議を開きました。その他の企業では、ほとんどが中止となり、中にはオンライン開催に変更したところもありました

2021年度も、第2回目の緊急事態宣言が発令され、開催か延期かで足踏みしている企業も多くあるようです。

とはいえ、安全大会は開催すべき催事

そもそも安全大会は、ヒューマンエラーを原因とする労働災害を減らし、現場の安全意識を高めることを目的としています。その年の安全目標とスローガンを立て、安全対策に関するセミナーなどのプログラムを受講することで、現場全体の安全意識の向上を図ります。

1972年に制定された労働安全衛生法では、現場で働く方々に対して安全衛生教育を行うことが義務化されており、安全大会はその一環として行政が推進している催事です。
コロナ禍で3密を避ける必要があるとはいえ、安全大会は開催すべき催事であるといえます。

中止か開催すべきかの判断基準

計画していた安全大会を中止にするべきか開催すべきかの判断基準については、さまざまな団体がすでに示しているものがあり、参考にできます。
またその基準には新型コロナ感染症流行に伴う事柄だけではなく、災害時のものもあります。主な判断基準の例は以下の通りです。

  • 緊急事態宣言が出された場合。
  • 暴風雨または洪水などの警報や特別警報が出されている場合(大雨警報程度なら中止にならない場合もある)
  • 開催地に直接影響する地震が発生した場合
  • 開催地の近くで地震が起き、交通公共機関の乱れで参加者が会場まで移動することが困難な場合、または二次災害の恐れがある場合
  • 行政から自粛の要請があった場合
  • 主催者自らが催事のガイドラインにそった運営ができないと判断した場合

緊急事態宣言が出ていたり、行政からの自粛の要請があったりする場合は3密を避けるためにも開催は中止または延期、もしくはオンライン開催での開催に切り替える必要があります。また、自然災害によって大会に参加する方々の安全が保障出来ない場合についても同様です。

中止になった場合の対応

安全大会が中止になったら、まずは、どのように対処するのかをすみやかに決定する必要があります。中心になった場合にしなければならないことを、順番で解説します。

1. どのような対処をするのかを決める

まずは、安全大会を中止するのか、または延期なのか規模縮小かなど、どのように対処するかを決めます。対処方法によっては想定される対応が異なります。対処方法と想定される対応は以下の通りです。

中止 中止を決めたら速やかに会場や講師依頼先、レンタル先、関係者に中止になった旨とその理由を連絡します。連絡漏れが無いように注意しましょう。

延期 具体的な日付までは決められないため、開催可能な大体の時期(例:2~3カ月後、秋ごろ、来年など)を決め、会場や講師依頼先、レンタル先、関係者に報告します。

規模縮小 講演のみオンラインで行う、一部の代表者だけが出席する、会長挨拶のビデオや資料だけをダウンロードなど、規模縮小の方法はいくつかあります。今回はどの程度の規模縮小とするのか、いつ頃行うのかなどを、関係者のスケジュールや費用などを見ながら決めます。

2. 関係者に中止を告知する

中止になったときにはなるべく早く、関係者全員に中止の案内を告知します。
告知方法は電話やファックス、メールに加え、公式サイト、SNSなどのツールを使用して漏れがないように伝えます。

案内文には冒頭に挨拶、中止になった理由、中止なのか延期なのか、規模縮小かの対応方法、次回の予定、最後の挨拶などを盛り込みます

<案内文の例1> 中止する場合
毎年〇月開催しております「〇〇建設安全大会」について、今般の新型コロナウイルスの感染拡大並びに緊急事態宣言の発令の状況を鑑み、本年度の開催を中止させていただくこととなりました。

引き続き社内における安全教育を徹底し、労働災害ゼロを目指して取り組んでまいりますので、関係各位の変わらぬご協力をよろしくお願い申し上げます。

<案内文の例2> 規模縮小する場合
拝啓、皆様におきましてはご清栄のこととお慶び申し上げます。

弊社ではこの度、令和〇年〇月〇日(〇)に開催を予定しておりました「〇〇建設安全大会」につきまして、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大予防と、皆様の安全を考慮いたしました結果、やむなく開催中止とさせていただくこととなりました。

本来であれば、皆様をお迎えし、全員で安全安心の想いを一つにしたいという気持ちはありますが、何卒、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

尚、今回の安全大会につきましては3密を避ける形に変えオンラインにて実施する予定です。詳細については後日ご連絡させていただきますのでよろしくお願いいたします。

敬具

3. 関係会社に所定のキャンセル料を支払う

安全大会が中止になった場合、関係各所に所定のキャンセル料を支払う義務が生じます。キャンセル料が発生する可能性があるのは、会場や講師依頼会社、設営会社、リース会社などです。

それぞれ所定の期間のよってキャンセル料が定められていることが多く、それに従うことになります。

ただし、中止の理由が新型インフルエンザによる緊急事態宣言下や天災など不可抗力である場合に、キャンセル料の一部または全部免除の場合もあります。また、延期が決まっている場合はキャンセル料が不要になるケースもありますので、契約時にしっかりと確認しておきましょう。

中止を想定して催事前に確認しておきたいこと

特に現在は新型コロナウイルス感染症の拡大状況に伴う安全大会の中止が想定されます。安全大会の開催を計画するとともに、中止にした場合についても確認してください。事前に主催者側で話し合っておくべき事項については以下のような事柄です。

1.中止になった場合の対策(中止、延期、縮小実施など)
中止になった場合の対策については、中止にするのか延期にするのか、規模を縮小するのかについて決めておきます。
また延期にするのであればその候補となる時期、また規模の縮小ならどの程度縮小するのかなどについても検討してください。

2.会場、機材リース代、講師依頼代などのキャンセル料
会場や機材リース代、講師依頼代などのキャンセル料については、契約時にどのような条件で支払い義務が生じることになるのかをしっかり確認します。

開催日の何カ月前から何%ほどのキャンセル料が生じるのか、また天災や新型コロナウイルスなど不可抗力が中止の理由となった場合にキャンセル料が免除するのかも確認しておきましょう。

3. 中止なった場合の告知方法
中止になった場合の告知方法や担当者、誰に知らせるかなどを決めておくことで、スムーズに漏れなく告知を行うことができます。参加者や関係者のメーリングリストを作成しておくのもおすすめです。

中止リスクを回避してオンラインの代替策を用意しておく

コロナ禍の現在のように、先が読めない状況の中では、リアル開催を考えつつ、何かが起きた場合にはオンラインなどの代替プランを用意しておくと安心です。
今年度の開催に向けて、リアル開催で動きつつ、オンライン開催も視野に入れて考える主催者様も多数いらっしゃいます。

弊社でおすすめといるオンライン講演プランは以下の通りです。

A. 会場からの生配信タイプ
通常より半分以下の聴講者と講師が会場に集まり、一部の聴講者はオンラインで参加するものです。安全大会は親睦の目的もあるため、この方法を選択される主催者様も多いです。

B. 講師から会場聴講者へ生配信タイプ
一つまたは複数の会場に聴講者が集まり、講師は自身の事務所や貸会議室・スタジオから講演を配信するタイプです。聴講者が集まる会場をいくつかに分けることで、3密を回避することもできます。また、遠方の講師を呼ぶことができ、講師の移動費も不要となるためコストダウンが図れます。

C. 講師から個別視聴者へ生配信タイプ
講師も聴講者も異なる場所から参加するタイプです。講師も聴講者も一カ所に集まることがないので、コロナ禍でも感染リスクなしに開催することができます。

D. 録画配信タイプ
事前に講師の事務所や貸会議室・スタジオで録画したものを、後日聴講者にオンデマンドで配信するというものです。聴講者はいつでも好きな時間にどこからでも見れるというメリットがあります。A~Cでライブ配信したものを録画し、後日参加できなかった人に向けてその動画を共有する併用プランもあります。

 詳しくは、「3密を避けての開催可能!弊社がおすすめするオンライン講演タイプを詳説」

このように、オンライン安全大会もさまざまなタイプがあります。
緊急事態宣言下で先が見通せない状況においても、オンラインを代替プランとして考えることで安全大会を計画することはできます。もし、本年度の安全大会の開催を迷っているのであれば、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。ご相談は無料です。
リスクヘッジを考えながら、最適な開催の方法をご提案いたします。

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