コロナ禍以降、さまざまな場面でオンラインが活用されています。
新人研修もその一つで、年々多くの企業でこのオンラインによる研修が計画されています。
そこで今回は、オンライン開催で新人研修を行う方法やメリットやデメリット、オンライン研修を成功させるコツを紹介します。
オンライン新入社員研修、導入企業の8割が継続実施に意欲的
まずはmanebiが全国の人事・教育担当者439名に対して行った「2023年新入社員研修に関する調査」のサマリーを紹介しましょう。
前年と比較すると、新入社員研修に「オンライン研修と対面研修を併用」した企業が7.2%増加しました。その結果、オンラインのみ、および併用企業の合計が「50.8%」となり、対面研修のみ(49.2%)の数を上回りました。
またオンライン新入社員研修を実施している企業のうち8割以上は、今後もオンライン研修を継続する予定と回答しています。
コロナ禍の終息で対面研修に回帰する企業がある一方、オンライン研修は経験済みの企業から一定の評価を得ており、新入社員育成にも有効な手法として認識されている傾向がうかがえます。
オンライン研修の方法
3密を避けることができ、メリットも多いオンラインでの研修。
そんな研修の方法には以下のようなものがあります。
1.双方型
2.一方通行型
3.オンデマンド型(eラーニング)
それぞれの方法の特徴について見ていきましょう。
1.双方型
Zoomミーティングなどweb会議ツールを使って、講師と受講者が顔を見て話しをしながら研修を行います。
双方向にリアクションを伝えることができるので、これまで集合型で行ってきた研修内容に近い形の研修にすることが可能です。グループワークやロールプレイングなどの参加型研修におすすめです。
ただし、時間を統一する必要性があり、研修中にPCやインターネットのトラブルがあった際に他の受講者にも影響が出る可能性があるなどのデメリットがあります。
2.一方通行型
講師が研修をライブ配信し、受講者はそれを視聴する形です。
リアルタイムで配信が行われることにより、配信ツールのチャットやアンケート機能などを使って受講者と質疑応答を行うことができます。座学や講義型の研修に向いています。
しかし、双方型のように講師と受講者で顔を見ながら、話をしながらといった交流ができないため、グループワークやディスカッションタイプの研修には不向きです。
3.オンデマンド型(eラーニング)
事前に収録した研修を、受講者が後日PCやタブレット、スマートフォンなどを使用し視聴するタイプです。eラーニングなどで用いられています。
受講者の好きな時間に視聴することができるので、他の受講者と時間を調整する必要はありません。また、繰り返し視聴が可能で、復習する際にも便利です。
ただし、受講者が何かわからないことがある場合に、リアルタイムでの質問ができないことがデメリットとなります。
5ステップで解説 オンラインにおける新人研修の開催手順
それでは、新人研修をオンラインで行うには、どのような手順で進めればよいのでしょうか。11ステップで解説します。
Step1.対象者と研修目標の設定
まずは対象者は誰で、受講者がどのような目標を達成するためにオンライン研修を実施するのかを明確にします。
Step2.研修カリキュラムの設定と講師の選出
次に、設定した目標を受講者が達成するためのカリキュラムを企画・設定していきます。
研修内容やカリキュラム設計については、この記事で後述する「研修成功のコツ」を参考にして組み立ててください。
そのカリキュラムにもとづいて、具体的なテーマや予算を考慮しながら、適切な講師を選出します。社内講師・社外講師のどちらにするのかなどを検討しましょう。
Step3.オンラインの手法(ライブ、オンデマンド、ハイブリッドなど)、プラットフォームとツールの選定
そして実際に配信する手法を決定します。具体的には、以下のような選択肢があります。
- 先に紹介した「双方型」や「一方通行型」を含むライブ配信
- オンデマンド(アーカイブ)配信
- ライブ配信+オンデマンド(アーカイブ)型、集合型+ライブ配信等のハイブリッド型
ツールとしては一般的には、ZoomミーティングやMicrosoft Teams、Google Meetなどがよく使われます。
また、自社で取り入れているeラーニングなどの学習システムやプラットフォームにオンライン研修機能があれば、それを利用するのも良いでしょう。
Step4.収録・中継会場の手配
続いてのステップは収録・中継会場の手配です。
社内会議室やレンタルスタジオを予約するほか、講師が自らのオフィスから配信するケースも少なくありません。
Step5.研修スケジュール決定
場所のめどが立ったら、次は具体的な研修スケジュールを決めます。受講者が参加しやすい曜日や時間帯等を考慮しましょう。
例えば、職場によって、例えば1日のみ6時間で完結するほうが適した場合と、1日あたり1時間を6日間行うほうがよい場合とがあります。
Step6.講師との打ち合わせ
次の段階では、講師との打ち合わせが必要です。
研修内容がある程度定まったら、講師へ共有しましょう。研修目的や期待する効果、受講者とのやりとり方法などについて、内容はもちろん、技術面についても念入りに打ち合わせます
Step7.参加者への案内
講師と研修内容についてすり合わせできたら、受講者へ案内してください。
研修の目的やカリキュラム、アクセス方法などについて事前にしっかり周知しておくのが大事です。さらに、ツールの操作方法がわかるページへの誘導などがあると親切でしょう。
当日の接続や進行でバタバタしたり、参加者に「研修が無意味だった」と思われたりしないためにも、このステップを怠ってはいけません。
Step8.必要な機材の手配
続いて機材手配です。クオリティの高い配信を実現するため、マイクやカメラ、パソコンなどの機器や接続コードを不足なく揃えます。
会場を借りる場合は、現地の電源や通信環境なども事前にチェックしておきましょう。
Step9.資料・教材、アンケートの準備
開催が迫ってきたら、資料として当日のタイムテーブルや台本を作成し、関係者間で共有します。
教材はPDFなどのドキュメントのほか、動画を取り入れるのも効果的です。実務に沿った内容で受講者の興味と学習効果を高めましょう。
また当日受講者に周知するテストやアンケートの準備も、この段階で完了させておきます。
Step10.当日準備、リハーサル、実施、実施後アンケート
いよいよ研修の当日です。本番前に進行と配信を兼ねたリハーサルを行い、システムの動作や接続の安定性をしっかり確認してください。
開始後は研修の様子をモニターし、スムーズに進むよう講師や受講者をサポートします。用意したアンケートも忘れずに配布しましょう。
Step11.研修後のフィードバックや効果測定
研修後のフィードバックも重要です。受講者が研修を通じて得た知識やスキルを仕事の現場で生かせる仕組みを作り、日報で報告するなどのルールまで用意できると理想的です。これには、本人の上司やチームとの連携も不可欠です。
さらに研修自体の効果測定も必要です。受講者にアンケートで段階評価や改善点を寄せてもらい、次年度の新入社員研修に生かしましょう。
オンライン新人研修のメリットとデメリット
コロナ禍から急速に需要が拡大したオンライン研修ですが、接触をさけて実施できるという以外にも多数のメリットがあります。そのメリットとともに、デメリットも解説します。
オンライン研修のメリット
オンライン研修は主催者と受講者、それぞれにメリットがあります。
【主催者側のメリット】
1. 研修内容の質を均一に保てる
これまで行われてきた集合型研修では、受講者が多いために同じ内容の研修を何回かに分けて行う場合がありました。しかし、オンラインであれば人数が制限されず、一度に多くの受講者が同じ研修を受けることができるため、分ける必要がありません。
また、録画したものを配信することによって、研修内容を受講者全員に均一に伝えることも可能になります。
2. 費用を削減できる
集合型にかかる費用の中には、一堂に会する会場費やそこに集まるための交通費、宿泊費などが必要です。しかし、集合しない形で新人研修を行うことでこのようなコストをカットすることが可能です。
3. 準備の負担が減らせる
オンラインであれば、集合型のように会場や宿泊所を手配したり、機材や道具をセッティングしたりする必要がなくなるため、主催者側の負担が減らせます。
【受講者のメリット】
1. 復習を行いやすい
オンライン用の配信ツールは録画機能がついているものもあり、受講者は録画したものを見ながら復習することができます。反復学習できることで、さらに知識やスキルの定着が図れます。
ただし、講師によっては著作権の問題で録画や事後視聴を制限している講師もいるので、録画する際は事前に講師へ許可をとる必要があります。
2. 場所や時間に制限されず受講できる
オンラインの場合、インターネット環境とPCやスマートフォンなどのデバイスさえあれば、好きな場所から受講できます。また、オンデマンド型なら、場所だけでなく時間にも制限されずにいつでもどこからでも受講可能です。
3. 移動する時間と費用が削減できる
移動する必要がないため、移動時間と費用を削減することができます。
オンライン講演のデメリット
オンライン研修はメリットだけではなく、以下のようなデメリットもあります。
1. 受講者同士がコミュニケーションをとる機会が減る場合がある
新人研修の一つの目的として、新人社員同士の親睦があります。通常の集合型である場合、休憩時間に会話したり、ゲームやレクレーションでより親密になれる機会がありますが、オンライン研修ではそうはいきません。同じ場所にいないため、一体感や連帯感が感じづらいといった面があります。
2. 実務的な内容が扱いづらい
従来の研修のように、『名刺交換をする』『訪問対応をする』などといった実務的な研修内容を取り扱うことが難しくなります。
例年、多くの実践的な内容を新人研修に盛り込んでいたというのであれば、変更点が多くなってしまいます。
3.受講者のモチベーションや集中力を維持しづらい
集合型研修では、同じ新人同士が集うため、緊張感が生まれ、やる気やモチベーションも起きやすい環境にあります。しかし、これがオンラインの場合、臨場感が伝わりづらいため、モチベーションも下がり気味に。また、同じ画面をずっと眺めているだけなので、集中力が持続しづらいという受講生も多いようです。
4. インターネットトラブルなど環境要因によって中断されてしまうことがある
受講者が個々のPCなどを使用して受講するこの研修では、通信が途中で途切れてしまったり、受講者がPCの操作を誤ってしまったりすることで研修が中断してしまう可能性もあります。
デメリットから考えるオンラインでの研修を成功させるコツ
どのような研修でも、デメリットはあります。
ここでは、オンラインでの研修を成功させるために、デメリットを補い成功へと導くコツをご紹介します。
受講者が積極的に参加できる仕掛けを作る
オンライン研修では、受講者が受け身になりやすくなります。
ただPC画面を見ているだけでは主体的に参加できないため、結果的に内容が身につかないといったデメリットが生じます。
これを解消するために、受講者が積極的に参加できる仕掛けを作るとよいでしょう。
双方向に関わることができるweb会議ツールを使用すれば、受講者同士または先輩を交えるなどの形でディスカッションなどができます。Zoomミーティングであれば、ブレイクアウト機能を利用することで、小グループに分けることができ、グループ内で討論やプレゼン、ロールプレイングなどのグループワークが可能になります。
課題などを設け、評価できる体制を作る
受講者の集中力を保持するために、途中で課題を設けることも効果的です。
テストや課題などを実施して、目的を達成させ、それらに伴う評価制度を取り入れることでモチベーションをアップすることができます。
フォローやフィードバックの体制を作る
特にリアルタイムで行われていない研修では、質問したいところがあっても質問先がわからない、返答がすぐには得られないといった困りごとが生じることがあります。
質問の受付窓口を作り、一定期間なるべく早く回答するといった仕組みを作ったり、配属後にOJT(On-The-Job Training)を用いて先輩社員がフォローできるような体制を整えることも有効です。
コミュニケーションの場を作る
オンラインでは、集合型に比べコミュニケーションの機会も減りがちになります。特に、周囲に人間関係が確立できていない新人にとって、この状況はとても心細く感じるものです。オンラインでできるゲームやレクレーション、オンライン歓迎会などを開催したり、研修の開始前と終了後に自由に会話できる時間を設けたりするなどして、交流できる機会をあえて作る必要があります。
コロナ禍の状態を見て、一部を集合型に切り替えて、直に交流する機会を設けてみてもよいでしょう。
途中でインターネットやPCの不具合が起きた場合の対処法を用意しておく
オンラインでは、インターネットやPCの調子が悪くなり、途中で切れてしまう可能性もあります。そのことを念頭において、事前に受講者のインターネットやPC環境を聞き、不十分でない場合は高性能のPCやポケットWiFiを貸与するとよいでしょう。
また、インターネットの調子が悪くなり、途中で退出を余儀なくされることも懸念されます。そのため、事前に再入場の方法やネットの不具合が起きた際の主催者への連絡方法を決めておくと便利です。
オンラインでの研修に必要なツール
オンラインでの研修を初めて行う場合、特別なツールを用意しなければならないと思い込んでいる人もいますが、実はたいしたツールは必要としません。
オンライン研修で必要なツールは普段オフィスで活用しているツールばかりで、初期費用が抑えられるというメリットもあります。
【主催者が必要ツール】
- PC
- webカメラ
- マイク
- スピーカー
- インターネット環境
- Zoomなどの配信ツール
受講者はマイク・カメラ付きのPCかスマートフォン、タブレットとインターネットのみで参加できます。
配信ツールについては使い慣れていない受講者もいますので、事前にテストできるようにすると安心です。
初めてのオンライン研修もトータルサポート
初めてオンラインでの新人研修の開催を予定している研修担当者様のために、弊社では専門スタッフがオンライン研修をトータルでサポートします。弊社は、オンライン研修のデメリットをカバーし、メリットを増幅させる方法と実績を多数持っています。
【弊社のオンライン研修の強み】
- 新人研修の実績は業界屈指
- オンラインと集合(リアル)研修を組み合わせられる
- 15,500人以上の講師から選べる
- 講義型、グループワーク型、ディスカッション型など多彩なプランをご用意
- Zoomなどの配信ツールも貸与可能。PCとインターネット環境さえあれば簡単に開催できる
オンライン研修にはメリットもデメリットもあります。弊社では研修の目的や目標、ご予算に合わせて、オーダーメイドでカリキュラムを組むこともできます。
専門スタッフがていねいにサポートさせていただきますので、まずはお気軽に無料相談フォームからお問合せください。
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