社会人としてスタートすると同時に始まる新人研修。
研修を受ける側がただ座って聞いているだけという受動的な状態になることなく、スキルや知識を習得してもらうためにもしっかりと目標を設定することが重要です。
そこで本記事では、新人研修の目標設定の仕方と内容をご紹介します。

新人研修の4つの目的

新人研修で企業側は、新入社員に社会人として身につけておいてもらいたいことや、自社の理念など知っておいてもらいたいことを伝えます。
具体的には以下の4つの目的があります。それぞれについて詳しく解説していきます。

1.社会人としての自覚やスキルを身に付ける
新人社員でまず必要となっているのが社会人としての自覚や礼儀作法です。新人研修の第一の目的として、取引先やお客様に対して、お辞儀の仕方や名刺の渡し方、敬語の使い方などの基本的なビジネスマナーの習得が挙げられます。実践の場で磨かれることもありますが、まずは新人研修で基本的な知識を身に付けることで、社会人としての自覚も促します。

2.会社の理念や事業目的、コンプライアンスを理解する
自社の理念や事業目的などは、就職活動の段階である程度理解している新入社員も多いでしょう。しかしながら、全員が共通の認識をしているわけではありません。
新人研修では改めて理念や事業目的を伝え、社会に対してどのような役割を担っているのか、またどのような社会的規範や倫理を持ち企業活動を行っているのかを理解させる必要があります。一社会人として必須の知識といえます。

3. 業務で必要な基本的知識や技術を習得する
新入社員は新人研修が終了した後、現場での業務に携わることになります。その際必要になるのが、業務に関する基礎知識や技術です。Microsoftのワードやエクセルの使い方、ビジネスドキュメントの作成方法など、基本的なスキルを実践研修で習得します。

4.社員同士のコミュニケーションを強化する
新人研修では、新入社員同士、また新入社員と先輩社員とのコミュニケーションをとる場が設定されることもあります。コミュニケーションでとることで、仲間意識が生まれ、困ったことがあればだれかに相談できる風土も生まれやすくなります。昨今、コロナ禍でリモートワークが増えていることもあり、このコミュニケーション強化は新人研修でも最も大切な目的の一つとなっています。

目的から目標(ゴール)を明確に設定することが重要

前述の目的を踏まえた上で、自社の新入社員にどのようなスキルや知識を身に付けてもらいたいのか目標(ゴール)を設定することが重要です。目標を明確に設定することで、以下のようなメリットがあります。

1.ゴールから盛り込みたい内容を選出できる
目標を設定すれば、おのずとどの内容が必要なのか選択しやすくなります。例えば、「コミュニケーション能力」がゴールであれば、「コミュニケーション術」にまつわる研修やグループワークを企画できます。また、目標の優先度を決めることも必要です。優先順位の高いものに研修時間を多く割くようにし、無駄のないカリキュラムを作成できます。

2.新入社員と共有することでモチベーションを保てる
新入社員にとっても、明確な目標があれば、頑張ろうという意識が高まります。また、その目標は何のために必要なのかという目的と連動することで、新入社員が自ら考えて主体的に動くことができます。同時に目標に向かう過程や結果をしっかりと評価することも重要です。習得した技術や知識をテストなどで測定したり、披露・発表できる場を設けるなど、定量化できる評価プロセスを導入するのもおすすめです。

3.目標と現状との隔たりを把握し、改善に結びつけられる
新入社員が目標を知らないまま研修を受けていると、現状とゴールとの間に隔たりがあることに気づくことができません。目標を知っていれば、自分は現在どんなスキルや知識があるのかを把握し、目標を達成するためには何が必要なのかを知る手助けになります。明確な目標があることで、新入社員それぞれが不足しているものを認識し、それを取得するためには何をすべきかを考える機会となるわけです。このような能力は「レジリエンス」と呼ばれ、現代の若者に必要な能力の一つと言われています。

目標を設定する際のポイント

目標を設定することの重要性はわかりましたが、では実際に目標を立てるには何からすればよいのでしょうか?目標を立てる際のポイントを解説します。

目的別に習得させたいスキルや知識を明確にする

目的別に習得させたいスキルや知識を洗い出します。
社会人としてのスキルであったり、コミュニケーションスキルであったりといった目的別にどのようなスキルや知識を習得してもらいたいのかを明確にします。

現在抱える問題や課題を反映させる

現在自社が抱える問題や課題が何なのかを考え、それを反映させます。
例えば、人材不足の課があり、そちらに配属させたい場合には、即戦力となるようなスキルや知識の習得を目標とします。

具体的かつ定量化しやすいものにする

目標は具体的かつ定量化しやすいものを設定します。例えば、「社会人としてのマナー」だけでは、どんなスキルや知識が必要なのか漠然としていてわかりづらいです。そのため、目標には、「顧客先に対応するためのビジネスマナーの習得」「電話対応の方法」など具体的な目標を設定することで、受講生にも目標を共有しやすくなります。
また、どこまでの習得を期待しているのか具体的に数値化した目標を立てることで、新入社員が自分で達成度を確認しながらワークを進めることができます。

目的別の目標の例

目的別の目標の例をご紹介します。
これらを参考に、自社に合った形にアレンジしてみてください。

1.社会人のスキル

社会人としての基本的スキルは、ビジネスマナーに始まり、社会人としてどのような行動をすべきか、といったことが焦点となります。

目標例:
・ビジネスマナーを理解し、それにそった行動ができる
・ビジネス文書、メールをマナーにそって作成することができる
・報連相のスキルが習得できている
・論理的な思考ができる など

2.会社の理念や事業目的、コンプライアンス

会社の理念や事業目的、コンプライアンスに関することは、比較的文章や図で表しやすい事柄です。穴埋め式のペーパーテストなどで点数化することで習熟度を測ることができます。

目標例:
・会社の企業理念を理解する
・事業目的を把握する
・コンプライアンスとは何か、また必要性を理解する など

3. 業務で必要な基本的知識や技術

業務で必要な基本知識や技術は、ロール・プレイングなどで習得可能です。
スームーズに接客ができているかどうか、業務の流れを理解しているかを先輩社員に確認してもらい指摘される点がなくなれば合格などとすることができます。

目標例:
・ワードで文書を作成できる
・エクセルで表作成ができる
・業務の流れを理解している
・顧客を把握している など

4.コミュニケーション

リモートワークを増え、ますますコミュニケーション能力の重要性は高くなっています。コミュニケーションではグループワークなど実践的な方法を用いるとよいでしょう。

目標例:
・聞く力をつける
・伝える力を身に付ける
・共感力を身に付ける など

新人研修ではよりわかりやすい目標を掲げることが重要です。この記事を参考にして、自社にあった目標を設定してください。

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