看護の現場において「離職率が高い」あるいは「患者さんの利用満足度が低い」といったお悩みはないでしょうか?これらの課題に対しては、看護師のコミュニケーションの質の向上も有効な手段です。
今回は看護の現場が劇的に変わる、コーチング研修について解説します。さらに当社おすすめの看護師向けコーチング研修プランも紹介しているので、研修のご担当者様はぜひ参考にしてください!
コーチングとは?
「コーチング」とは、相手に問いかける形で、対象となる人物から新しいアイデアや気づきを引き出すコミュニケーションの手法です。
コーチングの目的は相手の目標達成や自己実現を支援することですが、そのために「~をしなさい」などの具体的な指示は出しません。「~するためには、何が必要だと思う?」というように、相手が自ら考えて答えに辿り着くように促します。これにより本人の主体性を尊重し、問題解決能力を向上させます。
看護コーチングのスキルを発揮する場面としては、以下のようなシーンが考えられます。
- 病気と闘う患者に対して、生きる目標を引き出して支援するとき
- 後輩や新人看護師に対して仕事のやりがいを引き出して支援するとき
- メンバー間の対話を促し、チームを活性化するとき
- 看護師が自分自身をコーチングして、心身の状態を整えるとき
コーチング研修を開催するメリット
それではコーチング研修には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主な5つのメリットを解説します。
①看護師自身のコミュニケーションスキルが向上する
研修でコーチングを学ぶことで、患者が治療に対して後ろ向きになったときにも、対話によって治療の目的を見出してもらうことができます。また意欲が低下している同僚に対しても、看護の意義を再確認してもらうことができるでしょう。
患者や同僚との日々の対話のなかでコーチングを実践することで、相手の自発的な気づきや行動を上手に促すコミュニケーションのスキルが向上します。
②看護師が適切な後輩指導や人材育成を行えるようになる
看護の現場では、後輩看護師に対する先輩看護師のマンツーマンでの指導が一般的です。しかし、現場で働く全ての看護師が指導に必要な知識やスキルを備えているわけではなく、指導がうまくいかないことでストレスを感じてしまうケースも少なくありません。
研修でコーチングスキルを身に付ければ、後輩看護師の意欲や能力をうまく引き出せるようになり、後輩の指導や育成がスムーズに進められるようになります。
③看護師自身の自信回復につながる
コーチングにおいては、まずそれを実践する人の基盤を整えることが重視されています。これはコーチングを行う人本人が自信を持てない状態で、他人を支援しても十分な効果が望めないためです。コーチングスキルを学ぶことで、内なる自分の状況を客観視し、自身との対話によって解決策を導くことができるようになります。
例えば、人間関係の悩みを抱えている場合、コーチングによって自分がどのような行動を起こせば相手との関係が改善するのか、論理的に解決策を探っていきます。自身の力で問題を解決することで自信が得られ、自己肯定感が高まる効果が期待できます。
④患者さんの利用満足度の向上につながる
コーチング研修では傾聴や質問のスキルを身につけますが、これは患者さんとのコミュニケーションにも役立ちます。看護師がコーチングによって「退院後にどんな生活を送りたいか」「何のために治療を頑張るのか」といった目的を患者さんから引き出せれば、患者さんの入院生活はより充実したものとなるでしょう。
また看護師同士が互いにコーチングを実践すれば、対話が促されチームワークが生まれます。それによって質の高い看護が実践でき、患者さんの満足度向上につながります。
⑤組織活性につながる
看護師がコーチングスキルを身に付けることで、他の看護師を含め関わるすべてのスタッフの自発的な行動が促されます。例えば誰かが業務で不満を抱えている場合でも、看護師がコーチングによって「その問題に対して自分がやるべきこと」を相手に気づかせることで、他人任せにせず自らアクションを起こす方向へと誘導できます。
このように一人ひとりが自発的に行動すれば、生産性向上や人間関係の改善が期待でき、組織全体の活性化につながるでしょう。
看護師向けコーチング研修の主な内容
次に、看護師向けコーチング研修の具体的な5つの内容について解説します。
①コーチングの考え方
研修の始めに、受講者はコーチングの基本的な考え方を学びます。
コーチングは上司などが部下に対して行う一般的な指導とは異なります。相手に「教える」のではなく、対話のなかで「自ら気づいてもらう」という、コーチングの基本のあり方を身に付けます。
②コーチングの基本スキル:承認
次に、コーチングの3つの基本スキルのうちの1つである「承認」について学びます。
「承認」とは、相手の存在に敬意を払い、ありのままを認めて受け入れることです。上司が部下を褒めるのとは違い、承認は対等な立場で行われなくてはなりません。
研修では承認の概念を座学で学ぶだけでなく、ロールプレイングによって「目を合わせる」「相槌を打つ」「結果だけでなく行動を評価する」といった承認の実践テクニックを練習します。
③コーチングの基本スキル:傾聴
研修で学ぶコーチングの基本スキル2つ目は、「傾聴」です。
傾聴とはただ話を聞くだけでなく、相手がもっと話したくなるような態度で聴くことです。コーチングで重要なのは、本人が自分で問題点や解決策を見つけ出すことで、そのためにはコーチングを受ける人は自分のなかにある情報を出しきって整理しなくてはなりません。
受講者は傾聴の方法を座学で学んでから、ロールプレイングでそれらを実践します。そこで「こういう態度で聴いてもらうと話しやすい」「この相槌を打つことで、相手から新しい話を引き出せた」と、傾聴の効果を体感的に学びます。
④コーチングの基本スキル:質問
3つのコーチング基本スキルの最後は、「質問」です。
一般的な質問が「聞き手が答えを知ること」を目的とするのに対し、コーチングにおける質問は「話し手が答えに気づくこと」が目的です。そのため相手を問い詰めるような尋ね方ではなく、要所で視点を変えるような質問を投げかけ、答えへと誘導する尋ね方が求められます。
受講者はまず座学でコーチングにおける質問の特性を学びます。その後ロールプレイングでそれらを実践することで、通常の質問との違いや、正しい質問による効果を理解します。
⑤アサーティブコミュニケーション
コーチング研修のなかで、「アサーティブコミュニケーション」について学ぶ場合もあります。
「アサーティブコミュニケーション」とは、相手の立場や感情に配慮しながら、伝えるべきことを伝えるコミュニケーション術です。コーチングの実践においても、言い方によっては相手が気分を害しかねないことでも、しっかりと伝えなくてはならない場面が度々あります。
研修では「アサーティブ」という自他尊重の態度の重要性を学んだうえで、「相手の看護の問題点を気づかせる」などのケーススタディでアサーティブコミュニケーションに挑戦し、実践的スキルを身に付けます。
SBおすすめの看護師向けコーチング研修プラン
最後に、当社おすすめの看護師向けコーチング研修プラン4選を紹介します。
若手の育成指導のためのコミュニケーション
医療の現場では後進が育たないことに悩むスタッフの方が多くいますが、その原因は指導する側のスキル不足かもしれません。医療分野専門人材コンサルタントである講師が、コーチングを導入した指導のためのコミュニケーション方法を伝授します。
~部下育成~良好なコミュニケーションが元気な明るい医療現場をつくる
人材育成コンサルタントによる、医療職向け育成・指導のためのコミュニケーション研修。コーチングの3つのスキル(質問・承認・傾聴)について講師が徹底解説。さらにロールプレイングでの実践によって、コーチングのスキルをしっかりと習得できるプランです。
医療機関向け リーダーシップ研修
コーチング研修で多数の実績がある講師による、医療現場向けリーダーシップ研修。チームを動かすコミュニケーションのあり方について、講師がコーチングの理論を交えて解説していきます。講師自身も理学療法士として長年の経験があり、現場目線でのわかりやすい講義と人気のプランです。
“気付き”を与え“本音”を引き出す 接遇コーチング
対利用者に特化した、医療職向けコーチング研修。利用者が本当に望んでいることを「聴く」「承認する」「質問する」の3つのスキルによって引き出す方法が身に付きます。長年の介護の実務経験を活かし、現場ですぐに実践できる具体的テクニックを中心に解説します。
コーチング研修を実施して、人材育成と組織活性化を促進
看護の現場におけるコーチングの実践は、若手看護師の人材育成や組織活性化、さらには患者さんの利用満足度の向上に効果的です。研修を実施して、看護師一人ひとりのコーチングスキルを向上させましょう。
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