コロナ禍が収束の兆しを見せた2022年。開催傾向としてはオンラインからリアル開催が急増し、各市場別に人気講演テーマの特徴が見られました。
2022年の講演の開催形式の傾向、人気講演テーマを、市民(官公庁・公的団体、学校・PTA、医療福祉)、ビジネスパーソン(社内研修、労働組合)、トップマネージメント(経営者・幹部向け講演、会員向けセミナー)別にご紹介します。
講師の皆様においては、来年の講演プランの作成にご参照いただければ幸いです。

1,市民(官公庁・医療福祉・学校・PTA)

①開催傾向

リアル69 % : オンライン31%

感染対策の制限が緩和されつつある現状で、官公庁や学校関係はリアル開催も半分程度までに回復してきました。とはいえ、感染の波がやってくるにつれて、オンラインやオンラインとリアル開催のハイブリッドに切り替える案件も多くありました。
医療福祉団体に関しては、依然として慎重なところが多く、オンラインが主流となりました。

➁人気講演テーマベスト10

順位 テーマ 割合
1 教育・青少年育成 27%
2 人権・平和 22%
3 文化・教養 9%
4 福祉・介護 9%
5 男女共同参画 6%
6 健康 4%
7 防災・防犯 4%
8 環境問題 3%
9 意識改革 3%
10 地域活性 3%

官公庁・公的団体では特に「人権啓発」「男女共同参画」、若年人口が減り、高齢者人口が増加する「逆ピラミッド型人口」のテーマ(健康寿命の延ばし方、介護との向きあい方、痴呆症予防、5080問題など)にニーズが集まり、さらに多様化する形となりました。
特色すべきは、ウクライナ問題で「平和」や「時局・経済」、物価高の影響で「節約術」に関する講演テーマも受注が多かった点です。

学校・PTA市場では例年通り「教育・青少年育成」に関するテーマが一番人気が高く、引きこもりやいじめ問題、ヤングケアラー問題、インターネットやスマートフォンとの上手な付き合い方というような子どもの周囲で起きている問題に対するトピックが多かったです。

③2022年の総評と予想される2023年の傾向

2022年の傾向としては、一つのテーマに限らず、いくつかの問題をミックスしたクロス型テーマも増加しました。例えば、シニア向けの講演であれば「介護予防」と「終活」について、市民向けの健康セミナーであれば「痴呆症予防」「生活習慣病予防」といった感じです。

2023年は、アフターコロナ時代に突入し、オンラインよりリアル開催がより増えていくものと予想されます。
来年は人気の講演テーマとして、2022年に引き続いて「超高齢化社会関連」「多様性・ダイバーシティ・インクルージョン」などにニーズが高まるのではないかと考えています。
講演プランタイトルや内容に「人生100年時代」「誰一人取り残さない」などのKWを盛り込みながら、健康寿命や介護予防の問題、リカレント教育などの学び直しや高齢者再雇用の問題など、従来の「学ぶ」「働く」「引退する」の基本ステージの変容を受けて多様化する人々のこれからの生き方や働き方に関する講演内容が求められるかと思います。

2.ビジネスパーソン(社内研修・労働組合)

①開催傾向

リアル33% : オンライン67%
ビジネスパーソン市場では、昨年と比べ他の市場同様にリアル開催が増えましたが、いまだ67%はオンライン開催となっています。特に、労働組合関連の講演・研修は、2022年開催実績の77%はオンライン開催となっており、昨年同様、根強いオンライン人気が窺えます。
ここ数年、オンライン開催を実施されている労働組合執行部の方々からは、オンライン開催の魅力として、組合員が全国各地好きな場所から参加でき、リアル開催に比べて準備の手間がかからないといった声が多く聞かれています。この傾向は来年以降も続くことでしょう。

➁人気講演テーマベスト10

順位 テーマ 割合
1 コミュニケーション 15%
2 モチベーション 11%
3 リーダーシップ 11%
4 その他ビジネストピック 8%
5 意識改革 7%
6 人材・組織マネジメント 6%
7 メンタルヘルス 5%
8 時局・経済 4%
9 安全管理・労働災害防止 4%
10 ワークライフバランス 4%

2022年の講演テーマは、昨年と変わらず、コミュニケーション、モチベーション、リーダーシップの三大ソフトスキルが人気となりました。ただ、講演内容は、テレワークの疎外感を解消するコミュニケーション術、オンライン会議におけるコミュニケーション、リモートでのモチベーションアップなど、環境変化によってトピックも変化しています。

また、受講生の就業年数にも内容に違いが見られます。例えば、新人研修であればもともとのモチベーションが高いためコミュニケーションが選ばれる傾向が高く、また、3~5年目の中間層となればリーダーシップとモチベーションをセットした講演内容が選ばれる傾向にあります。

③2022年の総評と予想される2023年の傾向

2021年のオンライン開催率は71%、2022年は若干減少し69%となりましたが、他の市場と比べると依然として高い数値です。すでにオンライン開催は定着しているため、来年以降も半数以上はオンライン開催になるのではないかと予想しています。

講演テーマは、2023年も三大ソフトスキル(コミュニケーション、モチベーション、リーダーシップ)は支持され続けると思います。弊社でもこのテーマの講演プランは特に多いですが、ビジネスシーンで問題提起されているトピックや話題性を講演プランの動機づけに持ってきたり、わかりやすく噛み砕き、より内容を深堀している講演プランが選ばれているように感じます。

講演プランの紹介ページでは、柔らかめ、真面目、面白さなど、講師の方々のキャラクターが伝わるものもあり、それが主催者様の興味を引いてるケースもたくさん見られます。講師の方々のキャラクターと講演内容の充実度が講演成約と密接に関係していると思われます。
講師の皆様において、新しいプランを作成される際には、ぜひこのあたりもご参考いただければ幸いです。

3.トップマネジメント市場(経営者向け講演・会員向けセミナー)

リアル77% : オンライン23%

コロナ禍が落ち着いた2022年、トップマネージメント市場では、リアル開催が急増しました。各地域に根ざした協会や経営者会などの講演会では会員同士の親睦を深めるのも目的であるため、リアル開催の傾向が強く、一方で全国展開している会社の関係強化を目的とした講演や、昨年オンライン開催しオンラインの良さ(リアルに比べて準備の手間がかからない、参加者の交通費を削減できるなど)を知ったところは、引き続きオンライン開催を選択されているようです。

➁人気講演テーマベスト10

順位 テーマ 割合
1 その他ビジネストピック 25%
2 時局・経済 16%
3 経営哲学 10%
4 コミュニケーション 7%
5 文化・教養 6%
6 その他実務スキル 5%
7 安全管理・労働災害防止 5%
8 リーダーシップ 3%
9 営業・販売・マーケティング 3%
10 人材・組織マネジメント 3%

コロナ禍やDX、円安・物価高騰などで目まぐるしく経済状態が変わった2022年。2021年と比較すると、元経営者または現役の経営者から学ぶ「経営哲学」やリーダーの在り方が学べる「リーダーシップ」が人気講演テーマとして急浮上しました。
また、「SDGs」と「サステナビリティ」、ウクライナ問題で「時局・経済」のテーマも高いニーズがありました。SDGsにおいては、さまざまな目標があるため、聴講者の業種や関連分野によって、講演内容がかなり分かれたという印象です。

③2022年の総評と予想される2023年の傾向

コロナ禍が収束していく中で、2023年の講演傾向は、オンラインでの開催がさらに減り、リアル開催が9割近くになると予想しています。

また、講演プランに関して、コロナ禍以前は同市場で一定の傾向がありましたが、コロナ禍以降、生活様式や経済構造が大きく変革し、講演プランのニーズも多様化している印象があります。2023年も、「時局・経済」「リーダーシップ」は引き続き定番のテーマになると思います。また、2023年は労働基準法やインボイス制度などの法改正があるため、このような法改正によって自社がどのような影響を受け、どんな対応が必要なのか、というような講演内容もニーズがあると予想しています。

前述した通り、聴講者の業種や関連分野によって、求められる講演内容も異なります。講演ブラン作成の際は、それを考慮し、さまざまな業種や問題に対応できることを記載することで、主催者様への印象もよいものになるかと思います。
また、一つの講演テーマであっても、さまざまな聴講者を想定して、内容をアレンジし、複数の講演プランを作成するのもおすすめです。

2023年も素晴らしい出会いをプロデュース

2022年は、円安、物価高、ウクライナ問題とさまざまな出来事がありましたが、年末には日本勢が初めて予選1位で通過したワールドカップサッカーなど嬉しいニュースも届きました。
2023年は、日本全体が活気に満ちた年になるように、弊社も講演依頼・開催サポートをさらに充実させていきます。

講師の皆様においては2022年弊社の活動にご尽力いただき、ありがとうございました。お陰様で、講演後の主催者様アンケートにおいて9割以上の満足度をいただけました。
来年も、講師の方々と主催者、聴講者の素晴らしい出会いをプロデュースしていく所存ですので、引き続きよろしくお願いいたします!