保育園の運営において、保育士リーダーの果たす役割は非常に重要です。近年、リーダーシップの質が保育の質に直結するとの認識が高まり、リーダー育成に注目が集まっています。
しかし、多くの保育士がリーダーとしての役割に苦手意識を感じているのも事実です。
本記事では、保育士リーダーの役割や研修の具体的な内容、リーダー研修を導入するメリットや弊社おすすめの研修プランまでを詳しく解説します。
保育士リーダーとは?
保育士リーダーは、現場においてチームをまとめ、園全体の運営を支える役割を担う存在です。主な仕事は、保育士間の連携を促進し、業務が円滑に進むよう調整することです。また、新人や若手保育士の育成、保護者対応、トラブル発生時の迅速な判断と対応も求められます。
保育士リーダーには主に主任保育士、副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーの4つの種類があり、それぞれが異なる役割を担っています。
副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーは、2017年に厚生労働省の施策により新たに設けられた役職です。これにより、多くの保育士がリーダーを目指すことで、給与が上がり、保育士不足の解消につながることが期待されています。
これら4つの役割は以下の通りです。
1.主任保育士
園長の補佐を行い、現場の保育士をまとめ、園全体を支えるリーダー職です。
運営業務やシフト管理、設備管理などを補助し、園全体の運営を円滑にしたり、園長や新人保育士や保護者からの相談に応じ、適切なアドバイスを行ったりします。また、園全体の問題を察知し、解決へ導くための調整役を担います。施設内部と外部の両方で活動し、保育園運営に多角的な視点を提供します。
2.副主任保育士
副主任保育士は主任保育士の業務を補佐する役職です。主任保育士が効率的に業務を遂行できるようサポートすることで、園全体の業務が円滑に進むことを目的としています。また、副主任保育士は主任保育士と二人三脚で園を運営する重要な役割を担います。
保育士として7年以上の実務経験と職務分野別リーダーの経験、マネジメント分野と3分野以上の研修を修了している必要があります。
3.専門リーダー
食育や衛生管理など、特定の分野における専門性を活かして保育をリードする役職です。他の保育士に対するアドバイスやサポートを行い、キャリアパスとしても記載できる肩書きとして注目されています。現場のスペシャリストとして専門性を活かしたリーダー的業務を担います。
保育士として7年以上の実務経験と職務分野別リーダーの経験、4分野以上の研修を修了することで専門リーダーになることができます。
4.職務分野別リーダー
3年以上の保育士経験を持ち、専門分野から1つ以上の研修を受けることで就ける役職です。他の保育士に指導やアドバイスを行うメンターのような存在となります。この役職は若手保育士の給与改善を目指した施策の一環で、月額5,000円の処遇改善も受けられます。
重要な保育士リーダー。苦手意識をもつ人が多いのはなぜか
保育士リーダーは、園全体の運営を支える重要な役割を担っていますが、多くの保育士がリーダー職に対して苦手意識を持っています。その理由は主に以下の通りです。
1.責任の重さへのプレッシャー
リーダーは、チーム全体の統括や保護者対応、新人育成など多岐にわたる業務を担うため、業務の責任が重く、精神的なプレッシャーを感じることが多いです。
2.経験不足からの不安
リーダーに求められるマネジメントスキルやコミュニケーション能力を自然に身につける機会が少なく、自信を持てないまま役職に就くことが苦手意識の原因となります。
3.相手の期待に応えられるかという不安
チームメンバーや園長、保護者からの期待に応える必要があり、その期待が大きいほどプレッシャーとなる場合があります。
4.指導や決断に対する抵抗感
他の保育士に指導したり重要な判断を下したりすることに慣れていない場合、自分の決断に自信が持てず、リーダー職を苦手に感じることがあります。
これらの要因を放置すると、リーダー自身の負担感が増し、園全体の運営にも影響を及ぼしかねません。そのため、体系的なスキル習得やフォローアップ体制を整えることが重要です。
職員のリーダーへの苦手意識を軽減する方法
管理者として、保育士リーダーの苦手意識を軽減するためには、以下のポイントを意識したサポートが重要です。
1.明確な役割分担と目標設定
リーダーとしての具体的な役割と期待される目標を明確に伝えることで、不安を減らすことができます。適切な役割分担を行い、負担が集中しないよう配慮することも重要です。
2.研修とスキル向上の機会を提供
保育士リーダー向けの研修を定期的に実施し、必要なスキルや知識を身につけられる環境を整えましょう。実践的なシミュレーションや事例を通じて、リーダーとしての自信を育むことができます。
3.フォローアップとフィードバック
定期的にリーダーと面談を行い、現状の課題や悩みを共有する場を設けましょう。具体的なフィードバックを行うことで、改善の方向性を示し、自己肯定感を高めるサポートをします。
また、リーダー職員が過度な責任を感じないよう、業務の優先順位を一緒に整理したり、サポート体制を整えることが必要です。
4.他の保育士との連携を促進
リーダーが孤立しないよう、サブや他の保育士とのコミュニケーションを支援することが大切です。チーム全体で協力してクラス運営を進められる環境を作ることで、リーダーの負担感を軽減します。
保育士リーダー研修を開催するメリット
保育士リーダー研修を開催することで、以下のようなメリットが期待できます。
1.リーダーシップ能力の向上とチーム力の強化
研修を通して、リーダーは効果的な指示伝達、モチベーション向上、問題解決スキルなどを習得します。 これにより、チーム内での連携がスムーズになり、保育の質向上、業務効率化に繋がります。 部下の育成や能力開発にも効果を発揮し、組織全体の活性化を促進します。
2.保育士のモチベーション向上と離職率の低下
リーダーの能力向上は、現場の保育士の働きやすさ、やりがい、満足度にも直結します。 適切な指導、公平な評価、良好なコミュニケーションは、保育士のモチベーションを高め、離職率の低下に貢献します。 結果的に、安定した保育体制の構築に繋がります。
3.保育現場全体の質の向上
リーダーのスキル向上は、保育の質の向上につながります。 安全で質の高い保育を提供するためには、リーダーの適切な指導と管理が不可欠です。 研修を通してリーダーの専門性、マネジメント能力が向上することで、より質の高い保育サービスの提供、そして保護者からの信頼度向上が期待できます。
保育士リーダー研修で学ぶスキル&おすすめ研修プラン15選
保育士リーダー研修では主に以下のスキルを学びます。スキル別弊社おすすめの研修プランも紹介していますので、研修企画にご参考ください。
1.リーダーシップ
メンバーをまとめ、園全体の目標に向けてチームを導く力を学びます。適切な指示や判断力を鍛え、信頼されるリーダーを目指します。
弊社おすすめの研修プラン
保育士キャリアアップ研修
本研修では、保育におけるコミュニケーションの重要性や保護者支援の視点を学びます。男性保育士として12年間の現場経験を持ち、育児休暇を3回取得した講師が、豊富な実体験に基づく事例をもとに、保育の専門性やリーダーとしての視野の広げ方を解説します。
主任保育士、保育園施設長を対象とした
人材育成やリーダシップの発揮
主任保育士や施設長を対象に、人材育成と支援型リーダーシップの実践方法を学ぶ研修です。現場スタッフの意欲を高めるコツや効果的な動機づけを具体的な事例を交えて解説。保育士不足の課題に向き合い、職場環境を改善し、長く働きたいと思える保育園づくりを支援します。
2.コミュニケーション力
保育士同士や保護者との円滑な関係構築のためのスキルを習得。効果的な伝え方や傾聴の姿勢を身につけ、連携を強化します。
弊社おすすめの研修プラン
保育士・幼稚園教諭のためのコーチング講座
音楽教育に15年間携わりプロコーチへ転身した橋口奈生氏が、保育現場で活用できるコーチングスキルを伝授します。心理学を活用したストレス管理や自己調整法を通じて、保護者対応や同僚との連携を円滑にし、働きやすい環境づくりをサポートします。
より良い教育現場を実現させるために
~「伝える」から「伝わる」へ 仕事を楽しくするコツ~
本研修では、保育現場を活気づけ、子どもたちがのびのび育つ環境づくりを目指した「伝わるコミュニケーション術」を学びます。講師が演劇や社会経験で培った独自の手法を通じ、職員間の意思疎通をスムーズにし、前向きな職場環境を作るための具体策をお伝えします。
アンガーマネジメント
~教育現場における感情コントロールの重要性について~
保育現場で役立つアンガーマネジメント研修です。怒りの感情を適切にコントロールし、子どもや保護者に寄り添いながら効果的に自分の主張を伝える方法をお伝えします。講師の実践的な指導により、すぐに使えるスキルを習得できます。
クレーマーをファンに変えるクレーム対応術
保育現場での保護者対応に役立つクレーム対応スキルを学ぶ研修です。保護者の心理を理解し、初期対応や適切な対話のポイントを習得。信頼関係を築き、クレームを解決へ導く具体的な方法を講師がわかりやすく指導します。
保護者クレーム対応セミナー
保護者クレームに対応するための心構えと具体的なスキルを習得できる内容です。共感」「協働」「傾聴」を基盤に、保護者との信頼関係を構築する方法やクレームをチームで解決するための組織作りを講師がわかりやすく指導します。
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3.チームビルディング
チームの一体感を高め、メンバー全員が協力できる環境を構築するスキルを習得します。信頼関係を深め、効率的なチーム運営を実現します。
弊社おすすめの研修プラン
同僚性を高めるチーム(園)作り
保育士歴18年の岩田大氏が、「一人の保育をみんなの保育に」をテーマに、同僚性を高めるチーム作りや人材・組織マネジメントのノウハウを提供します。心理的負担を軽減し、保育現場の連携を強化する実践的な内容で、理想的な保育環境づくりを目指します。
保育を変える チーム力の高め方
武庫川女子大学教授の倉石哲也氏が、保育のチーム力向上をテーマに、長所を活かした保育の実践方法を解説。保育現場で必要なチーム力のイメージや考え方、職場で活用できるスキルをわかりやすく紹介します。
4.人材育成スキル
新人保育士や後輩を指導し、育成する方法を学びます。個々の成長を促すフィードバックや適切なサポートの仕方を実践的に習得します。
弊社おすすめの研修プラン
後輩・部下の育成、3つのポイント
12年間、幼稚園やインターナショナルスクールで保育士や主任として後輩指導を行ってきた講師が、後輩や部下の育成に必要な「3つのポイント」をワークショップでお教えします。実践的な内容で、リーダーシップを高め、後輩を育てる力を養うことができます。
パワハラにならない 部下が育つ効果的な叱り方
本研修では、保育士リーダーがパワハラを防ぎつつ後輩を育成するための効果的な指導法を学びます。10年以上の経験を持つ講師が、具体的な事例や演習を通じて、信頼関係を築きながら適切に叱るスキルを指導します。
5.パワハラ対策・コンプライアンス
適切な職場環境を維持するための知識と対応策を学びます。法令遵守や公正な指導方法を身につけ、トラブルを未然に防ぎます。
弊社おすすめの研修プラン
ハラスメントを未然に防ぐ職場づくり
本研修では、ハラスメントを未然に防ぐ職場づくりをテーマに、信頼を育むコミュニケーションや職場環境改善の具体策をお伝えします。人材育成のプロが、ハラスメントの本質に迫りながら、働きやすい職場を実現するための実践的な手法をわかりやすく解説します。
6.危機・安全管理
子どもたちや職員の安全を守るため、不測の事態に対処するスキルを学びます。災害時や緊急時の対応策を含め、安全な保育環境を確保する方法を身につけます。
弊社おすすめの研修プラン
保育園等における安全管理研修
「ヒヤリ・ハットの活用」
子どものケガや事故を未然に防ぐため、保育現場での「ヒヤリ・ハット」の効果的な活用方法を学びます。長年、保育所園長として安全管理に携わり、救命処置法の普及活動を行ってきた講師が、具体的な事例を交えながら、安全配慮義務や事故防止策をわかりやすく解説します。
子どもの <いのち> を守る保育のために
本研修では、子どもの命を守る保育を目指し、事故防止の基礎知識や安全な保育の具体策を学びます。保育現場やジャーナリストとしての豊富な経験を持つ講師が、子ども主体の保育の本質と職員間の連携強化を解説します。
大切な子どもの命を守るため、
『避難訓練』をアップデートしよう!
本研修では、保育現場の避難訓練を実践的な内容にアップデートする方法を学びます。元消防官であり保育士経験を持つ講師が、防災の視点から安全対策の具体策を解説。子どもの命を守るための知識とスキルを習得します。
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保育士リーダー研修は未来への投資
保育士リーダー研修は、保育園の未来を切り開く重要な取り組みです。リーダー自身の成長がチーム全体の質を向上させ、保護者や地域からの信頼を得る鍵となります。
これを機に、保育士リーダー研修をご計画してみてはいかがでしょうか?
15500名以上と業界ナンバーワンの登録講師数を誇る弊社なら、課題解決やご要望に応じた講師及び研修プランをご紹介できます。ご相談は無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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