新人から役員まで、幅広い対象で研修のご依頼が多い服部裕子さん。優しい笑顔、落ち着いたお声・話し方、とても柔らかな雰囲気を持っておられます。話し声を聞いているだけでも癒し効果があるような方です。
先日、そんな服部さんのメンタルヘルスのオンラインセミナーを弊社大阪スタジオで開催しました。事前に収録したものを編集し、後日配信する事前収録型(オンデマンド)で、弊社が運営サポートに入りました。ストレスとうまくつきあえる知恵がぎゅっと詰まった本セミナーの魅力をレポートします!
労働組合チーム
■目次
講師 : 服部裕子 氏
主催者 : 労働組合 様
聴講者人数: 50人
講演タイプ: D.事前収録型
配信ツール: Vimeo
本番前のリハーサルの様子
服部さんは、当日1時間前にスタジオに入られました。まずは、カメラの立ち位置を確認。服部さんの左横にパワーポイントが映るようにスイッチャーでサイズや位置を調整しました。ページ送りは服部さんの方でされるので、ポインターの挙動を服部さんに確認していただきました。音声はピンマイクで拾います。
服部さんは大阪スタジオでの収録も何度か経験頂いているため、リハーサルも本番もとてもスムーズにいきました。
ご自身のメンタルヘルスの経緯をもとにプログラムを作成
いよいよ、本番が始まりました。
セミナーではまず、服部さんが過去にストレスが原因で失敗した経験についてお話しされました。
服部さんは30代の頃、ファッション業界で働いており、ある時ブランドの関西初出店を成功させるため、店長に抜擢されたそうです。万一失敗すればブランドが日本撤退するという大きな責任がのしかかる中で、部下30人を引っ張っていましたが、突如、不眠や口内炎、食欲不振に襲われて体調をこわし、結果的にオープンには携わることができなかったそうです。
失敗の要因は「自分ひとりでなんとかしないと!」と思ってしまったこと。6カ月後に職場復帰できたものの、申しわけない気持ちとともに、度が過ぎる無理はしてはいけないと改めて感じ、「心と身体のバランスが大事だ」としみじみ実感されたそうです。
そのような前置きの後に、ストレスにつぶされないためのコントロールプログラムを3つ教えていただきました。
ストレス克服プログラム①: さまざまな変化に対応しようとしている自分を見つめよう
1つ目のプログラムは、自分自身で心と体の状況を確認すること。
ストレスを抱え込みすぎないために、今の自分の現状を10点満点のうち何点か考えながら書き出してみます。特に、抱え込みすぎる人が不調を来しやすく、あれもこれもきちんとやらなくてはと行うことを抱え込んだり、嫌な気持ちを長く引きずってしまったり…。また、物が増えすぎてしまう人も、管理しないといけないので余計な負担がかかってしまいます。まずは、自分の現在の心の状況を把握することが肝心です。
次は仕事・プライベート・社会など、ジャンルにとらわれず心赴くままに悩みごとを書き出してみます。ここでは、さまざまな悩みが出てくると思いますが、それは悪いことではなく、むしろたくさん出てくるということはそれだけ「こうなりたい」という願望や希望・理想が強いということになります。
高い願望や理想は成長の糧となります。目指す姿と現状のギャップが埋められないことでもやもやしてしまうのは、自分に「こうなったらいいのに」という強い「欲」があるためであり、そこには成長しようとしている自分がいることを意識することも大切なことです。
ストレス克服プログラム➁: 自分の心の健康のための基礎知識
2つ目のプログラムは、ストレスとは何で、どう対処するかです。
「皆さんは心や体のSOSをどのようなところで理解しますか?」
2つ目のプログラムは、服部さんのそのような呼びかけから始まりました。
行動が荒くなる、眠りが浅くなる、お酒が増えるなど個人によってストレスの症状はさまざまです。ストレスは、今の状況を変えたいというサインですが、実は何も感じていないのも良くないことです。発散できているので感じないという場合は問題ないのですが、自分で気づいていない、脳がSOSをキャッチできていないなど、頭がバカになって脳への伝達がうまくいってない場合は要注意だそうです。
生きる上でストレスはだれしもあるもので、自分が持つ固定観念もストレスの要因になってしまいます。ストレスへの耐性が強くなり、当たり前と思えるようになれればいいのですが、それは難しいことです。また、コロナ以前より日本はストレスが多い国であり、時代の急速な変化もストレスの大きな要因となっています。
とはいえ、適度なストレスは生産性を高め、自己成長の促進剤となります。そのため、過剰にならないよう自分で適度にコントロール、マネジメントすることが大事です。
ストレス克服プログラム③: 実践!ストレス・マネジメント
3つ目のプログラムは、ストレス・マネジメントの実践ということで、自分の認知のクセに気づいて捉え方を変えたり、行動を変えたりすることです。
ある出来事に対して、自分の「~であるべき」という捉え方(固定観念)によって、その後のストレス反応である結果がプラスになったりマイナスになったりします。
そのため、辛いときには、「自分の何がそうさせているのか?」と、自分の捉え方に気づき、マイナスの捉え方をポジティブに置き換えるようにすると良いそうです。
自分の固定観念に縛られず、別の考えに転化することは難しいですが、それができればもっと柔軟に対応することが可能になります。
「自分でわからなかったり迷ってしまった時には、視点を変えてくれる人に相談してみればいい」とのこと。
そして、自分のマイナスの捉え方や認知のクセを責めずに「考えのクセが出てしまった」と思うようにし、自分で対処できないなら、他の人に助けを求める勇気をもつことも大切だそうです。
そして、行動面を変えていくこともストレス・マネジメントでは重要です。ストレス要因となる意識や行動で削減できるものを考え、やること・やらないことにわけます。SNSを見る時間を減らすとか、情報メタボにならないようスマホやパソコンから離れる、暗いニュースからはなれる等、小さなことでも構いません。
最後に服部さんは、次の言葉で講演を締めくくりました。
「「幸せ」でも「幸せ」であることに気が付かなければ、ずっと幸せになることはできません。本日確認できた自分の大切にしたい価値観が満たされている時を少し味わっていただきたいです。」
まとめ
収録の要所要所に個人ワークを実施する場面が設けられており、その際に「それでは考えてみましょう」というアナウンスだけでなく、パワーポイントに【一時停止ボタンを押して考えてみましょう】と表示がされていました。言葉だけでも問題はありませんが、目と耳の両方から情報が入ることで、より明確な指示として相手に伝わるなと改めて感じました。
これまで、さまざまなストレスに関する講演や資料を目にしてきましたが、服部さんの収録を聴講し、改めて自分ごとに落とし込んで考えてみることで、一般的な対処ではなく「自分のストレスに対しての対処」というより深い学びができました。服部さんはオンライン生配信の講演はもちろんですが、収録型講演でも日々さまざまなアップデートをされています。また、ご主催のご要望にとても柔軟にご対応してくださるので、おすすめです。ご興味のある方はぜひお気軽にお問合せください!
服部裕子 はっとりひろこ
自律型人材開発プロデューサー
コンサルタント
ファッション・テーマパーク・人材ビジネス業界などで、人材開発・組織風土改革に従事。その後大学等にてキャリア開発に携わる。「後継者の軍師」としての経営視点を持ち、物事の本質を捉えた人材開発コンサルタント。特に、「自律型人材育成」「個人と組織の活性化」に代表される研修には定評がある。
プランタイトル
【若手・中堅組合員向け】
従業員一人ひとりのメンタルヘルスマネジメント(セルフケア)
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