講演会の主催者にとって新型コロナウイルスの感染防止対策は必須です。
しかし対策をどのように行えばわからないという人もいるでしょう。

そこで、主催者に実践していただきたい新型コロナウイルスの感染防止対策についてまとめました。
主催者、講師、参加者のそれぞれが安心して講演を開催できる感染予防対策について解説します。

■目次

ガイドラインの目的は「3つの密」の防止

新型コロナウイルス対策のためのガイドラインにはさまざまな種類があります。
各種講演会に関しても例外ではありません。
政府が提言している講演に関するガイドラインは、以下の3つです。

・文部科学省 公益社団法人 全国公民館連合会「公民館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン
・国土交通省 一般社団法人日本コンベンション協会(MICE)「新型コロナウイルス感染症禍における MICE開催のためのガイドライン
・経済産業省 公益社団法人 日本青年会議所「カンファレンス開催ガイドライン

いずれも、「3つの密(①密閉空間、②密集場所、③密接場面)の防止」を目的とする内容です。
3つの密を避けるためにはどのような対策を行えばいいのか、具体的な方法を次章で紹介していきます。

講演前

講演前に行える新型コロナ感染防止対策については以下の通りです。
十分な対策を行い、安全に講演会を開催できる準備を行ないます。

講演会の参加人数は屋内なら100人以下または収容人数の半分、屋外なら200人以下で

屋内で行う講演については100人以下または収容率50%以内とされています。
これは1 室ごとに計算を行い、施設において使用人数の上限等を設定している場合はそのルールに従いましょう。
また、屋外で行うイベントでは200人以下で行う必要があります。

ほかにも、

・会場入り口で並ぶ場合や着席する場合を考え「人と人との距離」(最低1m。できるだけ2m)が確保できるような配置をすること。
・開催地の都道府県のルールに従うこと。

などの条件があります。

運営スタッフ、参加者に感染防止対策を周知・徹底

主催者は運営スタッフや参加者に防止対策を周知・徹底する必要があります。
以下のルールを事前に告知するとよいでしょう。

・マスクの着用、咳エチケット。
・会場入口での手指消毒。
・入退場時、会場内での社会的距離を確保すること。
・入場時の検温の実施。
・会場内おける会話は控える。
・新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)を活用する。
・以下の症状がある場合は入場制限をかける可能性があること。
-37.5 度以上の発熱合(または平熱比 1 度超過)。
-息苦しさ(呼吸困難)・強いだるさや、軽度であっても咳・咽頭痛などの症状。
-過去 14 日以内に新型コロナウイルス感染症陽性とされた者との濃厚接触がある場合。
-過去 14 日以内に感染が継続拡大している国・地域への訪問歴がある場合など。

これらの注意事項は、講演前にホームページや個々にメールを送信するなど、周知を行います。

参加者・運営スタッフの名簿の作成

参加者と運営スタッフの名簿(氏名・緊急連絡先)を作成します。
また、感染状況など場合によっては保健所に情報を提供する可能性があることを、事前に伝達してください。

会場準備

会場を準備するときにできる、感染防止対策について紹介します。
参加者が来場する前までにできる限りの対策を講じましょう。

座席は1~2mの間隔を空けて配置

参加者同士の感染を予防するため、座席は飛沫飛散対策として1~2mの間隔を空けて配置します。
ためです。

講師演題と受付テーブルの感染防止対策

講師演題と受付テーブルの感染防止対策のために、アクリル板を設置します。
アクリル板を設置する箇所は前方と左右です。
またマイクなどの備品は事前に消毒します。

備品、機材の消毒を徹底し、会場入り口とトイレ前に消毒液を配置

備品や機材などの消毒も事前に行います。
具体的には、テーブル、椅子の背もたれ、ドアノブ、電気のスイッチ、電話、マイク、キーボード、PC のマウス、タブレット、タッチパネル、レジ、蛇口、手すり、エレベーターのボタンなどです。
当日もどれくらいの割合で消毒を行うのか、運営スタッフ同士で決めておきます。

会場入り口とトイレ前には消毒液を配置します。
なくなった場合、どれくらいの間隔で液の有無を確認するか、だれが確認を行い補充するのかのルールもスタッフの間で決めておくとよいでしょう。

使用するのはアルコール消毒液(70%~80%)、もしくは次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)を用います。
使用済みのペーパータオル等は他の廃棄物とは分別処理できるような仕組みを作るようにしてください。

入口付近やトイレなど行列ができる場所に感染防止の警告標識を貼付

会場入り口や受付、トイレ等の行列が生じる場所には、できるだけ 2m(最低 1m)の間隔を空けるよう床に表示します。
さらに、マスク着用について床や壁に標識を付けたり、係員が定期的に注意を促すなどの工夫が必要です。

講演当日

講演会当日にも感染を防ぐために行える対策はいくつかあります。
その内容を詳しくご紹介します。

受付時の感染防止対策

受付などで参加者と対面となる場所には、アクリル板や透明ビニールカーテンを設置します
また、混雑を防止する工夫も必須です。
参加者の入場、退場時は座席エリアごとに時間差で移動してもらえるようにアナウンスします。
資料の手渡しでの配布は行わず、事前に郵送するなどの対応をしてください。

会費の支払いについても同様です。当日に手渡しでやり取りすることによる、感染リスクを軽減するため、事前にオンライン上で決済するなどキャッシュレス化するなどの対策をしてください。

定期的な会場内の換気

新型コロナウイルスの感染予防対策には換気も有効です。
換気設備を常時稼働する、窓を開けるなどの対策を行います。
手動での換気の仕方は、二方向の窓や出入口を明けて、30 分に 1 回以上、窓を数分程度全開にするというものです
事前に換気担当者を指名しておき、いつ換気を行うかを決めておいてください。

トイレの利用時の感染防止対策

トイレ前に手指消毒用のアルコール消毒液を設置し、使用前後の消毒を促す表示を設置しましょう。
トイレの個室内には、使用後に便座のフタを閉めてから洗浄するよう張り紙をします。
トイレに入るための列はできるだけ 2m(最低 1m)の間隔を空けるよう足元表示をするのとともに、充分な休憩時間を設けるなど、トイレ使用の混雑により人が密集しない工夫をするとよいでしょう。

また、ハンドドライヤーは使用できないようにしておきます。便座や床、ドアノブなどは可能な限り清拭消毒を行うとより予防ができます。

テーブル、椅子、ドアノブなど接触の多い箇所の定期的な消毒

テーブルや椅子、ドアノブなど接触の多い箇所は30分に一度など定期的に消毒を行います。
事前にどのスタッフが行うのか、何時に行うのかを決めておくことも必要です。

ロビー、休憩スペース利用時の感染防止対策

ロビーや休憩スペースの利用時にも密にならないよう事前にアナウンスを行います。
そのうえで、定期的な消毒をしましょう。
また、自動販売機前にも消毒液を設置し、使用するように促します。

清掃・ごみ捨て時の感染防止対策

清掃や消毒で使用したペーパータオルや手袋のゴミの廃棄は、専用のゴミ箱に入れて密閉します。
また、清掃やゴミの廃棄作業を行うときは、マスクや手袋の着用を徹底してください。
鼻水や唾液などが付いたゴミは、ビニール袋にいれて口を縛って持ち帰り処分する必要があります。
作業後には必ず石鹸と流水で手洗いを行ってください。

感染が疑われる者が発生した場合の対策

発熱の症状があるなど感染が疑われる人がいる場合、まずは隔離をします。
対象者に接する人を最低限にし、接触する際はマスクをする手指消毒を徹底してください。
その後、コールセンターや保健所に連絡をし、指示に従います。

講演後

講演会後にも感染症対策は必要です。
講演会が終了した後で行える感染防止対策についてご紹介します。

会場の清掃・消毒

会場の換気を行いながら消毒作業をします。
椅子やテーブル、ドアノブなど来場者が触れる部分を消毒しましょう。
消毒作業後の手洗い・うがいも忘れずに行います。

運営スタッフ・参加者の名簿管理

運営スタッフ・参加者の名簿は講演後に感染者が発覚した場合に必要になります。
個人情報になるので、厳重に管理します。
また、保健所などの公的機関による聞き取りに協力し、必要な情報を提供しなければならない場合もあります。

以上が講演に関する感染防止対策をまとめたものとなります。3密を避けながら、講演を行うことは可能です。講演を開催される際は、主催者、会場スタッフ、講師、聴講者が一丸となり、感染防止をつとめることが肝要です。

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