増加し続ける詐欺被害。最近は経営者がターゲットになる事例が相次いでいます。
気づいてから「しまった!」とならないために、元知能犯担当刑事でも森透匡氏が、未然防止のポイントを解説します。
【著者】
森透匡氏
一般社団法人 日本刑事技術協会 代表理事
経営者の「人の悩み」解決コンサルタント
コロナ禍以降で経営者がターゲットとなる詐欺が増加
コロナウイルス禍以降、経営者をターゲットにした詐欺事件(未遂も含む)の被害が全国で確認され、被害額は7月時点で計約8,500万円にものぼることが警察庁のまとめで分かっています(引用:朝日新聞2020年7月20日記事)。給付金や助成金などを名目にした手口や、融資に必要な保証金の名目で現金を振り込ませるなどの手口もあり、さらには、マスクや消毒液などを販売すると偽り、代金を詐取する事件も引き続き確認されています。
このように、詐欺グループは世の中の変化に敏感に反応し、あらゆる手口で財産をだまし取る方法を模索しています。この経済情勢の中、経営者が投資詐欺なども含む詐欺に遭うことは絶対に避けなければなりません。場合によっては会社の存続にも関わるからです。
今回は詐欺にだまされないポイントを、解説しようと思います。
富裕層は「カモリスト」に載るリスクと常に隣り合わせ
経営者など、富裕層と言われる人々は詐欺に狙われやすい人種といえます。まず、彼らはお金を持っています。詐欺師にとって詐欺はビジネスですから、お金のない人よりも、ある人にターゲットを絞るのは当然です。
また、詐欺集団は富裕層のリストを持っています。例えば、高級マンション、高級車、さらには高級なエステ、化粧品などの資料請求者や顧客のリストのことで、それらを名簿屋などから入手するわけです。そのリストは、彼らに言わせれば「上客見込み客リスト=カモリスト」になります。詐欺師はこのカモリストを駆使して、あらゆる方法でターゲットにアプローチします。
富裕層にある人々は、自分が「カモリスト」に載る可能性があるということを常に覚悟しておくべきです。そして安易に、出元がはっきりしないwebサイトのアンケートに答えたり、資料請求をしないように心掛けてください。
経営者が狙われがちな投資詐欺にはさまざまな手口が!
投資詐欺とは、「高配当の投資案件がある」などと虚偽の内容を吹き込んで投資させ、金銭をだましとる手口です。
昨今では特に、シストレ(システムトレード/全自動取引)、未公開株、事業への出資などを装った詐欺が横行しています。詐欺話には特徴があって、利回りが異常に高い、勧誘・紹介の仕組みを導入している、元本保証であるといったメリットを強調してだますことが多いようです。
投資の目的は「お金を殖やす」ことですから、そこに目がくらむと冷静な判断力を失い、結果、だまされてしまいます。あくまでも冷静に判断しなければいけません。そして、正しい投資をするためには勉強が必要です。その投資話に紹介者がいるなら、紹介者が「もうかる」と言う根拠は何なのか、根拠と事実をきちんと調べて投資するかどうかを判断すべきでしょう。
詐欺に遭わないコツ
1.「情報源」と「根拠」を確認する
詐欺師にだまされないための鉄則として、まず言えるのは、耳にした情報の「情報源」と「根拠」を常にしっかり確認することが大事だということです。「誰が言っているのか?」「その根拠は何か?」の2点は必ず確かめなければなりません。
例えば、知人の「ある人」から投資話があったとします。その「ある人」がそもそも信用できる人物なのかというところから確認が必要です。次に、その投資が儲かるとされる根拠を確認します。根拠としては、投資会社の信用度、実績、実際に投資している顧客の口コミなどが挙げられるでしょう。これらを確認し、何の疑問もなく納得できれば、その投資を前向きに検討しても良いということになります。
2.「直感」を大事にする・欲望に流されない
詐欺師にだまされないためには、「直感」を信じることも重要です。相手の話を聞いて、何となく違和感を抱いたことはありませんか? 相手の態度なのか言動か、何が原因かはうまく説明できないけれど、「何かが腑に落ちない。おかしい気がする…」という勘が働く。実際にそんなことがあるのです。
詐欺に遭った方は、警察で事情を説明するときに「あのとき、なんかおかしいと思ったんですよ」という言葉をよく使います。「おかしい」と感じた理由は説明できなくても、実は違和感はあったわけです。しかし結局は欲望が勝ち、せっかくの直感も活かされないまま、だまされることになりました。人の勘は侮れません。ですから、もし少しでも違和感を覚えたなら、その直感を決して無視せず、大事にしていただきたいのです。
3.信頼できて事実に詳しい人に相談する
直感的に「何かおかしい」と思ったら、まずは信頼できる人に相談してみましょう。ただし、投資の話であれば、相手は投資に詳しい人であるべきです。知識のない人に相談したところで、参考にはなりません。経験豊かな詳しい人にできる限り詳しく説明し、意見を聞き、それを踏まえて、さらに自分で検討する。この行程が、だまされないための重要なポイントにもなります。また、相談というワンクッションを置くことで冷静さを取り戻せるという意味でも、第三者への相談は必要です。
“おいしい話”を耳にして判断に迷ったときは、自分一人で結論を出さず、必ず「信頼できる+事実に詳しい人」に相談してください。
また、さらに詳しくお知りになりたい方は、オンライン講演も行っておりますので、お気軽にシステムブレーンへお問合せください。
森 透匡 もり ゆきまさ
一般社団法人 日本刑事技術協会 代表理事 経営者の「人の悩み」解決コンサルタント
刑事約20年の経験があり、警部で退職して起業した異色の講師。現場で培った事例中心の話は「おもしろい!」「また聞きたい!」とファンも多い。希少性も高く、受講者を飽きさせない話題、話術は一度体験したら癖になるはずです。
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