学生から社会人になったばかりの新入社員は、新しい環境や人間関係でストレスを溜めがちですが、ストレスを自分自身でマネジメントすることは難しいものです。
そのような新入社員のために、今回は、ストレスによるつらい状況を自ら立て直す際に役立つ「レジリエンス」の身につけ方を、自律型人材開発プロデューサーの服部裕子氏がお教えします。
また、「レジリエンス研修」ではストレスをマネジメントする力も養えます。このストレスマネジメントの必要性と方法についても解説していただきます。
【監修・取材先】
服部裕子氏
自律型人材開発プロデューサー
新入社員が抱えやすいモヤモヤとストレス
学生から社会人になってからすぐの頃は、多くの方が、慣れない環境や社会に対応しようと懸命になっています。それは、本人も気づかないうちにさまざまなストレスが蓄積していっている状態です。
また、就職によって学生時代を共に過ごした仲間と離れ、就職先の環境が各々異なるため、これまで身近だった友人知人と情報や状況の共有をする機会もぐんと減ります。そのような急激な環境変化が精神的にも肉体的にも疲弊させる、ということは少なくありません。
新入社員が抱きやすいモヤモヤ・ストレスの原因にはどんなものがあるでしょう。よく挙げられるのは、環境の変化、上司や先輩との人間関係、「新しい仕事を覚えなくてはいけない」「ミスをしてはいけない」などの緊張感などです。これらのストレス要因により、会社に馴染めないと感じてしまう新入社員も多いようです。
モヤモヤ・ストレスを成長の糧にできる「レジリエンス」とは?
新入社員の日々のモヤモヤは、ストレスにつながっていきます。「モヤモヤする」という状態は、自身の「こうありたい」と目指す姿や、「こうあってほしい」という他者や環境への要望と、それらが叶えられていない現実とのギャップから生じるもの。しかし、それらがどれも悪いかといえば、そうではありません。特に前者は、自分自身の課題ともいえるため、必ずしも悪いものではないと捉えることもできます。
人が生き、働くうえで、ストレスは誰にも少なからずあるものです。ですから、自分だけがストレスを抱えている、そのせいでうまくいかないと思うのではなく、そのストレスとうまく付き合っていくことを考えてみてください。困難な状況から回復できる力を身につけられれば、それは変化に適応する力となります。そして、生きる力を高めることにもつながります。
環境の急激な変化、急な仕事の依頼、仕事量の多さ、上司や先輩からの理不尽な言動などさまざまなストレスが重なる日々の中、新入社員はそれらストレス要因を外部のせいにしがちです。しかし、自分の人生は自らが築くものと考えれば、「どうすれば解決できるのか」を自主的に考え行動する力を養う必要があります。
「レジリエンス」とは、そうしたモヤモヤやストレスを成長の糧として現実や困難と向き合い、乗り越えていくための力を指します。
レジリエンスが高い人の共通点
レジリエンスを高めるためには、まず、レジリエンスが高い人の特徴を捉えておくとわかりやすいです。大きく以下の5つに分けてみました。
①感情のコントロールができている
つらい・悲しいといったネガティブ感情に振り回されず、ネガティブな状況にあっても、ポジティブな側面を自ら見つけ出そうとし、ネガティブ感情を緩和できる。
②肯定的な未来を見つめている
自身の使命や今後のビジョン・目標、自分が成長できる未来、肯定的な未来が待っているという期待を持っている。
③しっかりとした自己肯定感がある
自分には価値がある、自分にはやり遂げる力がある、厳しい状況でもなんとかなるという自己認識があり、挑戦するべき場面や逆境で自分の強みを活用しようとする。
④社会的支援を形成している
いざというときに心の支えとなる存在、適切に支援してくれるサポーターがおり、くじけそうなときにサポートを得られる体制を作り出している。
⑤つらい経験を学びに変えられる
逆境を次につながる経験と捉え、逆境の意味を学び教訓化することで、次に起こり得るネガティブな出来事への備えとする。
レジリエンスが高い人には上記のような特徴があります。つらいことや理不尽な出来事を、ただネガティブに捉えるだけでは、自分を進歩させられません。「ピンチはチャンス」の意識を持って問題解決に果敢に取り組んでいくことで、逆境は自分を成長させる心の糧となるのです。それには、ネガティブな状況をポジティブに捉えられる精神力と、周囲を味方にできるコミュニケーション能力が必要です。
心の耐性アップ!レジリエンス・トレーニング
研修では、レジリエンスを高めるためのレジリエンス・トレーニングも行います。ここでは、今すぐにできるトレーニング方法をご紹介します。
- あるものに目を向け、感謝の気持ちを持つ
- 毎日寝る前に「良いこと」を3つ書く
- ネガティブな感情に気づいたら、逆にポジティブな側面を見る
- ネガティブな気持ちに振り回されそうになったら、気持ちの切り替えのきっかけとなる健康的な行動をする
- 自分の強みを知っておく
- 目の前だけでなく、先のことを考える
- 目標を立て、それに向かって進む
- 家族や友人と良好な関係を築く
- 悩んだときには視点を変えてくれる人に相談をする
いずれも特別難しいものではなく、すぐに取り入れられる方法ばかりです。高いレジリエンスを身につけるために、ぜひできることから取り入れてみてください。
レジリエンス研修を行うメリット
新人研修でレジリエンスの理解を深めるプログラムやレジリエンス・トレーニングを導入することは、一個人としてはもちろん、社員として主体性のある人間の育成にもつながります。レジリエンスが高い社員を育てられれば、組織強化や、時代の変化に臨機応変に対応できる職場風土を形成できます。
私の講演では、新人研修におけるレジリエンスの導入方法や取り組み方について、詳しくお伝えしています。グループワークやチャット機能を使いながら体験学習できる内容になっています。
オンライン受講も可能ですので、興味を持たれた方はシステムブレーンまでご相談ください。
服部裕子 はっとりひろこ
自律型人材開発プロデューサー
ファッション・テーマパーク・人材ビジネス業界などで、人材開発・組織風土改革に従事。その後大学等にてキャリア開発に携わる。「後継者の軍師」としての経営視点を持ち、物事の本質を捉えた人材開発コンサルタント。特に、「自律型人材育成」「個人と組織の活性化」に代表される研修には定評がある。
プランタイトル
【オンライン版】新入社員向け レジリエンスを高めて応援され上手になろう ~自律した社員になるためのココロマネジメント~
あわせて読みたい
仕事ではさまざまな個人情報を取り扱います。しかしその管理の仕方…
企業の人材育成では、業務遂行能力を高め、最終的に会社の業績を上…
自社の製品やサービスをお客様に購入・利用していただくために必要…
他の記事をみる
業務外の講師への取次は対応しておりません。