社会に出ると、社内での先輩後輩のコミュニケーションはもちろん、社外でのクライアントとのやりとりなど、あらゆるシーンでコミュニケーションという対人スキルが必要となります。そこで注目したいのが、会話の潤滑油となる「笑い」です。
「笑い」はビジネスシーンのコミュニケーションにおいて、とても重要な役割を果たしてくれます。本記事では、ヨシモト式コミュニケーションクリエイターの篠原充彦氏より、新入社員研修で取り入れやすいコミュニケーションノウハウについて教えていただきます。
【監修・取材先】
篠原充彦氏
ヨシモト式コミュニケーションクリエイター
コミュニケーションに「笑い」は欠かせないツール
新入社員に向けてもっと対人スキルを磨いてほしい。そう感じたことはありませんか?
社内でのコミュニケーションが取りにくかったり、初対面の相手だとなかなかなじめず、コミュニケーションがうまくいかないこともあるでしょう。
コミュニケーションを取るといっても、何から始めればうまくいくのか…と悩んだときに知っていただきたいのが、「笑い」の効果です。コミュニケーションと言うと難しく感じるかもしれませんが、笑いからつくることができると分かれば、実践しやすいですよね。
ではまず、笑いの効果や重要性についてお話しましょう。
笑いの効果
笑いには、体の免疫力を上げたり、脳の働きを活性化させるなどの健康効果があるという話を耳にしたことはありませんか? それだけでなく、笑いはビジネスシーンでも効果を発揮します。
人は笑うと、脳から、安らぎを与える愛情ホルモン「オキシトシン」が分泌され、幸せホルモン「セロトニン」の分泌を誘発します。「セロトニン」は、不足するとイライラ、疲れやすさ、やる気の欠如を引き起こし、人と関わろうとする気持ちを阻害します。また、オキシトシンには、ストレスを抑制し、人と関わる上での不安を減少させるという効果が期待できます。
つまり、この2つのホルモンは、人とのコミュニケーションに大きく影響するのです。
例えばビジネスシーンで、初めての相手と対面するときには互いに緊張しがちです。そんなときに、少し笑いを入れたら場が和んだ、という経験はないでしょうか? 相手が笑うことで、その相手の脳内にはオキシトシンとセロトニンが分泌され、リラックスした気持ちが生まれます。それにより、「もう少し話してみたいな」という気を起こさせることができるのです。
笑いは、人と人とのコミュニケーションをスムーズにさせる潤滑油の役割をしています。ビジネスシーンでも、この笑いが潤滑油となって、上司や先輩との関係、クライアントとの関係に良好な影響を与えてくれます。
初対面の相手と距離を縮める方法
コロナ禍で勤務形態がテレワークとなり、業務がオンライン化している企業が増えました。コミュニケーションも、実際に対面してではなくオンラインで行うことが増えています。そんな場合でも、オンラインでの対面でも使える対人スキルを身につけておくと、ネット越しのコミュニケーションも苦痛になりません。
また、初対面の相手と距離を縮められるテクニックを知っていると、仕事にも、さらに前向きになれることでしょう。
私の講演では、初対面の相手と距離を縮めるには、まず「共感の表現」が大切だとお伝えしています。「共感」や「類似性の法則」といった言葉は、聞いたことがある方も多いでしょう。
簡単に言えば、人は自分と似たものに好感を持つということです。
初対面の相手と距離を縮めるには、「①共通→②共感→③共動」という3つのステップが必要です。
- 「共通」は、相手との共通項を見つけること
- 「共感」は、相手に共感すること
- 「共動」は、アクションを起こすこと
3つ目のアクションで相手を引きつけ、相手との距離を縮めます。
このアクションとは、視線や表情、仕草や手振りなどを指します。
ポイントは、相手に共感してアクションを起こすとき、何を話すかでなく、どう話すのかです。
会話で人を引きつけるには
社内でも社外でも、人に接するとき、こうした共感の表現を大切にしてアクションを起こすことで、コミュニケーションはうまくなります。
しかしこれだけでは、相手と仲良くなるまでに時間がかかってしまうでしょう。そこで注目していただきたいのが、会話の中でさらに相手を引きつけるテクニック、ツッコミでコミュニケーションを図る「ツッコミュニケーション」です。
ツッコミが成功するには、次のような3工程が必要となります。
- 相づち
- 相手から話を引き出す
- 「ここ笑うとこ!」と伝える
コミュニケーションにおいて、大事になってくるのは上記の1と2です。
飛び込み営業時代、私自身、売れる営業マンと売れない営業マンの違いを徹底的に観察していました。そうすると両者に決定的な共通点があることに気づきました。
売れない営業マンの共通点は、「ひたすら話す」です。お客様が興味なさそうにしていても、時間を気にされていてもその空気を読まず、自社の商品説明を終えるまで喋りまくっていざ、クロージングで断られたら逃げ腰で帰ってくる、ということを繰り返していました。
一方、売れる営業マンの共通点は、「徹底的に聞く」です。効果的な相づちでお客様との人間関係を作り、ニーズがどこにあるのかを徹底的に引き出すことによって、臨機応変に商品の必要性を説明する。
まさに、売れる営業マンは、上記の1.相づち→2.相手から話を引き出す、を繰り返しやっていたのです。
これから漫才を見る時、ツッコミの言葉を意識して聞いてみてください。
漫才のツッコミは実は効果的な相づちをしています。
今から同じネタでツッコミの相づちが違う2パターンの漫才を見てもらいます。
【パターン1】
ボケ:「いや〜今日も大勢の方にいただきまして」
ツッコミ:「そうですね〜」
ボケ:「そちらの方からべっぴんさん」
ツッコミ:「はい」
ボケ:「べっぴんさん」
ツッコミ:「はい」
ボケ:「1人飛ばしてべっぴんさん」
ツッコミ:「いや!飛ばしたらアカンがな!」
【パターン2】
ボケ:「いや〜今日も大勢の方にいただきまして」
ツッコミ:「ありがとうございます。綺麗な方ばかりですね」
ボケ:「そちらの方からべっぴんさん」
ツッコミ:「服もオシャレですねー」
ボケ:「べっぴんさん」
ツッコミ:「女優さんみたいですねー」
ボケ:「1人飛ばしてべっぴんさん」
ツッコミ:「いや!飛ばしたらアカンがな!」
どうですか?パターン2のツッコミはちょっとしたことですが、ボケの言葉を拾って、お客さんに服もオシャレな方がいてるんや、女優さん見たな方もいてるんや、とイメージさせています。もちろん、パターン2の方が笑いの量は大きくなります。
このように相手が話したことを受けて自分の感想や想いを付け足して、相手に返してあげる、そうすることによって話し手が話しやすい環境を作れるのが効果的な相づちです。
相づちは、会話の活性化に必要な小道具のひとつで、さまざまな種類があります。
- 同意の相づち 「それは私もそう思います」
- 感嘆の相づち 「それ、面白いですねー!」
- 疑問の相づち 「どういう面白さがあるんですか?」
- 話の先を促すための相づち 「しようと思ったきっかけは何ですか?」
- 自分の意見を表す相づち 「初めて聞きました」
いいコミュニケーションを成立させるには、ただ答えを返すだけでなく、相手に共感しつつ次の質問を用意し、話を盛り上げていく必要があります。その場合、どのタイミングでどのような質問をするのか、相手の仕草や感情の動きを見ながら、アンテナを張って次の手を考えます。
当講演では、相づちの役割や打ち方、また、笑いを交えたツッコミを活用した会話術なども詳しく紹介しております。2人組になり相手の共通点探しをしたり、写真を見てボケてもらったり、ツッコミニケーションをワーク形式で楽しみながら習得していただきます。
お笑いエッセンスを取り入れて対人スキルを磨こう
初対面の相手や慣れない場に固くなりがちなビジネスシーンに、お笑いのエッセンスは大変重要な役割を果たします。
対人スキルの向上は、社内活性化はもちろん、取引先や顧客の満足度を高めることにもつながるでしょう。このプランは、新入社員研修でもご好評いただいています。オンラインにも対応しておりますので、ご興味ありましたらシステムブレーンまでお問合せください。
篠原充彦 しのはらあつひこ
ヨシモト式コミュニケーションクリエイター
コンサルタント
元 漫才師としての経験を活かし、笑いの理論をプログラム化した「お笑い研修プログラム」(吉本公認)のファシリテーターとして、全国の企業・病院・学校などで講演。明るく軽快なテンポでの講義に定評があり、これまで延べ20,000人超の研修受講者にそのノウハウを伝えている。
プランタイトル
【オンライン版】ヨシモト式 新感覚の対人スキル
職場を活性化する ツッコミュニケーション®
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