都市部では人間関係の希薄化が問題となっていましたが、このコロナ禍で近所や地域とのつきあいもさらに距離を広げました。一方で、地震などの自然災害では地域での結びつきが再び重要視されるようになり、地域コミュニティは過渡期を迎えています
本記事では、地域活性化・まちづくりコンサルタントとして活躍する水津陽子氏に、現状の打破と、今後の地域自治の担い手となる若い人たちへいかにバトンを渡していくかについて、そのコツを解説していただきます。

Your Image【監修・取材先】
水津陽子氏

合同会社フォーティR&C 代表 経営コンサルタント
地域活性化・まちづくりコンサルタント

新型コロナウイルスが引き起こした自治会・町内会の変化

コロナ禍により、地域の催しやお祭りが中止になったり、回覧板の受け渡しや会議が行えなくなったという自治会・町内会が全国的に増えています。

本来であれば、世界規模の危機が訪れているこのとき、まずは地域内で団結を図るべきです。実際に多くの方が共助の必要性を感じているでしょう。しかし、人と人との交流が感染拡大の一因になるという新型コロナウイルスの特性上、多くの地域コミュニティが活動停止せざるを得ないのが現状です。

コロナ禍は、一人ひとりが健康に留意して過ぎ去るのを待つしかありません。しかし、新型コロナウイルスの脅威が去ったとき、自治会・町内会には何が求められるのでしょうか?
会の存続を考えたとき、必要なのは若い担い手であることは間違いありません。そんな若い世代の加入を促すために必要な要素について、ご説明します。

令和の時代に求められる地域活動とは?

▲様々な改革に取り組み、加入率を倍増させた須賀町町会の活動風景

自治会・町内会は、昭和に設立された団体がほとんどです。その多くが、令和となった現在も設立当時のやり方で運営されています。もちろん、共助の精神は普遍的なものであり、昔も今も地域活動に求められる本質は変わっていません。

しかしながら、時代の流れとともに、「地域」や「家族」よりも「個」の優先に重きが置かれるなど、人々のライフスタイルや価値観は変化し、多様化しています。

とりわけ若い世代の中には、自治会・町内会の活動意義を知らない方も多くなってきています。存在そのものを知らなかったり、中には、享受できるものよりも果たすべき義務に負担を感じる方もいます。また、意義は理解していても、「働きながらでは難しい」と参加を断念する方もいるでしょう。

そんな令和の時代において、必要なのは若い世代のニーズにもマッチした地域活動です。それがどのような活動なのか、あぶり出すには、例えば以下のような施策が有効です。

1. 地域生活上のニーズや会に求めることをアンケートで聞いてみる
2. 1のアンケートをもとに運営や活動のあり方を見直す
3. 見直しを踏まえて、若い世代に対して効果的な情報発信や広報PRを行うなど、活動の魅力やメリットを訴求する

会への加入をいきなり求めるのではなく、まずは若い世代のニーズを知り、彼らが魅力に感じる活動をアピールしたり、加入のメリットを訴求することが重要です。

若い世代に対して地域コミュニティ参加を求めるには?

コロナ禍において、共助の必要性を感じているのは若い世代も同じです。例えば、リモートワークなどで在宅時間が増え、孤独を感じている方も多いでしょう。若い方を地域へ呼び込むには、よいタイミングといえます。

前述した若い世代へのアプローチ方法を踏まえて、自治会・町内会側でも、若い世代を受け入れるための準備を整えなければなりません。目的に合わせた具体的な施策をご紹介します。

【施策1】昭和のやり方を見直し、令和に求められる運営に変えていく

1. 意義・目的の再確認——いったん立ち止まり、何のための活動なのかを見つめ直す
2. 透明性や信頼性を高める——規約や会計、個人情報の取り扱いなど、若い世代が求める活動の透明性など、運営あり方をチェックし、必要があれば再考・改善する
3. 運営の合理化——役職の負担軽減、班や組の再編など
4. 事業の検証——地域住民のニーズや会員の満足度、要望などを調査
5. 若い世代に響く広報の見直し——チラシデザインの見直し、SNSなどの活用

こちらは、古い体制を刷新する場合の例です。意義・目的から見つめ直す必要があるため大掛かりにはなりますが、会の存続と発展を目指す上で必ず有益なものとなるでしょう。

【施策2】地域の顔が見える関係づくり、会員が主役の活動へ

1. 地域の人が出会う場であることの周知、地域デビューを支援
2. 会員有志による新たなサークルづくりを支援
3. 会は防犯や防災などの活動に特化(会員の一部が参加する親睦事業は有志で運営、会は補助のみとするなど)
4. 祭りやイベントを実行委員会形式とし、運営はボランティアを活用する
5. 受け身ではなく能動的参加型のイベント、多世代が交流可能なイベントを企画

こちらは、地域と関わりを持ったことがない方に向けた、きっかけづくりの例です。間口を広げ、同時に合理的な運営を示すことで、活動への関わりやすさを訴求します。

若い世代のニーズと時代に合わせた運営、ここが自治会・町内会の担い手を集めるポイントになります。

アフターコロナの今だからこそ、多様性ある地域の形を推進

自治会・町内会は、共助の精神のもとに幅広い世代が交流し、支え合う地域コミュニティです。新しい担い手に加入してもらうには、会について知ってもらうだけでなく、若い世代のことを知り、会自体のあり方を変えていく必要があります

まずは、若い世代が何を求めているのかをリサーチし、その上で、知り合い・顔見知りをつくるきっかけとなるような地域デビューを支援したり、お試し的な体験加入ができるよう働きかけましょう。

水津氏の講演では、より具体的な対応策を、事例も交えてご紹介しています。興味を持たれた方はぜひ、システムブレーンよりお申し込みください。

水津陽子 すいづようこ

合同会社フォーティR&C 代表 経営コンサルタント 地域活性化・まちづくりコンサルタント

実践者

自治会・町内会の活性化などの共助コミュニティの再生や、持続可能なまちづくりをテーマに活躍するコンサルタント。他にない豊富な事例を有し、これまでの講演数は1000本超。それぞれの地域で抱えている現状と取り組むべき課題、解決法など、具体的な事例を交えた分かりやすい講演が好評を博している。

プランタイトル

令和・アフターコロナの自治会・町内会運営と共助コミュニティ活性化

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