経営の視点で従業員の健康を維持・増進する「健康経営」への関心は、年々高まっています。ストレスチェックや残業時間・休暇日数の見直しなどは、年代や性別を問わずに全従業員を対象として実践できる取り組みです。

一方で、健康課題には年代ごとに異なる傾向があり、本来は全ての人に一律でアプローチするのではなく、それぞれの年代別に課題を解決していく必要があります。中でも健康上の問題を感じ始める40代・50代は、現場ではまだまだ責任や生産性を求められる年代であり、不調を感じても我慢して働き続ける人は少なくありません。

今回は、更年期ケアに有効な「ちぇぶら体操」を提唱する講師の永田氏に、更年期世代に必要なヘルスケアと理解ある職場づくりについてお話を伺いました。

Your Image【監修・取材先】
永田京子氏

更年期ケアの「ちぇぶら」 主宰

 

健康経営に取り組むとき、従業員の更年期対策を見落としていませんか?

健康経営とは、従業員が心身ともに健康である状態を経営上の重要な要素であると捉え、企業が積極的に従業員の健康の維持・増進に取り組むことです。

そこには、従業員にベストなコンディションを保ってもらうことで、そのパフォーマンスを最大化したいという狙いがあります。そのような健康経営の観点で考えたとき、40代以上の従業員の多くが直面する「更年期」の問題を見過ごすわけにはいきません。性ホルモンの低下によって心身に不調が表れる更年期は、男女の区別なく働く人々を悩ませる問題です。

2021年に日本女子大学やNHKなどが共同で行ったアンケートから、更年期の症状を理由とした40代・50代の離職は実に57万人に上ると推計されました。40代以上の従業員は豊富な知識やスキル、実績、人脈を持ち、熟練の技術者や管理職といった重要な役割を持つ年代です。これらのベテランと言われる人材を失うことは、企業にとっても大きな損失といえるでしょう。

実際に更年期の症状を自覚したことで、従業員が昇進を辞退するケースもあります。組織体制強化の戦略を考えるうえでも、従業員の更年期への対策は一刻を争う課題といえます。

これからの健康経営に必要な、更年期に理解のある職場づくりの取り組み

更年期離職をはじめとした経営上のリスクを防ぐために最も大切なのは、従業員の更年期への対策に真剣に取り組む「企業としての姿勢」です。

更年期をテーマとした社内研修を実施したり、社内報などで更年期についての情報を発信したりと、更年期で苦しむ従業員に寄り添う姿勢を示すことが、従業員の心にかかる重圧を取り除き、離職などの早まった決断を防ぎます。

もしも企業がそれらの対策によって「更年期の辛さを理解している」「会社として解決しようとしている」というメッセージを発信しなければ、従業員は更年期を「自分の個人的な問題」と捉えて1人で抱え込んでしまうでしょう。

子育て中の従業員も、子育て支援制度の充実した職場でなら、子どものことで働き方を変えなくてはならない後ろめたさが和らぐでしょう。それと同じように更年期世代の従業員も、更年期のサポート体制が整った職場では「自分はここに居てもいいんだ」という安心が得られます。

そして何よりも企業が積極的に情報を発信することで、更年期世代ではない従業員の間でも更年期の問題の認識が高まり、互いに支え合う職場風土が生まれると期待できます。

イライラが抑えられなかったり、つい感情的になってしまったりといった症状が表れる更年期は、これまで若い世代から揶揄されることも少なくありませんでした。しかし、更年期の症状とケアの重要性について企業が発信することは、こうした若い世代の意識改革にもつながります。

周囲の理解が得られれば、更年期の当事者にとって働きやすい職場環境が実現します。更年期について知り互いに支え合うという意識づけをすることが、企業の更年期対策の重要なゴールといえるでしょう。

【男女別の取り組み】健康経営で知っておきたい、更年期の症状と対策

性ホルモン低下によって引き起こされる更年期の不調は、男性と女性では症状が異なるケースが多く見られます。ここでは男女別の更年期の特徴と、その予防策・対策について少しだけ紹介します。

男性の更年期障害の代表的症状と対策

男性の更年期は、メンタルの不調として表れやすいのが大きな特徴です。最近では生活習慣の乱れやストレスによって、30代の男性が更年期障害を発症するケースも見られます。

気持ちの浮き沈みや激しい、感情のコントロールができず激昂してしまうといった自覚症状に始まり、深刻な場合は更年期鬱を引き起こす場合もあります。中高年の男性管理職がパワーハラスメントとみなされる言動を取るとき、ひょっとすると管理職本人も更年期に苦しんでいるかもしれません。

こうしたメンタルの不調を悪化させないためには、「職場と家庭以外の居場所づくり」が求められます。複数のコミュニティに属していることで、どこかで人間関係のトラブルを抱えたとしても、トレスをリセットする場が得られます。仕事や家庭以外でも生きがいを得られて、気持ちを前向きに保ちやすくなるでしょう。

また更年期の不調の予防においては、性ホルモン低下を防ぐための生活習慣が大切です。性ホルモンは寝てる間に作られるため、まずは十分な睡眠と、性ホルモンの基となる栄養を摂るためにバランスのとれた食事を心がけます。

加えて、更年期の不調の予防には運動習慣が非常に重要となります。男性ホルモンを代表するテストステロンは筋トレによっても多く分泌されますが、ジムに通う時間が無い場合でも、自宅でできる簡単な体操で十分な効果が得られます。

YouTubeでも多くの体操系の動画が紹介されています。以下は永田氏が提唱する「ちぇぶら体操」の一例です。

こうした予防策をとっていても、更年期の症状が強くなってくるケースはあります。男性更年期は、泌尿器科で診ていただけます。

女性の更年期の代表的症状と対策

女性の更年期は、症状に個人差が大きいのが特徴です。

代表的なものとしてはホットフラッシュ(突然の発汗、顔・身体のほてり)、目の乾き、動悸、息切れ、めまいなどが挙げられます。また男性同様にメンタルの不調として現れるケースもあります。35歳以上の女性でこれらの不調を感じた場合には、まず婦人科を受診するのがおすすめです。

そして女性の更年期も日々のセルフケアによる予防が大切です。基本的には男性と同じように運動・食事・睡眠において、バランスよく規則正しい生活習慣を身に付けることが重要になります。

女性の更年期にはがあり、少し楽になったと思ったら症状が酷くなるといった苦しい時期が続きます。しかし、性ホルモンの低下に体が慣れれば、更年期の不調は必ず終わりが来るというのも、女性の更年期の特徴の1つです。

女性従業員から相談を受けたときには、離職などキャリアを考えるうえでの重要な判断は、更年期を乗り越えてから行うようにアドバイスする必要があるでしょう。

従業員の更年期ケアこそが、健康経営の重要な取り組みに

今後さらに少子高齢化が進む中で、40代・50代の人材はますます組織の中で存在感を増していきます。これらの世代の心身の健康を維持・増進する更年期ケアの取り組みは、企業にとって重要な投資といえるでしょう。

現在では、健康経営に関心を持つ大企業を中心として更年期対策に乗り出す企業も増えています。企業としての取り組みには、更年期について上司などに相談しやすい環境づくり、そして職場全体への更年期についての認知拡大が挙げられます。

認知拡大の効果が特に高いのは、更年期をテーマとした社内研修の実施です。

今回お話を聞かせていただいた永田氏の講演では、男女別の性ホルモンの変化とそれによって引き起こされる症状について詳しく知ることができると同時に、具体的な生活習慣の改善方法として「どのような食材を意識して食べればよいか」などの知識も得られます。

またおすすめの運動として「ちぇぶら体操」の紹介と実践の時間もあり、従業員が明日から取り組める更年期ケアの情報が満載です。

講演では企業が取り組めるサポート施策についても解説しているので、「40代・50代にもっと活躍してもらえる組織づくりがしたい」とお考えの企業の方は、ぜひ次回の社内研修としてご検討ください!

永田京子 ながたきょうこ

更年期ケアの「ちぇぶら」 主宰

実母の更年期うつを機に、更年期対策を研究。 “更年期対策メソッド” を開発し、 企業・自治体・医療機関などで導入され、8万人以上が受講、SNSでも絶賛発信中。著書『ふりまわされない!更年期』他。健康経営、男性更年期、PMS、体調管理法(運動、食と栄養、睡眠と休養など)をテーマとした講演も大好評。

講師ジャンル
ビジネス教養 経営哲学
実務知識 人材・組織マネジメント

プランタイトル

健康経営のカギ!
更年期世代のヘルスケアと働きやすい環境づくり

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