新型コロナウイルスはまだまだ収束の兆しも見えないまま、2021年に突入しました。
私は、主に企業の関係強化や販促関係、安全大会の講演を担当しておりますが、「開催はしたいけどコロナ禍の見通しが立てづらい」「開催予定日にもし緊急事態宣言が出されたら…」などの不安要素を持ちながら相談されるお客様がほとんどです。
安全大会は、労働災害を防止し、現場全体で安全を再確認するとともに、協力企業との親睦を図るため、多くの主催者さまはオンラインよりリアル開催を希望されています。
そのような場合、私はリアル開催で話を進めておき、何か起きたらオンラインに切り替えてみるという代替プランを用意してご提案させていただいています。
実際に、リアル開催からオンライン開催に切り替えた安全大会の事例をもとに、リアルとオンライン開催時の費用感や準備の違い、代替プランなどを解説します。
製造業、建設業、卸・小売りなど企業全般 担当 矢野 浩希
ラグビーに学ぶ個人の成長とチーム・組織の活性化
講師 : 今泉 清 氏
主催者 : H施工会社 様
開催日時 : 2020年10月下旬
講演時間 : 1時間半
聴講者人数: 約200人
使用ツール: Zoomミーティング
講演タイプ: A. 会場からの生配信タイプ
リアル開催の延期からオンライン開催への切り替え
今回のお客様は大手の施工会社様。弊社とは3年以上お付き合いのあるお客様で、毎年6~7月に安全衛生大会を実施されています。
本件は昨年(2020年)1月頃に最初の問合せがあり、同年7月の開催に向けて会場のホールも押さえてありました。講師はラグビー関連希望ということで、今泉清さんに決まりました。講師も会場も決まり、後は当日を待つだけの状態でした。
ところが、ご周知の通り、昨年の4月頃、都市部を中心とした緊急事態宣言が発令。今回のお客様も来期(2021年)順延という形で一旦キャンセルすることになりました。
そんな中、6月下旬に、来期順延ではなく、オンラインで10月末に行いたいというご相談を受けました。詳細をお聞きすると、自社の会議室に講師を招き、少人数の聴講者の前でリアルで講演を行いながら、同時に当日会場に来れなかった聴講者に向けてZoomでライブ配信を行いたいとのこと。弊社のオンライン講演タイプでいうと「A.会場からの生配信タイプ」となります。講師の今泉さんからも了解が得られ、10月末のオンライン開催に向けて計画を仕切り直しました。
リアル開催とオンライン開催の費用感の違い
リアル開催からオンライン開催に切り替えたとき、一番気になるのがどれだけ費用が変わるのかといったことだと思います。
今回のケースを例に挙げて、費用を概算してみました。講師派遣料はリアル時もオンライン時も同額です。金額が変わってくるとすれば、講師の旅費、講師が収録を行う会場費、設備費などです。
本件は自社の会議室で行ったため、会場費は無料となります。配信ツールは自社のZoomを使用したため、ツール代も実質かかっていません。今回の事例で、リアルとオンライン開催時にかかった会場設営費用の概算は以下の通りとなります。
講師派遣料以外のかかった会場設営費用(懇親会、景品代等は除く)
・講師タクシー移動費 10,000円
・ホール利用料金 3時間 60,000円
・スクリーン・プロジェクターレンタル費用 20,000円・自社会議室利用料金 無料
・レンタル機材費用 無料
・Skype利用料金 無料
・講師タクシー移動費 10,000円
(※インターネット代別途必要)合計 100,000円(税別) 合計 10,000円(税別)
【リアル開催時】 | 【オンライン開催時】 |
---|
会場費用は、自社の会議室や講師の事務所から行うことで実質無料となりますし、仮に講師が飛行機で移動したり、遠方であった場合には飛行機代や宿泊代もかかる場合もあるため、オンラインに切り替えることでかなりコストカットできることがわかります。
ただし、講師の事務所や自社の会議室がなく、貸会議室・スタジオをレンタルした場合、別途利用料金がかかり、リアル開催と比べても費用が大差ないまたは多少高くなることもあります。
リアルとオンラインの準備の違い
まずはリアルとオンライン講演における準備の流れをそれぞれ見てみましょう。
【リアル開催時】【オンライン開催時】①計画相談
➁講師提案・決定
③会場の手配
④講演内容の打ち合わせ
➄講師の切符手配
⑥最終確認①計画相談
➁オンライン講演タイプの選択
③講師の提案・決定
(講師の収録場所の手配)
④リハーサル
➄最終確認
大きな違いは、リアルで行う講演内容の打ち合わせが、オンラインではリハーサルに代わっていることです。リアルでは講師が着いた当日に簡単なリハーサルを行いますが、オンラインでは通常、講師と主催者様の顔合わせと接続環境のチェックも兼ねて開催日の1週間前にリハーサルを行います。
また、リアル開催時は講師の切符を手配しますが、オンラインでは基本的に講師の移動がないため切符の手配はありません(弊社Aタイプを除く)。
オンライン開催では生配信か録画配信かまたは併用プランなのか、オンラインの配信方法を決める必要があります。
配信方法には以下の4タイプの方法があります。タイプによって、手配すべきものが変わってきますので、詳しくは以下の表をご参照ください。
弊社のオンライン講演タイプ | 特徴 | 主催側で手配が必要なもの |
---|---|---|
A.会場からの生配信タイプ(リアル+オンライン併用型) | 講師が主催者指定の会場に赴き、少人数の聴講者の前で講演を行い、それをオンライン上の他の聴講者にライブ配信を行う。 | 会場・視聴覚機材、PC、webカメラ、Zoomなどの配信ツール(弊社で貸与可能)、講師の旅費(弊社で手配) など |
B.講師から会場聴講者へ生配信タイプ(リアル+オンライン併用型) | 講師は自宅や自身の事務所、貸スタジオなどでライブ配信を行い、聴講者は一つまたは複数の会場に集まって聴講する。 | 会場・視聴覚機材、PC、webカメラ、Zoomなどの配信ツール(弊社で貸与可能)、場合によって講師用の貸スタジオ・会議室(ご要望に応じて弊社手配可能) など |
C.講師から個別視聴者へ生配信タイプ(完全オンライン型) | 講師も聴講者も自宅やオフィスなどからオンラインで参加する。 | PC、webカメラ、Zoomなどの配信ツール(弊社で貸与可能)、場合によって講師用の貸スタジオ・会議室(ご要望に応じて弊社手配可能) など |
D.録画配信タイプ(完全オンライン型) | 講師がスタジオなどで事前に収録したり、A~Cタイプの方法で録画したものを、後日、聴講者に向けてオンラインで動画を配信する。 | PC、webカメラ、Zoomなどの配信ツール(弊社で貸与可能)、場合によって講師用の貸スタジオ・会議室(ご要望に応じて弊社手配可能) など |
AやBタイプのようにリアル開催の併用型の場合、本会場は基本的に主催者様側に手配していただいております。
さらに、講師が自身で収録・配信を行うB~Dタイプである場合、必要に応じて講師が収録・配信を行う貸スタジオや会議室の手配も必要となってきます。ただし、講師の中には自身で事務所を持っており、そこから配信・収録を行う方もいらっしゃいます。その場合は、講師用の配信・収録場所の手配は不要となります。
主催者様の要望によっては、弊社が講師用の配信・収録場所を手配することもでき、Zoomなどの配信ツールも貸与可能です。オンラインが初めてという主催者様には、一からサポートさせていただきますので、ご負担は軽減されるかと思います。
また、リアル開催ではあれば、ソーシャルディスタンスの確保や消毒液の設置、参加者へのマスク着用の呼びかけ、演台前のアクリル板設置など、事前に十分な感染防止対策を施さなければなりません。クラスターが起きるかもしれないというリスクを考えれば、オンラインの方が気持ち的に楽です。
当日の様子
当日は、10名の聴講者が自社の会議室に集まり、講演を聴講することになりました。会議室には、三脚で固定されたwebカメラとマイク代わりの収音機、テーブル、椅子、ホワイトボードが用意されていました。今回はPowerPointなどの資料の投影は行わずに、ホワイトボードに必要に応じて講師が書き込む形になっています。
開会式や表彰式が行われた後、講演は15時より開始予定でした。講師の今泉さんは30分前に到着し、役員との挨拶、写真撮影、打ち合わせなどを行いました。
講演では、ご自身のラグビー生活を通して培われたポジティブな精神力、そしてモチベーションアップの方法を教授していただきました。2019年のラグビーワールドカップベスト8という日本初の快挙はどのように成し遂げられ、選手たちが掲げた「ONE TEAM」とはどんなものであったのか。チーム力やモチベーションの重要さを説いた内容で、聴講者の皆様に元気を与えていただきました。
「明日からのやる気が漲ってきました」
「チーム力が改めて大切だと感じさせてられました。現場と一致団結して事故のない職場を作っていきたいです」
「忘れていた自信を思い出しました。教えていただいたGROWモデルのイメージしながら仕事に活用していきます」
聴講者の方々から寄せられた声はすべて前向きになるものばかりでした。
主催者様からは、オンラインに切り替えたことに関して、「3密を避けられて開催でき、また聴講者も積極的に聴いていていました。本来(リアル開催)のように親睦を図れませんでしたが、同じ時間同じ体験をすることで安全意識の統一は図れたと思います。コロナ禍が続くようであれば、こういった形も正直アリかなと思いました」といった感想をいただけました。
個人的には、講演内容も素晴らしく、大きなトラブルもなく終えることができて良かったと思っています。聴講者も数人ですがいらっしゃったことで、講師の今泉さんも「聴講者の表情がわかって進行しやすかった」とおっしゃっていました。
リアル開催でオンラインを代替プランにするという考え方
今回の安全大会のように、対面による親睦を目的とした会には、やはりリアルで開催するのが理想です。しかしながら、現在の不透明な状況では、何かをきっちりと決めることは困難です。
そのため、私は、最初からガチガチに決めるのではなく、臨機応変にその時々の状況でやり方を変えればよいという考え方で仕事を行っています。
講演会をリアルからオンライン開催に切り替えることは難しくはありません。むしろ、この状況に手をこまねいて、安全啓発の目的が達成できなかったという状況の方がもったいないと思います。
リアルかオンラインかで迷っているなら、ひとまずリアルで準備しておいて、状況によってはオンライン切り替えも可能になるような形で準備を進めることも可能です。また、通常より参加人数を減らして、一部をリアル、一部をオンラインで行う方法もあります。今年は安全大会を開催するかどうか迷われているのであれば、お気軽に矢野までご相談ください。主催者様にとってよりよい方法を提案させていただきます!
【この記事を書いたスタッフ】
矢野 浩希 やの ひろき
大阪生まれの大阪育ちなのですが、あまり大阪人っぽくないといわれます。まち歩きが好きで、休みの日にはぶらぶらとしながら裏路地探索などしています。
「いつも心に笑顔を」をモットーに、お客様に親しみを持ち信頼されるように仕事 をしていきたいと考えています。一つひとつの事柄を迅速ていねいに対応させていただきます!
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