Zoomには、web会議用で双方型コミュニケーションに特化した「ミーティング」と、講義のような一方型に適した「ビデオウェビナー」があります。
弊社のオンライン講演では一般的に「Zoomミーティング」が使用されています。しかし、100人以上の大規模な講演や市民向けの講座では「Zoomビデオウェビナー」も活用されています。
今回の案件も参加者200人以上の大人数の講演で、「Zoomビデオウェビナー」が使用されました。「Zoomビデオウェビナー」は「Zoomミーティング」と比べ、講師と聴講者が双方向でやりとりできる機能は限られています。
しかしながら、本案件ではその限られた機能を駆使し、参加者意識を高めることに成功しました。その方法とコツについて解説します。
企業 商工会・会議所 ・法人会 担当 田中 滋
講師 : 富永秀一 氏
主催者 : IT系N会社 様
開催日時 : 2020年11月中旬
講演時間 : 1時間10分
聴講者人数: 約270人
使用ツール: Zoomビデオウェビナー
講演タイプ: A.会場からの生配信タイプ
Zoomミーティングとウェビナーの違い
Zoomミーティングはweb会議やオンライン授業などを想定したソフトで、参加者全員がお互いの顔を見ながら自由に話したり、画面共有やホワイトボード機能で意思疎通することができます。それに対して、Zoomビデオウェビナーは、オンラインセミナーを想定しており、主催者(ホスト)の許諾がない限り、参加者が自由に話したり、画面共有したりすることはできません。また、ビデオは基本的にパネリスト(講師)と主催者(ホスト)のみが表示でき、参加者の顔出しはできないようになっています。参加人数は、ミーティングが有料版なら500名まで、ビデオウェビナーは10,000名までとなっています。
そのため、Zoomミーティングは、研修や体験型の講演など双方間のやりとりが必要な講演に使われ、100名以上の大規模な講演ではZoomビデオウェビナーが使用されています。
Zoomミーティングとビデオウェビナーの機能の違いは以下の通りです。
Zoomミーティング | Zoomビデオウェビナー | |
参加人数 | 無料プラン:100人まで 有料プラン:500人まで |
有料プラン:10,000人まで |
役割 | ホスト(主催者)及び共同ホスト(講師)、参加者(聴講者) | ホスト及び共同ホスト(主催者)、パネリスト(講師)、参加者(聴講者) |
カメラ・マイクの操作 | 全員可能 | ホスト・パネリストのみ |
チャット機能 | ◯ | 〇 |
意思表示アイコンの利用 | ◯ | 挙手機能のみ |
Q&A(質疑応答できるチャット機能) | × | ◯ |
ファイル転送 | ◯ | × |
投票(アンケート)機能 | 〇 | 〇 |
グループ分け(ブレークアウトルーム) | ◯ | × |
画面共有 | 全員 | ホスト・パネリストのみ |
上の表の通り、Zoomミーティングには、意思疎通のための機能が多くついているのに対し、ビデオウェビナーは、チャットやQ&A、投票機能しかありません。
➡詳しくは「初めてのオンライン講演~Zoomミーティングでの開催方法とホストができること」をご参照ください。
しかし、これらの機能を活用して、講師と聴講者(参加者)との意思疎通を活性化し、聴講者の参加意識を高めることはできます。次の章では、本案件でどのように活用したか、その活用例を紹介します。
投票機能でクイズを出題
本案件の主催者様はIT系の企業様です。全国事業所の社員を対象に環境問題をテーマにしたセミナーを開きたいということで、9月中旬にお問合せをいただきました。講演の目的は、社員一人ひとりが「環境」に意識を傾け「環境」に優しい行動を心がけるととともに、事業を通してSDGsに貢献することや環境課題の解決について考えてもらう機会を提供することでした。
そこで、テレビ局の元アナウンサーで環境ジャーナリストの富永秀一さんに講師を依頼することになりました。
聴講者は全国事業所の社員ということで、当初からオンライン講演で決まっていました。使うツールはZoomかMicrosoft Teamsとのことでした。参加人数が200名程度とわかった時点で、大人数のセミナーに向いているZoomビデオウェビナーを使用することが決まりました。
また、オンライン講演の方法は、講師に同社へ来ていただき、同社の会議室からライブ配信をしてほしいというご要望があったため、「A.会場からの生配信タイプ」を選択されました。
開催まで2回ほどオンラインで打ち合わせをさせていただきましたが、そこで最も主催者様が危惧されていたことが、講師が一方的に話すだけで聴講者の頭に内容が残らないものになるのではないか、ということでした。
解決方法を探るために、まずはZoomビデオウェビナーのコミュニケーション機能を振り返ってみることにしました。使えるのは、チャットとQ&A、投票機能だけです。チャットやQ&Aは一部の聴講者とのやりとりに限られますが、投票機能は全ての聴講者が参加でき、しかも数分で集計可能です。これを使って、要所要所でクイズを出してみてはどうか、という話になりました。
講師の富永さんには、講演内で4回ほどクイズを出せないかというご相談を差し上げて、すぐにご快諾いただきました。富永さんはその時点ですでに資料を作成したようで、その資料にクイズを加えた形で修正したそうです。
4回出されたクイズには、例えば「1880年以降の地球の平均気温の上昇は?」というような質問があり、「1.1度 2.2度 3.3度 4.4度」といった選択肢が画面に現れます。聴講者はZoomの投稿機能画面から、これだと思う数字を入力すると、瞬時に集計され、どの番号に何人が回答したのかグラフで表示されます。回答する側が自分と同じ回答を選んだ人が何人いて、正解がどれなのかが気になり、答えが発表されるまで多少なりともドキドキ感があります。ちょうど聴講者の集中力が切れかける15~20分ごとにクイズが出されるため、聴講者は集中して聞くことができたようです。
実際に講演後、主催者様が行われたアンケート結果には、270人中約250人の聴講者が「とても満足」または「満足」と回答したようでした。また、リアル開催でも全員が参加できるような機会はありません。投稿機能を使ったクイズは全員が参加できたため、主催者様からも「全員の参加意識を高めることができた」と好評でした。
講演は、報道で伝えきれていない地球温暖化や気候変動の深刻さを訴えるとともに、私たちが環境問題についてできること、またそれをビジネスにどう活かすことができるのかといった内容でした。
聴講者からは、「地球環境が逼迫した問題であることを痛感した」「自身が携わっている業務が環境課題解決につながるのではないかと気づいた」「環境意識を変えることができた」や「ビジネスにおける気づきがあった」などの感想が寄せられ、今回の講演目的であった「環境問題の意識の向上と事業への活用」につなげることができたのではないかと思っています。
リアル開催以上に労力がいるオンライン講演
今回の案件では、講演内容と進め方を決める時、またリハーサルする時と合計で2回のオンラインによる打ち合わせを行いました。これが通常のリアル開催となると、電話で1回打ち合わせがあるかないか、後はメールでのやりとりがメインとなってきます。
オンライン講演では、接続テストもかねて、少なくとも1回はオンラインでの打ち合わせを行います。開催日1週間前には、主催者様と講師の顔合わせ、そして当日の流れを共有するため、リハーサルを行うケースも多いです。
それに加え、Zoomの運営を私たちスタッフが担当する場合もあります。その場合は、タイムスケジュールや台本の作成、スタジオの手配、当日の運営と、リアル開催以上に労力が要ります。
それでも、やはり、主催者様の満足される顔が見たくて、一生懸命サポートさせていただいています。主催者様のご質問や要望にはできるだけ迅速に対応するように心掛けています。それこそが私の強みであり、会社の信頼へとつながっていくのだと考えています。
オンラインではなかなか人の感情が伝わりづらい点もありますが、Zoomの機能を使うことでそれを解消することもできます。少しでも多くのお客様に田中にお願いして良かったと思っていただけるよう、今後も主催者様のご要望を加味して、最高のご提案をさせていただきます。ご相談をお待ちしております!
【この記事を書いたスタッフ】
田中 滋 たなか しげる
奈良県香芝市生まれ。趣味はぶらっと旅で地酒と地焼酎をこよなく愛しております。地域の自治会の役員を経験してから地域とのコミュニケーションの大切さに目覚め将来は自宅の隣接地に住民どおしの憩いの場としてログハウスを建てるのが夢です。
「お互いの叡智を結集し共に考え行動する」をグループミッションとして掲げ、常にお客様や相手の立場にたって「なぜ」「どうすれば」「もっと」を意識しながら日々改善を目指していきます。
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