研修担当者や人事担当者であれば、研修の始まりで挨拶を依頼されることも少なくないでしょう。担当者の挨拶は形式的なものだと思われがちですが、受講者の気持ちを盛り上げ、研修を実りあるものにするためにも重要な儀礼の一つです。
本記事では、効果的な研修にするために挨拶に盛り込むべき内容と例文をご紹介します。

■目次

研修時に主催者・司会が行う挨拶の目的と効果

「礼に始まり礼に終わる」という言葉があるように、何事にも挨拶は重要です。
研修会での挨拶は、場を盛り上げ、そして引き締める意味でも重要な役割を持っています。
主催側が研修時に行う挨拶には、大きく3つの目的があり、それぞれ期待される効果があります。

①場を盛り上げる、活性化させる
朝から元気な挨拶をもらった時、今日も一日がんばろう!という気持ちになったことはありませんか?「皆さん、おはようございます!」「こんにちは!」と元気よくはつらつとした挨拶で始めると、受講者の気持ちを前向きにし、場が盛り上がります。

➁受講者の緊張感を和らげる
特に新入社員研修など、受講者同士が初対面であったり、あまり面識がなかったりした場合、受講者は不必要なストレスを抱えてしまいます。そこで、この挨拶で参加してくれたことに対する謝辞を述べたり、ユーモアを交えたりすると、場が和み、受講者のストレスを軽減できます。

③主催者側と受講者側の認識のズレをなくす
研修でよくある失敗談として、主催者と受講者側の認識のズレがあります。主催側の開催意図が受講者によく伝わっておらず、思った以上の成果が得られなかったということもよくある話です。
そのため、最初の挨拶では、研修の目的や内容、期待される受講後の効果についても述べます。そうすることで、受講者が研修の開催意図や目的が理解でき、主催側と受講者が同じゴールに向けて研修に取り組めます。受講者が研修の有益性を感じることで、受講者の参加意欲増大にもつながります。

研修の開会時の挨拶に盛り込むべき5つの項目

研修会の挨拶には盛り込むべき項目があり、これらを文章に入れていくことで挨拶文を完成できます。

①目的・ねらい

まず初めに、今回の研修はどんな目的で行われるのか、最終的にどんな目標を達成しようとするねらいがあるのか説明しましょう。このとき、会社が抱える課題を踏まえながら、普段の業務に今回の研修がどう生きてくるのか話すとよりわかりやすくなります。

特に、受講者に対する期待感をこめて「皆さんには、ぜひ今回の研修を通じて○○といったスキルを身につけて欲しいと思っています」などと締めくくると、受講者の参加意識が高まりやすいでしょう。

②受講のメリット

研修は会社だけでなく、受講者本人にとってもメリットがあるものです。研修で得たスキルを通常業務で生かしてもらうことはもちろんですが、その他の業務や普段の生活やプライベートでも生かせるようなメリットがあることを話すとよいでしょう。
これにより、受講者は研修をさらに自分ごととして捉えて取り組めるようになります。

③研修内容

研修の具体的な内容や講師を紹介し、研修のイメージを作っていくことも重要です。具体的な研修内容と講師紹介は同時でも構いません。例えば、「○○先生は、△△大学をご卒業後、株式会社□□に入社され、デジタルマーケティングに従事してこられました。その経験を活かし、本日はデジタルマーケティングにおける基本的な考え方を4つお話しいただきます」などです。
講師の紹介文に関しては、公式サイトや事前に講師本人からもらったプロフィールを参考にするとよいでしょう。

④過去の成果

前回と同じような内容の研修を行う場合や、社外からの講師を呼んで研修会を行うときには、具体的な過去の成果を示すと、受講者の研修に寄せる期待度もグッと上がります。
例えば、「受講した人の90%が、学んだ考え方を生かして営業成績を伸ばしています。中には、2倍に伸びたという人もいます」など、過去の研修でどれだけの成果があったのか具体的数値で明示するようにします。実例を挙げながら話をすることで、参加者が自分にとってのメリットを意識しやすくなります。

⑤参加者への謝辞

最後に、研修会に参加してくれたことに対する謝辞を述べて締めます。この謝辞は講演を引き受けてくれた講師に言うのももちろんですが、時間を割いて集まった受講者に対しても述べましょう。

謝辞と言っても堅苦しいものではなく、「本日はご多忙の中、本研修での講演をお引き受けいただきありがとうございます」「本日は業務の合間をぬって、この研修にご参加いただきありがとうございます」といった簡単なもので構いません。

【テンプレート】研修の挨拶例文

では、実際に研修の挨拶で使えるテンプレートをご紹介します。ここでは、社内向けの新人研修を想定した例文になっています。

おはようございます。
皆さんが4月に入社してから、半年あまりが経過しました。初めは新しい生活や環境に戸惑うことも多かったでしょうが、今では業務にもすっかり慣れてきたのではないでしょうか。

この研修では、同期入社の皆さんが半年という節目を迎えたことで一度気持ちを引き締め、新たな目標を一人ひとりが見つけ、それに向かって邁進していくためのきっかけづくりとなるような講演とグループワークを用意しました。

研修を通じて、会社という大きな組織の中で自分の目指すべき目標やそこに至るまでの道筋を描くとともに、会社の一員としてどのように自分の持つスキルや得意分野を業務に活かしていくのか、改めて考えるための時間にしていただきたいと思います。

先輩社員たちも同じように、この研修を通じて入社後の目標を新たに設定し、明確な目的意識を持って業務に臨めるようになりました。
本日の講師は(講師、講演内容の紹介)です。

業務の合間をぬっての研修となりましたが、多くの方々が参加していただけたことを嬉しく思います。また、講師の○○先生におかれましては、ご多忙の中、本研修での講演をお引き受けいただきありがとうございます。ぜひ、実り多い研修になることを期待しています。

研修の締めの挨拶

研修会では、研修会が終わる際にも挨拶を依頼される場合があります。締めの挨拶では、講師と参加者の労いと、今後に活かす旨を伝えます。例えば、今回ご紹介した社内向け研修の締めであれば、以下のように話すと良いでしょう。

本日はあっという間の2時間でしたが、皆さんにとっての目標や目的を見つけられたでしょうか。本日の研修で得られたこと、学んだことは、ぜひ普段の業務や日々の過ごし方に活かしていってください。

それでは、本日は○○先生、本当にありがとうございました。以上をもって、閉会の言葉とさせていただきます。

他にも、細かい連絡事項がある場合は最後に入れても構いませんし、研修が複数回に分かれている場合、挨拶の最後に次回の日程や会場を案内するとよいでしょう。

5つの項目を入れて効果的な挨拶文に

研修の挨拶は、多くの人の前に立つことから緊張する、プレッシャーを感じるという人も少なくありません。しかし、今回お伝えしたように挨拶の内容をブロック分けし、項目ごとに組み立てていけば簡単に作れます。

ご紹介したテンプレートなども上手に利用すれば、抜け漏れの心配もありません。効果的な挨拶で、研修に参加する受講者のモチベーションを高め、会社にとってもメリットの多い研修を行いましょう。


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