企業DX化が進み、今後もAIが企業競争力にもたらす影響は大きいでしょう。
AI研修に興味を持つ企業も増えてきましたが、AI研修とはどのようなものなのか、イメージがわかない研修担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、AI研修の概要やメリット、内容、具体的な開催事例6選をご紹介します。
AI研修とは
そもそもAIとはどのようなものを指し、AI研修はなぜ広がりを見せているのでしょうか。本章ではAI概要、AI研修の拡大の背景、研修開催のメリットなどを解説します。
そもそもAIとは?
AI(人工知能)とは、人間がおこなう知的活動をソフトウェアに記録し人工的に再現したものです。AIの大半は、顔認証や自動運転システムといった特定処理のみを行える「特化型AI」を指します。
AI研修とは、AIについて学び、実際の業務に活かすためのスキルを身につけるための研修です。
研修内容は多岐にわたりますが、AIの基礎、ツールの活用方法、プログラミング言語、機械学習など、受講者のレベルやニーズによって内容を選択することができます。
AI研修が広がりをみせる背景
なぜAI研修が広がりをみせているのでしょうか。その背景には、企業DX化や生成AIの普及が挙げられます。
企業DX化は国が推進している施策の一つで、AIなどを活用し企業の業務効率化を図ることで新たな変革とともに競争力の優位性を高めることです。
生成AIとは、従来のAIのように決められた行為の自動化だけではなく、データのパターンや関係を学習し新しいコンテンツを生成することを目的としたものです。
今後も企業のDX推進が進んでいく中、生成AIを活用した新たな事業に対応するためAI研修を導入する企業が増えています。
また、将来的にAIを扱える人材(以下、AI人材と呼ぶ)の需要が国全体で高まりをみせています。
国の調査によるとAI人材の需要と実際の数のギャップ(=差)は、2018年が3.4万人に対し2030年には14.5万人になるという予想が出ています(※1)。すなわちAI人材が著しく不足するという予想になります。
ギャップの緩和対策として挙げられているのが「企業内育成・確保の強化」「AI人材の生産性上昇」「AI活用人材の育成」です。
将来的に不足すると予想されるAI人材を確保するために、現社員に対するAI知識やスキルの習得が緊急課題となります。そのため、AI研修は、今後さらに需要が高まり、広がりを見せていくことでしょう。
※1:経済産業省「IT 人材需給に関する調査」より
ギャップは、AI需要の伸びが「平均」で、生産性上昇を考慮しない場合のデータ
AI研修を開催するメリット
AI研修のメリットは、どの職種においても企業の生産性向上につなげることができる点です。
たとえば、経営者の観点から考えると、AI研修によってAI人材を育成することで、AI開発にともなう新たなプロジェクトの構築「ビジネスチャンスの拡大」につながります。
営業や企画職に対しては、AIにより顧客の市場動向を正確にキャッチし「提案力向上」につながるしょう。技術者は、AIデータ分析の役割や「AI開発」担当として企業に貢献することができます。
また、AI研修は、要点をしぼり学ぶことができる点で非常に効率的だといえます。AI分野は常に進歩が早いため、日々独学で学ぶには限界があります。
社員一人一人のスキルを磨くためにも、AI研修は最新情報やスキルを得る近道と言えます。
AI研修の内容
では、AI研修はどのようなことを学ぶのでしょうか?。
本章では、AI研修内容を①営業・企画者向け②エンジニア向けに分けて解説します。
【営業・企画者向け】AI基礎知識・ツールの基本的な活用法
営業・企画担当向けの研修は、自社へ適した活用方法を検討することが目的です。
まずAIの定義、第一次から第三次までのAIブームの変遷や現状とこれからの予想、AIの関連用語など基本的な知識を学んだ後、他社のAI活用方法、AI導入の例などを見ながら、実際に自身の業務にどのように役立てるかを考えていきます。
合わせて、AI活用に潜むリスクも学び、危機管理にも対応します。
【エンジニア向け】プログラミング言語・データ分析・機械学習
エンジニア向けの研修では、ディープラーニングやニュートラルネットワーク、データ分析など実践的技術を学びAI担当者として幅を広げることができる内容です。
具体的には、AI開発に必要なプログラミング言語、社内AIを活用するためのデータ分析法、Pythonなどを活用したAI実装法、機械学習の種類などの内容です。
AI運用やAI開発にたずさわる人材を育成することに特化したものもあります。
AI研修の開催事例6選
実際にAI研修の開催事例をご紹介します。自社に必要な分野や受講者のレベルを勘案して研修の参考にしてみてください。
AIリテラシー教育研修
AIリテラシー教育研修とは、AIの基本的知識を学ぶための研修です。AI初心者の企業におすすめの内容となっています。
具体的内容は、AIの概念、データを適切に読み解くための知識、利活用のうえで周知すべき内容についてです。
若手社員・若手指導担当・管理職の方におすすめの内容です。
ChatGPT研修
昨今よく聞くChatGPTですが、カスタマーサービスや営業活動などに導入し業務効率化を図る企業が増加しています。
ChatGPTの基本操作、使い方によって効率化となる事例、ChatGPTの活用方法など応用知識を学び、早期に理解を深めます。
AIによるデータ分析研修
常に蓄積されてきているビッグデータをAI技術によりうまく収集し、企業に活用するための分析手法を学ぶ研修です。
情報の取捨選択力、分析結果を深く理解し企業へ活用する能力を育みます。
数字を常に意識するマーケティング担当や営業担当に適した研修内容です。
機械学習研修
自動で大量のデータを分析してくれるコンピューター機能を構築するのが機械学習です。
本研修は、機械学習の概念、専門用語についての理解を深める基礎から、機械学習を用いたデータ分析力・実装力を身につける応用までさまざまな内容があります。
DX対策の一環として取り入れる企業も増えており、後述のPython研修と組み合わせるとより実践的となります。
AzureAI研修
Azureとは、マイクロソフト社が提供するクラウドプラットフォームであり、Azureを導入すればマイクロソフトが開発した画像・音声認識など多くの機能を利用できます。
Azure研修はおもに技術者向けの内容です。Azureの基本的な使い方、機械学習を利用したシステム開発技術、データ分析・データベースについてなどを学習します。
Python研修
Pythonとは、歴史あるプログラミング言語のことです。
構文がシンプルで少ないコードで開発できる点が特徴で、Web開発やデータ分析など多くの分野でPythonは必要不可欠といわれています。
Pythonは初心者エンジニア向け研修として活用できますが、実際の開発にたずさわる社員にはPythonでの実践的内容の研修がおすすめです。
AI研修を選ぶ際のポイント
AI研修を選ぶ際はどのような点に気をつけるべきでしょうか。ここでは、3つのポイントについて解説します。
研修内容は対象者のレベルに合わせる
AI研修は、対象者の知識レベルに合わせて選択しなければ、受講者が効果的に学びを吸収できないことがあります。
AI技術は、初歩のプログラミングから高い技術レベルまで幅広いため、対象者は初心者なのか技術者なのか、技術者であれば扱う技術種類の幅はどれほどなのかなど、受講者層の知識レベルと技術レベルを明確にした上で、研修内容を検討するようにしましょう。
各々の担当業務に適した内容か吟味する
一つにAIといっても、汎用性のあるものや一定の業務に特化したものなどさまざまです。
AIの最新情報を学んだとしても、それが現場で使えなければ意味がありません。
受講者の業務によって、どのAIが活用可能なのかを事前に調べておき、それぞれの業務に沿った研修内容に吟味するとよいでしょう。
営業・企画者向けならAIの基礎知識やデータ分析が適しています。一方エンジニア向けならPythonなど、AI開発や機械学習に汎用性の高いプログラミング言語を含む内容がおすすめです。
費用対効果が適切か検討する
AI研修を選ぶ際は、対象者のレベルや各々の担当業務に適しているかが重要であることを解説しました。
費用対効果を考え、研修費用が妥当かどうかも検討します。研修費用に対し、社員が得られるスキルや実践パフォーマンス力が高いほど費用対効果は高くなります。
費用対効果の考え方として、ROI(Return On Investment)等の測定方法があります。
ROI(%) = 利益 ÷ 投下資本 × 100
ここでの「投下資本」は研修にかかったコストであり、「利益」は研修で得られる効果のことです。
研修で得られる効果では、研修を受講させることで「業務成績を〇%アップ」「生産性〇%アップ」「従業員のモチベーション〇%アップ」「AI導入の業務効率化により残業時間の〇%減少」等の具体的な目標数値を設定します。
「これだけ研修費用をかけたのに、思ったほど効果が得られなかった…」という話もよく聞きます。
研修目標を明確に設定した上で、研修で得られる効果と費用のバランスを考えて、研修費用を設定しましょう。
社外サービスを効果的に利用する
AI技術が急速に進む反面、扱える人材は不足しています。最新のAI知識をポイントごとに効率よく学ぶには、社外サービスのAI研修の活用が効果的です。
弊社ではAIに特化した研修プランを多数用意しております。
社員向け、経営者向け等、聴講者別に人気のAIがテーマの講演プランをご紹介していますので、下記のページもぜひご参考ください。
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