ビジネスの現場で業務の合理化が進むなか、論理的思考・ロジカルシンキングが注目されています。変わりやすい時代を生き抜くためにも、何が問題なのかを瞬時に考え、論理的に答えを求められるロジカルシンキングは、ビジネスマンに欠かせない能力といえます。

今回はロジカルシンキング研修をより効果的に実施する方法を解説します。

ロジカルシンキング研修とは

まずはロジカルシンキング研修の概要と、そのメリットを理解しておきましょう。

そもそもロジカルシンキングとは何か

ロジカルシンキングとは、物事の論理的なつながりを捉え、課題解決の答えなどを導き出す思考方法のことです。

物事の中には必ず根拠と結論があります。その間や周辺にあるさまざまな情報を適切に分類・整理できると、ビジネスシーンの根幹をなす「課題の発見・解決」に必ず役立ちます。

さらに一貫して筋の通った考え方ができるようになると、相手に説得力を持って意見や情報を伝えることができます。

ロジカルシンキングができない社員や組織にありがちな悩み

ロジカルシンキングを重視する企業文化がないと、問題に直面したときにも表面的な現象に囚われて、根本の原因を追究できません。そして、いつまでも同じ課題を抱えた状態に陥ることになります。

個人レベルでは、長年の経験がある社員ほど根拠のない勘や直感に頼って業務を遂行してしまいがちであれば問題です。それでは結論がたとえ正しかったとしても、他の人にそのやり方の正当性を筋道立てて説明することができません。そのため十分なチームワークを発揮しづらくなるでしょう。

ロジカルシンキング研修で得られるメリット

ロジカルシンキング研修は、チームが問題に直面したときにその本質が見抜けるようになるきっかけを提供します

また根拠が明確になることで、個々のメンバーは自分の考えや行動に自信を持つことができ、主体性が育まれます。そしてその考えを分かりやすくスピーディーに周囲に伝えて意見交換や合意形成を重ねれば、強いチームワークでベストな結論を導けるようになるでしょう。

対象者別:ロジカルシンキング研修で獲得したいスキルと効果

次にロジカルシンキング研修で獲得したいスキルや効果を、対象者別に解説していきます。

すべての対象者

ロジカルシンキングは階層・職種・年代を問わず、すべての社員にとって必要な考え方です。まずはどの社員も「論理的な判断が行えるようにすること」と「説得力を持って自分の考えを相手に伝えられるようになること」を目指します。

それにより個人レベルでもチームレベルでも納得感のある決定プロセスに基づいて行動できるようになり、課題の解決に強い組織づくりが叶うでしょう。そのうえで各階層別に必要なスキルを身に付け、個々の役割が明確になることが理想です。

新入社員

新入社員は、まず思考を確立するうえでロジカルシンキングの下地を作っておくことが大切です。

新入社員がロジカルシンキング研修を受けると、業務に対する理解が深まるため、指示されたこと以上の仕事を主体的に進めることができます。また簡潔な話し方で上司や先輩とのコミュニケーションも円滑になり、会議でも建設的な意見を発信できるようになるでしょう。

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中堅社員

中堅社員は人によってロジカルシンキングのレベルにばらつきがあるため、まずチーム内の水準を一定レベルへ引き上げる必要があります。中堅社員は顧客や取引先との関係でも重要な役割を果たしている場合が多いので、この層の問題解決能力が高まれば事業の成果にも直結するでしょう。

たとえばロジカルシンキングを実践することで、顧客の抱える課題の解決方法を論理的に導き出すことができます。さらにそれを相手に筋道立てて説明できれば、自社の商品・サービスを解決策として勧めたときにも説得力が増すはずです。

管理職

管理職は意思決定と人材育成という2つの役割において、特にロジカルシンキングが必要となります。まずは現状を深掘りして原因を追究するスキルや迅速に解決策を判断するスキル、そしてそれを部下に分かりやすく説明するスキルが必須です。

また管理職には事業に関わるさまざまなデータを分析し、そこから有益な情報を見つけ出すスキルも求められます。管理職向けのロジカルシンキング研修は、このデータ分析の手法の獲得にも役立つでしょう。

ロジカルシンキング研修で身につく思考法

それではロジカルシンキング研修を受講すると、具体的にどのような思考法が身に付くのでしょうか。ここでは種類ごとに2つに分けて、研修で習得できる思考法を解説します。

MECE、ロジックツリー、ピラミッド構造などのフレームワーク

論理的な思考を展開するには、基本となる考え方の型・フレームワークを知っておくと効率的です。代表的なフレームワークとしては、MECE・ロジックツリー・ピラミッド構造の3つが挙げられます。

  • MECE:MECE(ミーシー)は問題を分析する前に、すべての要素を取りこぼさず、なおかつ重複させずに網羅する考え方のことです。課題解決のために考慮すべき要素が多くある場合、それらを整理するのに役立ちます。MECEで重要なのは、適切なカテゴリ設定に基づいて要素を分類していくことです。
  • ロジックツリー:ロジックツリーは、直面している一つの問題から複数の要因を分析する手法です。表面化した問題から枝分かれさせていく図が木のように見えることから、ロジックツリーという名称がついています。ロジックツリーはさらにその要因を分解していき、最終的にすべての原因を洗い出します。
  • ピラミッド構造:ピラミッド構造は数多くの事実から推定していくつかのメッセージを読み取り、そこから最終的に一つの結論を導き出す考え方です。複数の事実を土台としてその上にメッセージ、最終結論と積み上げていくと、ちょうどピラミッドのような図が出来上がります。

最終結論が正しいか検証するためには、逆に結論から考えて「なぜそう言えるのか」という根拠を探っていき、土台となった事実まで論理的破綻がなくたどり着くかを確認することが重要です。

仮説、批判、情報整理などの思考プロセス

ロジカルシンキングを実践するうえでは、すでに挙げたMECE・ロジックツリー・ピラミッド構造といった大枠のフレームワークだけでなく、思考プロセスも意識する必要があります。

例えば仮説を立てて検証する工程は、結論の精度を高めるために重要なプロセスです。また最善策を追究するには、クリティカルシンキングと呼ばれる批判的な思考方法も取り入れなくてはなりません。またさまざまな要素に基づいて結論を導くために、情報整理の能力も求められます。

ロジカルシンキング研修では、実践的な課題解決能力を養うために、これらの思考プロセスについても学ぶ場合があります。座学だけでなく、ディスカッションやゲーム型のグループワークを取り入れるのも良いでしょう。

ロジカルシンキング研修の効果を最大にするポイント

最後に、ロジカルシンキング研修の効果を最大にするポイントを押さえておきましょう。

習慣化する仕組みや、振り返りの機会を設ける

ロジカルシンキング研修を実施しただけで満足してはいけません。研修後は必ず振り返りを行い、参加者からの評価・感想を求めるのも忘れないようにしましょう。

またロジカルシンキングを実際の業務に役立てるには、繰り返しの実践が不可欠です。既存の業務レポート用フォーマットや資料に、思考法を使う欄を取り入れるなどの工夫をするのもおすすめです。研修に参加した社員がロジカルシンキングを実践できる機会を設け、習慣化する必要があります。

ロジカルシンキングの注意点を理解する

社内でロジカルシンキングを広めたときに注意しなくてはならないのは、論理的な思考方法はビジネスのすべての場面で最適なやり方とはいえないことです。

たとえば部下や顧客とのやり取りでは、論理的な正しさよりも、相手の立場や感情への共感が必要なこともあります。またときには直感に頼ることで、斬新な発想が生まれるケースもあるでしょう。論理性以外のものを軽視する風潮にならないよう注意が必要です。

ロジカルシンキング研修で組織の競争力を高めよう

組織としての競争力を高めるために、ロジカルシンキング研修を実施してみてはいかがでしょうか。現在ではオンラインやeラーニングなど、取り入れやすいスタイルの研修もあります。一人ひとりが自信を持ってより良い意思決定を行えるようになれば、今後どのように市場が変化しても勝ち抜ける、強いチームに生まれ変わることができるでしょう。

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