「新入社員研修は毎年実施しているけれど、中堅社員にはどんな研修を受けさせればいいのかわからない」とお悩みではないでしょうか? 中堅社員は組織の中で非常に重要な役割を担っており、この階層をいかに育成するかが企業の発展の鍵を握っています。

今回は中堅社員向け研修の人気テーマや、研修で効果を上げるコツを解説します。

中堅社員をめぐる現状~当事者の悩みと組織の課題~

研修を企画する前に、まずは中堅社員を取り巻く現状と、企業が抱えている中堅社員育成の課題を確認しておきましょう。

中堅社員とは

中堅社員とは、一般的に入社3年を経過していて、役職には就いていない社員を指す言葉です。ただし中途採用の場合は入社して間もないうちから「中堅」とみなされる場合もあり、社歴よりも年代や社会人年数で考える企業もあります。

中堅社員は業務を自分1人で完結させる能力を備え、なおかつチームの中核を担う存在として後輩や新人をリードすることが求められます

中堅社員本人が直面する悩み

リクルートマネジメントソリューションズの「組織行動研究所」が2018年、転職活動経験者を対象に実施した「転職意向実態調査」の結果を紹介しましょう。入社4年目以降の中堅社員が転職を考えた理由として「仕事の領域を広げたかった」「担当業務に意義を感じられなかった」「成長の機会が少ないと感じた」などが挙げられました。

中堅社員には「学生時代の同期たちは出世したりスキルを身に付けたりしているのに、自分はまったく成長していない」など、スキルアップやキャリアアップでの悩みがつきものです。多くの中堅社員は、一定業務をこなせるようになった後に「自分はこのままでいいんだろうか」という行き詰まりを抱えています。

企業が直面する中堅社員育成の課題

HR総研の「人材育成(階層別研修)に関するアンケート」(2021)では、中堅社員研修の実施状況について、調査対象企業の約66%が「実施していない」と回答しました。さらに2020年版の同調査で、実施していない理由として多く挙げられたのが「人事・教育担当のリソース不足」「実施効果の測定ができていない」の2つでした。

多くの企業では、次世代のリーダー候補である中堅社員の成長機会が失われることで、組織全体の成長力が低下するという課題に直面しています。

いま中堅社員にこそ研修が必要な理由

このように多くの企業で手薄になりがちな中堅社員研修ですが、だからこそ中堅社員の育成は組織の生産性を大きく伸ばす可能性を秘めています。
中堅社員の研修の必要性として、以下のような3つの理由が考えられます。

理由① 次世代リーダー人材に必要な能力を開発する

中堅社員は実務面ではチームの結節点的な役割を担い、さらには組織の次世代リーダー候補という側面を持っています。そのためキャリアの次の段階に進んだときに備えて、必要なスキルや知識を習得しておかなくてはなりません。

前述のHR総研による調査では、中堅社員研修の目的として、多くの企業が「問題解決能力向上」「リーダーシップスキル習得」を挙げています。

理由② 教育計画が乏しい階層だからこそ研修をきっかけにする

すでに述べたように企業の中堅社員研修の実施率は3割程度にとどまっており、中堅社員の多くには十分な学びの機会が与えられていないのが現状です。

自発的に社外セミナーなどで学ぶ社員もいますが、それ以外の社員とで知識やスキルのバラつきが生まれてしまいます。中堅社員には入社や昇格のような、全員が同時に変化するきっかけがありません。一律参加の研修を設定することで、全体レベルを底上げする必要があるのです。

理由③ 成長機会を提供して離職を防ぐ

中堅社員の転職理由についてのアンケートからもわかるように、一定数の社員は若手と呼ばれる時期を過ぎて「成長機会が減った」と感じています。

中堅社員研修を積極的に実施し「この会社でまだまだ成長できる」と感じられれば、離職防止につながり、貴重な人材の流出を防ぐことができます

中堅社員に求められる力

それでは中堅社員は、研修で具体的にどのようなスキルを身に付ければよいのでしょうか。ここでは中堅社員に求められる3つの能力について解説します。

自ら判断し組織のために動く「自律性」

中堅社員は自分で状況を見て判断し、その結果にも責任をもたなくてはなりません。新入社員のように指示を待つのではなく、自ら行動して周囲をも動かしていく主体性が大切です。

例えば、業務の全体像を見渡して「今月は前半で個人の達成目標の7割を積み上げておいて、後半は後輩のフォローをする時間を多く取ろう」というように仕事を組み立てていく必要があります。

また自律型人材として安定的にパフォーマンスが発揮できるよう自己管理能力も求められます。

現場経験にもとづき、チームに活かせる「課題解決力」

現場での実績を積んだ中堅社員は、チームの課題解決におけるキーパーソンでもあります。これまでの自身の経験や収集したデータ、過去の事例、さらには論理的思考力を駆使して、チームが抱える課題に対して最適な解決策を導き出す力が求められます。

例えば営業チームが「新規顧客の成約率が伸び悩んでいる」という問題に直面しているときは、自身の経験と市場の傾向から判断して、どの業界をターゲットとしてどのようなアプローチを行うべきかをチームのメンバーに発信します。

リーダーシップとフォロワーシップ

中堅社員は、管理職と後輩社員との橋渡し役であり、チームの要となる存在です。そのため後輩社員の意欲を引き出してうまく導いていくリーダーでありながら、管理職の方針を正しく理解し、それをチームに伝えて定着させるフォロワーの役割も求められます。

人を導くリーダーシップと、リーダーをサポートするフォロワーシップ。中堅社員がその2つの能力を備えることで、チーム全体の強力なエンジンになりえます。

中堅社員研修で人気のテーマ・内容

中堅社員には幅広い役割が求められるため研修の内容もさまざまです。ここでは特に人気の4つのテーマを紹介します。

①セルフマネジメント

まずはセルフマネジメントの能力の獲得です。

セルフマネジメントをテーマにした研修では、目標設定の仕方とそれに向けた日々のパフォーマンス管理、PDCAを意識して業務をブラッシュアップしていく方法などを学びます。

また安定した成果を出すためのストレスケアや感情コントロールもセルフマネジメントの一種です。

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②ビジネススキル向上

中堅社員になると、チームの課題解決や、顧客や他部署との交渉、会議でのプレゼンテーションなど、より高度なビジネススキルが求められる場面が増えてきます。

実務で役立つスキルを学ぶ研修には、ロジカルシンキング研修や営業力研修、IT研修、プロジェクトマネジメント研修、さらには後輩の指導に役立つコーチングやティーチングなどのコミュニケーション研修が挙げられます。

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③メンタリングなどのコミュニケーション

後輩社員の育成も、中堅社員の役割の1つです。直接業務に関わる指導だけでなく、他部署の後輩社員の精神的サポートをする「メンター」の役目を任されることもあります。

メンターにはメンタリングというコミュニケーションスキルが必要です。研修では、相談しやすい関係性をつくり相手に心を開かせる、メンタリングの手法を学ぶことができます。

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④キャリアデザイン

キャリアデザイン研修では、まず自身の実績や現在保有しているスキルの棚卸をしたうえで、「目指すべきビジョン」を明確にします。

管理職を目指す人や私的な目標との両立を目指す人など、それぞれの将来像に向けて今何をすべきかを考え、自律的にキャリアを構築していく力を身に付けます。

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中堅社員研修を優れた人材育成につなげる4つのステップ

最後に、中堅社員研修で優秀な人材を育成するために知っておきたい、4つのステップについて解説します。

1. 組織全体の人材育成方針を定める

まずは組織全体の人材育成の方針を決定し、その中で各階層の社員に求める役割を明らかにします。中堅社員だけをピンポイントで捉えるのでなく、新入社員や若手、管理職も含め、中長期的な視点で人材を育成するという意識を持ちましょう。

2. 対象者がキャリアビジョンを描ける機会を設ける

次に個々の中堅社員に自身のキャリアビジョンを描いてもらいます。理想とするキャリアプランは人によって異なるため、会社としていくつかのコースを提示したうえで、最終的には本人が自分の意志で選択することが大切です。

例えば管理職を目指したい社員もいれば、専門性を磨いてスキルアップしたい社員もいます。社員自身が自律的にキャリアを構築することを促すために、本人の希望を尊重しましょう。

3. ビジョンを達成するために補うべき意識やスキルを洗い出す

組織の方針と本人のキャリアプランをすり合わせた結果の人材像を、人材育成のゴールとして設定します。そしてそこに到達するためには今どのようなスキルや意識が不足しているのかを洗い出すことで、それぞれの社員にどのようなプログラムが必要かが明らかになります。

研修はすべての中堅社員に一律の内容で実施するよりも、個々のニーズや現在のスキルレベルに合わせて設計するほうが効果的です。

4. 実務でも幅広い経験を積めるチャンスを用意する

研修は、常に業務での実践とワンセットで考えなくてはなりません。
例えば管理職を目指す中堅社員には、研修の後に小さなプロジェクトのリーダーを任せたり、ジョブローテーションをさせたりと、さまざまな経験を積める機会を用意しましょう。実務を通じて試行錯誤を繰り返す中で、社員は研修で得た知識やスキルを活用し、成長につなげていけるのです。

中堅社員研修のアレンジもSBにおまかせ

中堅社員は現場の中核的存在であり、さらには組織の次期リーダー候補という重要な階層です。研修によって中堅社員の能力を向上させることは、組織全体の競争力や成長力に関わります。

弊社では中堅社員向け研修の講師の紹介や、研修テーマのアレンジを行っております。研修企画において実績とノウハウのある専任スタッフがサポートさせていただくので、これまで中堅社員研修をほとんど実施してこなかったという企業様も安心です。研修をお考えのご担当者様はぜひお気軽にご相談ください!


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