ビジネス研修は、円滑な組織運営のためには欠かせないものです。しかし、適切な研修を選択しないと、かえって業務に支障が出る可能性もあります。
本記事では、どの業界にとっても欠かせないビジネススキルの代表例と、研修を行う際に気をつけたいポイントを解説します。
ビジネス研修はなぜ必要か? 定義とメリット
ビジネス研修は、多くの業界・業種で必要とされている重要な研修です。まずは、ビジネススキルの概要と、ビジネス研修を行うメリットについて確認しておきましょう。
ビジネススキルとは
ビジネススキルとは、業務を円滑に遂行するために必要とされる知識や技術、能力を意味します。また自然に身につくものではなく、学習を重ねることで次第に磨かれていくものです。
求められるビジネススキルの種類や内容は、社員の階層や業種によってさまざまですが、社員にビジネススキルをつけることで得られるメリットを、次章で社員個人、チーム、組織全体から見ていきます。
社員個人のメリット:成果や業務効率のアップ
ビジネススキルを身につけると、現場のメンバー一人ひとりがスキルアップできます。個人の能力が高まれば、仕事に対するモチベーションも向上し、日々の業務に対してより素早く確実に取り組めるようになるでしょう。またそれによって各人が達成する仕事の成果にもプラスの影響が生まれ、業務効率化が期待できます。
チームのメリット:生産性向上・業務改善
ビジネススキルの向上は、個人の成果アップだけにとどまらず、チーム全体の業務改善や生産性の向上にもつながります。
仮にチーム内でメンバーに獲得スキルの差があった場合、一人ひとりが不足しているスキルを習得すれば、業務連携もスムーズになります。
さらに、プロジェクトの業務サイクルもスピーディーになり、新規プロジェクトの立ち上げや改善にかかる時間も短縮できるでしょう。
組織全体のメリット:組織活性化、人材流出防止
組織全体の活性化にも、社員が習得したビジネススキルが役立ちます。
スキルアップによってメンバー個人のモチベーションが上がると、仕事を通じて成長実感を得られます。すると「自分はこの会社に必要とされているのだ」という役割意識、ないしは組織自体に対する幸福度も高まり、貴重な人材が組織外へ流出するのを防止できます。
また全員がより主体的に活動できるようになると、メンバー同士での相乗効果が生まれやすくなるなどで関係性も活性化し、組織全体の成長も促進されます。
企業からの研修ニーズが高いビジネススキル12選
それではビジネススキルとは具体的にどのようなスキルを指すのでしょうか。代表的なスキルを紹介します。
①コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、どの立場・役割の人にとっても重要なものです。しかし、このスキルが不足していると、日頃の連絡や相談、会議での発言時など多くの場面において、自分の伝えたい意図がうまく伝わらず、ミスや行き違いが頻発する可能性があります。
そこで、相手の話を傾聴し理解するためのインプットと、身振りや手振り、話し方といったアウトプットの双方を身につけ、誤解や一方的な思い込みのないコミュニケーションが取れるようトレーニングしていくことが重要です。
また階層や状況によっても適切なコミュニケーション方法は変わるため、ニーズに応じた研修を実施します。
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②ビジネスマナーの基本
ビジネスマナーは社会人にとって必須とも言えるスキルのひとつです。
ビジネスマナーが不十分だと、社内外の関係者と接する際に相手から持たれる印象が悪くなり、本人のみならず企業全体の信頼度も低下するリスクがあります。ビジネスマナー研修で、場に応じた身だしなみや話し方、振る舞いを身につけます。
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③ITスキル
現代社会においてITスキルは欠かせません。
例えば日常業務で使用するWordやExcelの使用スキルもITスキルの一種です。注目度の高いデータ分析や、自社のシステム構築やサイト立ち上げのためのプログラミングスキルも含まれます。
また業務効率化のために、導入したソフトやアプリケーションを素早く使いこなせるよう、職種ごとにITスキル研修を実施する場合もあります。
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④ビジネス文書スキル
仕事を進めるうえで、文書作成能力が問われる機会も少なくありません。例えば、請求書・企画書・業務報告書などのような社内外文書のほか、書類送付状やお礼状といった社交的な内容の文書を作成する場面も多くあります。
どの文書でも形式や書き方がある程度決まっているため、注意が必要です。ビジネス文書研修では、基本的な文書の種類を理解し、FAXや書面・メール送付など場面に応じた文書の作成方法を実践的なワークとともに学びます。
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⑤リーダーシップ・チームビルディングスキル
中堅社員やリーダー職、管理職に必要なのが、リーダーシップやチームビルディングといったスキルです。
リーダーシップは、決断力、課題解決能力、傾聴力、発想力など複数のスキルを組み合わせたもので、チームをまとめる際に求められます。
チームビルディングは、チームや組織全体を成長させていく過程や、メンバーをサポートする場面で特に必要となるスキルです。これらのスキルを身につけると、チームへビジョンを共有する時にメンバーからの信頼を得ることにつながります。チームの生産性や士気を高め、メンバー一人ひとりが主体的に動ける土壌作りに役立ちます。
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⑥プレゼンテーションスキル
プレゼンテーションスキルは、単に美しい資料を作る技術ではありません。伝えたいことを論理的に整理し、まとめて伝達するスキルのことを指します。
事前に聞き手を納得させたり次の行動へ導いたりできるよう、二ーズを的確にくみ取ってシナリオを作成します。そして現場で実際にアイコンタクトなどの身振り・手振りも含めて伝えるところまでを学ぶスキルです。
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⑦問題解決スキル
仕事は多くの問題を解決しながら遂行していくものです。その際に、原因を特定し、有効な解決策を提案する問題解決力が求められます。
また、問題解決を目指す際には、物事をわかりやすく論理的に伝える「ロジカルシンキング」や、事実や数値の集まりから傾向や特徴を読み解いて洞察する「データ読解」といったスキルも必要です。
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⑧プロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを円滑に進行し、成功させるために行う管理や運営のことです。
研修を通じて、目標設定や管理サイクル、QCD(品質・コスト・納期)管理、リスク対応などの方法についての理解を深めます。
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⑨ファシリテーションスキル
ファシリテーションスキルは、チームの運営において、中立的な視点を持ちつつ、効率性や生産性をアップさせられるように周囲へ働きかけを行うスキルを意味します。
会議やチーム活動において、社員が自主的に考え、他のメンバーと協力しながら次のアクションを踏めるよう促す、傾聴の手法や対立解消のためのテクニックもこれに含まれます。
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⑩業種・職種別専門スキル
あらゆるビジネスで、業種や職種に応じたスキルが存在します。
例えば、マーケティングや財務・経理、人材管理などのほか、接遇・接客や介護・看護といったものまで、さまざまな現場の技術やノウハウもすべてスキルと呼べるでしょう。
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⑪若手・管理職・経営陣など階層や職位別スキル
若手社員・管理職・経営職といった階層ごとに求められるスキルもあります。
- 若手:ビジネスマナー、レジエンスなど
- 管理職:マネジメント、評価者スキルなど
- 経営職:経営戦略、リスクマネジメントなど
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⑫その他、関心の高いテーマ
その他にも、生産性や組織力の向上に役立つスキルが多数あります。
- PDCA(計画・実行・評価・改善のフレームワーク)
- 業務改善
- 報連相の仕方
- クレーム対応
- メール・電話対応
- ワークライフバランス
- キャリアデザイン など
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ビジネス研修スタイルの種類と特徴
ビジネススキルを身につけるには、研修の実施が欠かせません。ただし一口に研修といっても、そのスタイルはさまざまです。
集合研修:所定の時間・場所に出向いて参加する
集合研修は、受講者が決まった時間に指定された場所へ集まって行う研修です。
会議室やホールといった会場を事前に用意しておき、社内もしくは社外の講師が登壇します。多くのメンバーへ同じ内容を伝える際や、受講者同士のコミュニケーションを活発にしたい際に採用される方法です。
OJT:仕事を通じて実地訓練する
OJT(On the Job Training)とは、実際の業務でやり方を見せながら指導するタイプの研修です。
一般的には先輩社員が若手社員に、または上司が部下に対して、マンツーマンで指導します。OJTを活用すると、現場で即戦力となるスキルを身につけることが可能です。
オンライン研修:画面越しに受講する
オンライン研修は、インターネット上で行う研修の総称です。
web会議システムを用いてリアルタイムで実施するものであれば、講師に質問したり、受講者同士のグループワークも取り入れたりすることも可能です。
「webセミナー」や「ウェビナー」と呼ばれることもあります。
eラーニング:自宅や隙間時間で気軽に受けられる
eラーニングは、受講者が好みの端末やソフトを使用して、好きな時間に受けられる研修のことです。
学習教材も幅広く、プラットフォームで更新されるケースも多いため、新しい情報をインプットするのに重宝します。また、受講者の学習状況を一元管理できる点も魅力です。
効果が上がるビジネス研修の設計ポイント
ビジネス研修はただ実施しただけで効果を得られるものではありません。企画・設計にあたり意識すべきポイントを5つ紹介します。
1.対象者の階層や目的別に設計
まずは受講対象者の現状やニーズに沿った内容を選んで、研修企画を立案ましょう。
現場で求められていないテーマのビジネススキル研修であれば、受講者が価値を見出せないまま終了してしまいます。
そのため、階層ごとなどの区切りで社員が習得すべきスキルを洗い出し、現状のレベルやニーズに合う内容を設計しましょう。
2.個人・グループワークやゲームなどを活用
座学のみの研修では、受講者が興味を持てず飽きてしまう可能性もあります。そこで、ワークやディスカッションといった実践的なプログラムを組み込むのもおすすめです。
近年では、カードを用いたゲーム形式の研修も人気を集めています。
3.対面・オンラインのプログラムを併用
対面での集合研修と、オンライン・eラーニング研修を併用することも有効な手段です。
例えば、以下のように複数のスタイルを組み合わせて研修を実施すると、インプットとアウトプットをバランスよく習得できます。
- 事前の予習:eラーニング
- 実践的なワーク:集合研修
- 研修後の質疑応答や各受講者へのフィードバック:オンライン研修
4.振り返りと目標設定を定期レポートや面談で仕組み化
研修の終了後は、受講者の振り返りと今後に向けた目標設定を必ず実施し、仕組み化するのがおすすめです。
最も手軽な振り返りの手段は受講者によるアンケート記入です。加えてレポート作成や受講者との面談までできると理想的です。さらにこれらを定期的に実施して、時間経過によるスキルの浸透度合いもチェックしてみてください。
また、研修終了時に今後のアクションプランも一緒に定めることで、「目標設定と実践、その振り返り」という一連の循環を習慣化する仕組みが作れるでしょう。
5. 自社課題に合った研修会社・講師を選択
研修を社外に依頼する際には、研修会社と講師もよく見極めなくてはなりません。
講師の実績や評価だけなく、研修分野の最新情報を理解できているか、説明はわかりやすいか、自社の目的に応じて柔軟にプログラムを調整してくれるか、といった細かい部分までよく調査・相談し、選定しましょう。
ビジネス研修の効果を最大限に活用
ビジネススキルには多種多様なものがあり、組織力強化のためにも社員のスキルアップは不可欠です。自社メンバーの業務レベルや階層に応じた適切なスキル研修を実施することで、生産性やメンバーのモチベーションアップが期待できます。
ただし、研修は実施するだけでなく実施前の目的策定や受講形態の設定、実施後の振り返りや、身に付けたスキルの業務への落とし込みも重要です。確実に成果の出る研修になるよう、前後の流れもしっかりと計画したうえで実施しましょう。
システムブレーンでは業界最大数の15,500人以上の講師の中から、目的・予算・受講者に沿った研修プランをご提案しています。集合研修・オンラインを問わず、各スタイルを組み合わせた柔軟な研修が可能です。研修実施時だけでなく企画段階からフォローしますので、お気軽にご相談ください。
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