労働人口の減少が進む現在、既存の人員を適切に配置して、いかにパフォーマンスを最大化させるかが企業の発展の鍵を握っています。そこで注目されているのが「アセスメント研修」という新しい評価手法です。

今回はアセスメント研修の概要と、導入のメリットについて解説します。さらにシステムブレーンおすすめの、人事評価・アセスメントに関する研修10選も紹介しているので、研修ご担当者の方はぜひ参考にしてください。

人材アセスメント研修とは

「人材アセスメント」という言葉はまだ聞き慣れない人も多いでしょう。まずはアセスメントの意味や定義、そして研修の概要を解説します。

人材アセスメントの意味・定義

人材アセスメントとは、対象となる社員の能力を、第三者が客観的に診断する評価手法です。

これまで一企業でよく採用されていた人事評価は、評価対象者の直属の上司などが、日々の業務に取り組む様子やその成果から能力を判断するものでした。しかしこの方法は「上司の主観に基づく、現在の職務における能力」しか計測できないため、非常に限定的です。

そこで外部の第三者による評価を加える手段が必要となります。適性検査や演習プログラムなどを用いて、現在の状況に限定した能力だけでなく、潜在的な可能性までを対象にします。そのため、人材アセスメントは、能力開発や人材配置にも有効です。

アセスメント研修とは

アセスメント研修は、人材アセスメントの手段の1つです。研修の場を設け、そのカリキュラムとして面談や適性検査を取り入れます。さらに先述の通り想定される業務の状況でどのような発言・行動をするかのシュミレーションなどを実施します。

通常の研修と違い「参加者が何かを学ぶことではなく、参加者を評価すること」が目的となっています。

今アセスメント研修が企業に求められている理由

次に、アセスメント研修が注目を集めている背景を説明しましょう。理由は主に以下の2つです。

理由(1) 労働市場の変化

現在多くの企業が人材不足に悩まされています。限られた人的リソースを最大限に活用するには、社員の潜在的な能力を無駄にできません。

また終身雇用・年功序列の実質的崩壊や、テレワーク普及に代表される社員の働き方の多様化も、従来型評価が組織内で十分に機能しなくなった理由の1つです。

このように働く人や働き方が多様化する組織でも、人材アセスメント研修を実施すれば、公平な評価が可能です。

理由(2) 組織における評価者の重要性

従来の上司による評価は、評価対象者(部下)と評価者(上司)との関係性が、その結果に影響を与えるという問題点がありました。評価者の評価スキルにもバラつきが見られ、それが社員に不公平感をもたらしていました。

一方、人材アセスメントで能力の根拠となるのは、対象者の診断や行動にもとづくデータです。人材評価のプロである第三者の観察と各種データにより、最適な人材配置や能力開発を実施したいというニーズが高まっています。

人材アセスメント研修を導入する3つのメリット

次に人材アセスメント研修の導入によって、企業が得られる3つのメリットについて解説します。

メリット①人事異動や人材配置の適正化

人材アセスメント研修で社員の適性や能力を正しく診断できれば、人事異動や人材配置のミスマッチを防げます

もしも社員を本来の力が発揮できないポジションに配置してしまうと、十分な成果が期待できないだけでなく、本人の仕事への意欲も低下してしまうでしょう。結果的に生産性低下や離職増加など、企業にとってのリスクを引き起こすのです。

人材アセスメント研修は、社員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出す組織づくりを可能にします。

メリット②採用や人材育成のスムーズ化

人材アセスメント研修には、採用や人材育成における無駄をなくし、業務をスムーズに進める効果もあります。

例えば採用担当者の主観だけで人材を採用した場合、面接での回答が流暢だったのでコミュニケーション能力が高いと判断したにも関わらず、営業に配属したら職務上必要なレベルの論理性や交渉力が不足していた、といったミスマッチが起こり得ます。

同様の問題は、管理職昇進対象者の選定などにも当てはまります。プレーヤーとして優秀だった人材が、リーダーシップなどマネージャーとしての力量を持ち合わせていない可能性も大いにあるのです。

アセスメント研修によって、社員の能力や適性に合わせた人材採用や育成プランの構築ができるようになるでしょう。

メリット③管理職候補層や社員の意欲向上

客観的な評価指標があれば、評価の対象となる社員の納得感が増し、意欲向上につながります。

アセスメント研修の結果共有から、社員は自身の能力の現在地と、今後伸ばしていくべき弱点を把握できます。「ここを伸ばせばさらにスキルアップできる」と具体的にイメージでき、組織の中で成長していく意欲につながるでしょう。

また管理職としての適性や能力があると客観的に評価された社員は、それまでよりも強い自信を持てるようになるかもしれません。昇進のために必要な知識やスキルを意識し、獲得のため積極的に行動するようになるのもメリットです

アセスメント研修で学ぶ具体的な内容

人材評価を目的としたアセスメント研修ですが、参加者は研修でどのようなことを行うのでしょうか。ここでは一般的な5つの内容について解説します。

1.人材アセスメントのオリエンテーション

人材アセスメントに入る前に、まず対象となる参加者にアセスメント研修の目的や基本的な考え方をしっかりと共有しておきます。

例えば次世代管理職を対象にした研修の場合、望ましい管理職のあり方などについて、最初に講義を受けることもあります。

また研修の結果に基づいて、管理職への登用やプロジェクトへの抜擢などを行う可能性があることも伝えましょう。報酬や待遇などを決める人事考課とは異なり、個々の人材を適したポジションに配置し、パフォーマンスを最大化するための取り組みだと知らせることが大切です。

2.適性検査・能力検査

アセスメント研修では、適性検査や能力検査を実施します。

適性検査は紙やwebで行う、テスト形式の検査です。管理職などの職務への適性、ストレス耐性、さらには組織への愛着を示すエンゲージメントやパーソナリティまで診断できます。

また能力検査も同様に、参加者がそれぞれの設問に回答し、社会人としての基礎能力から管理職としてのマネジメントスキルまでを判定します。

診断結果はグラフなどの形で、回答者の強みと弱みを定量的に可視化します。

3.360度フィードバック

人材アセスメントの代表的な技法に、「360度フィードバック」があります。「多面評価」とも呼ばれ、たった1人の上司などの主観で評価を決定するのではなく、同僚や部下などさまざまな評価者の視点を取り入れる技法です。

この技法は複数回の研修や、職場のメンバーへのアンケートなどを組み合わせて運用されます。研修を含めずに実施するケースもあります。

同僚や部下など複数名が評価に加われば、上司からは見えなかった同期の中でのリーダーシップや、後輩への指導力なども反映され、評価に客観性や公平性が増します。

4.グループ討議や模擬面接を通じた実践練習

アセスメント研修ではより実践的な演習も行います。その代表的なものが、グループ討議と模擬面接です。

グループ討議で参加者に役割が設定されるか否かは、研修目的や演習課題によって異なります。設定されない場合、各々がどのような役割を果たすかも評価対象となります。

模擬面接は参加者が上司役となるロールプレイング型演習です。部下の説得や指導といった課題が与えられた状況で、どう行動するかをチェックします。

5.管理職やリーダー候補者対象のシミュレーション研修

管理職やリーダーの候補人材の評価には「アセスメントセンター」という方式がよく用いられます。

これは職務を具体的に想定したシミュレーションを実施し、参加者の言動を確認する方法です。
このとき、状況設定や評価項目を自社に適したものにするのがポイントです。同じ管理職であっても、企業や業種により「変革力」を重視するか「冷静な対処力」を重視するかは異なります。アセスメントセンターを実施する前に、自社が求める人材要件を整理しておきましょう。

SBおすすめの人材アセスメント研修プラン10選

システムブレーンでは、人材アセスメントについて理解を深める研修や、評価者スキルを習得するための研修プランを多数ご用意しています。


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愛知輝義

人事コンサルタント

新任管理職強化研修
「目標管理と人事評価制度」

新任管理職向けに、目標管理制度や人事評価制度の問題解決を目的とした研修プラン。まずは組織の目標達成や部下の育成といった、管理職の役割について確認していきます。そこから公正な評価制度をつくることの重要性を学びます。


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石川公輔

人事コンサルタント
株式会社グローバルHR 代表取締役

社員のライフステージを考慮した選択制評価制度

個々の社員の事情やライフステージを考慮した「選択制評価制度」を知っていますか。選択制評価制度とは、全社で評価制度を1つに統一せず、社員が自らに合った制度を選ぶシステムです。人事コンサルタントである講師が、選択制評価制度では必須の、リスクとリターンの考え方を丁寧に伝えます。


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今井和興

マイブランド プランナー

人事評価研修

複数の自治体や病院で「人事評価研修」「評価者研修」を実施してきた講師が、公平な評価制度の重要性や、評価者の心構えについて解説します。企業の管理職向けを基本にしたプランですが、被評価者である社員向けの内容にもアレンジしていただけます。


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大橋高広

人材定着コンサルタント
職場リーダー育成コーチ

中小企業・ベンチャー企業のための『人事評価制度のつくりかた』

これまで80社以上を支援してきた人材定着コンサルタントの講師が、中小企業やベンチャー企業に特化した人事評価制度の設計方法について詳しく伝えます。講義だけでなく実際に人事評価制度の設計などのワークショップの時間を設け、より実践的なスキルが使えるようになるのが特徴です。


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大守伸次

Human Color 心理研究所 所長
人事カウンセラー

人的資産向上の心理アセスメント術
~心理測定、行動観察、育成面接のテクニック~

人事カウンセラーである講師による、心理アセスメントの技術を習得できるプラン。対象者の心理測定や行動観察から、それらを実際の人事業務に活かす方法までを身に付けましょう。また講義では職務適性検査や心理状態分析検査などの具体的な例も紹介します。


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河合太介

株式会社道(タオ) 代表取締役社長

人材を見極めるインタビュー技術を手に入れる

講師は人と組織のマネジメント研究所、「株式会社道(タオ)」の代表です。従来の人事評価では測ることができない、社員の能力や実態を把握するためのインタビュー技術を習得し、企業の人材活用能力を高めましょう。


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川野智己

転職定着マイスター(元大手人材紹介会社教育研修部長、元伊藤忠アカデミー教育研修MG

もう採用コストを無駄にしない!【早期離職防止】人材定着セミナー

「人材定着・早期離職防止」の専門家である講師が、中小企業向けに中途採用で失敗しないための秘訣を伝授します。具体的な失敗事例などを動画で学びつつ、中途採用において取り組むべき課題を浮き彫りにするプランです。


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高橋宜治

株式会社ワイズ・ステージ 会長
戦略人事・教育コンサルタント

幹部社員の為の評価マネジメント研修

戦略人事・教育コンサルタントである講師による、演習をメインとした20名未満の小規模研修プランです。経営者や管理職を対象として、実際のケースを想定した人事考課演習や目標設定の演習を行います。2日間の研修で評価マネジメントのスキルをしっかり体得できます。


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鍋田周一

PANフィールド・リサーチ所長
労働経済アナリスト・ライター

頑張れば報われる
合理的でフェア(公正)な人事・賃金制度

労働経済アナリストでライターでもある講師が、成果主義における人事評価制度の在り方を解説します。頑張れば報われる、公正な人事評価制度・賃金制度の考え方が身に付きます。


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蒔田照幸

人事コンサルタント

正しい人事評価の仕方

人事コンサルタントとして30年以上の実績がある講師が、現代の人事評価に必要な考え方と実践方法を分かりやすく説明します。年功序列から成果主義に移行するなかで、個人の能力から人間性までを正しく評価し、企業の発展につなげる方法をマスターしましょう。

アセスメント研修を企画するときの注意点

最後にアセスメント研修を企画する際に注意すべき、3つのポイントを紹介します。

注意点①研修によって達成したい目的を明確にする

まずは人材アセスメントの導入によって企業が何を得たいのか、研修の目的を明確にしなくてはなりません。

例えば「管理職が不足しているため、潜在的にマネジメント能力がある社員を抜擢したい」というような課題を明らかにし、それを解決する手段としてアセスメント研修を採用します。

目的が明確でないと、対象となる人材のどのような適性や能力を診断するべきかが曖昧になり、研修をやる意義がありません。また実施後の効果測定も難しくなります。

注意点②組織内の評価項目や手法を決める

研修実施の前に、目的に基づいたアセスメントの評価基準を定めておくことも大切です。

同じ採用選考のためのアセスメントだとしても、組織や職種によって重視される適性や能力には違いがあります。コミュニケーション面を重視して主体性や巻き込み力を測りたいのか、それとも個人の資質を重視して創造性や課題解決能力を測りたいのか、自社の目的に沿った評価項目やその測定手法を設定しましょう。

注意点③実施後の効果測定・振り返りを徹底する

研修は実施して終わりではなく、そこで得た結果を業務に活かさなくてはなりません。そのためには各社員の適性や能力の判定結果から、どのような工夫をすれば採用や人事を最適化できるかを分析する工程が重要です。

また研修で明らかになった事項は、必ず対象となる社員本人にフィードバックしましょう。客観的に診断された自己の能力を知ることは、社員が自身のキャリアの振り返りを行い、次のステップについて考える機会になります。

人材アセスメント研修は、採用活動や人員配置、人材育成を最適化するのに有効な一手です。システムブレーンではさらに詳しくアセスメントについて学べる研修プランをご用意しています。離職防止や社員のパフォーマンス向上に、これまでとは違ったアプローチで取り組みたいとお考えの担当者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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