つも美味しいコーヒーと居心地の良い空間を提供するスターバックスコーヒーのサービスは、各店舗で働く従業員によって支えられています。
本記事では、サービス業界にとどまらず多くの業種の経営者から注目される、スターバックス流の人材育成ポイントを読み解いていきましょう。
経営者をひきつけてやまないスターバックス研修の魅力
スターバックスで実施されている研修には、自律型人材を育てるために必要な要素が組み込まれています。ここではスターバックス研修の魅力を解説します。
徹底したミッション・プロミス・バリューの共有
研修で従業員に共有されるのは、スターバックスの「ミッション(存在理由)」「プロミス(目指す姿)」「バリュー(行動指針)」の3つです。
6つのプロミスとして、従業員が「前向きな変化」や「たゆみない成長」を目指すことを示しています。さらにバリューとして「相互理解」や「楽しむ力」といった行動指針を設定しています。
これらを最初にすべての従業員に浸透させることで、自ら設定した目標の達成に向かって行動し、成長していく人材の土台をつくるのです。
一律80時間 妥協のない研修制度
スターバックスでは社員だけでなくアルバイトも、最初に必ず80時間の研修を受けることが定められています。研修の最大の目的はミッションやバリューへの理解を深め、実現できる人材になることです。ブランドの歴史についても学びます。
研修の期間はおよそ2か月ほど。通常の飲食店アルバイトの研修が2〜3日であることを考えると、スターバックスが最初の教育プロセスにかけるコストとその価値が並外れているとわかるでしょう。
もちろん、コーヒーのいれ方や清掃などの実務についてもこの期間にしっかりと学びます。
採用や研修から自主性を引き出す仕組み
スターバックスの自律型人材の育成は、採用の段階から始まっています。スターバックスでは必ず応募者の価値観と、「仕事を通してどんな目標を達成したいか、どうなりたいか」を確認しています。
この時点でスターバックスと同じ価値観を持っていて、明確な目標と成長への意欲がある人なら、自ら行動し成長してくれる可能性も高くなるからです。
スターバックスには接客マニュアルがありません。具体的にどう行動すべきか本人が考え、導き出せるようになることを目指します。
さらに一定以上の経験を積んだスタッフには、アルバイトであっても積極的に後輩を指導する役割を任せます。教えられた内容を他人に教えることで、知識がしっかりと本人の中で定着するためです。
スターバックス型の研修を取り入れる3つのメリット
次に、スターバックス型の研修を取り入れることによって、企業が得られる4つのメリットを紹介します。
1.人材定着率の向上
スターバックスの行動指針の1つには「互いに敬意と思いやりをもって接する」と明記されています。
各従業員が職場で自分らしさを発揮できる風土が、他のチェーン系飲食店よりもスタッフ定着率や復職率が高いといった事実につながっています。
2.社員エンゲージメントの向上
スターバックスは、ブランドの理念や方向性を時間をかけて従業員に共有し、そのうえで業務については個々の自主性を尊重するやり方で、社内調査の従業員エンゲージメントスコアにおいて常に高い水準を保っています。
この現象の源泉として、スターバックスの人事担当者は、理念や独自の育成手法により従業員一人ひとりの「オーナーシップ」が育まれていることを挙げています。
3.顧客満足度アップ
また対・顧客という面でも、スターバックスは常にカフェ市場の顧客満足度ランキングで上位をキープしています。
これは研修で、ただ「商品」を売るのではなく、顧客に上質な「体験」を提供することの重要性を伝えているためです。従業員が接客の心地よさや清潔な店内など、顧客の総合的な満足を追求することで、ブランドに対する満足度が向上します。
4.ブランドの確立
スターバックスは国内だけで1,000以上ある店舗のうち、どこを利用しても「上質なサービスを提供している」というブランドを確立しています。これは従業員一人ひとりがブランドの体現者であるとする「インナーブランディング」が奏功しているといえるでしょう。
スターバックス型の研修では、このインナーブランディングの考え方や手法も重要なテーマの1つです。
スターバックスの研修内容
次に、スターバックスでは実際に研修でどのような内容を教えているのか、4つ解説しましょう。
①企業理念への理解と共有
まず1つ目は、企業理念の共有です。
スターバックスではミッションやプロミスによって企業として目指すべき方向を示し、バリューによって従業員一人ひとりがそれを行動に落とし込むために日々心がけるべきことを伝えます。
②コーヒーの基礎知識と淹れ方
次が実務、コーヒーの基礎知識や淹れ方についてです。
全従業員が、バリスタとしてドリンクのレシピをしっかり習得しなくてはなりません。新人バリスタの育成は、トレーナー認定を受けた先輩スタッフが担当します。トレーナーになるための育成プログラムも充実しており、人材育成のヒントになるでしょう。
③ホスピタリティや接客サービス
3つ目はホスピタリティや接客サービスです。
先述の通り、接客マニュアルはありません。研修では型通りの接客ではなく、目の前の顧客の気持ちに寄り添うホスピタリティの精神を育みます。
顧客ニーズは一人ひとり異なるため、対話を通して相手のニーズをくみ取り、行動でそれに応えることがサービスのゴールです。
④ロードマップと定期的なフィードバック、評価
さらに研修後の効果的な中長期的人材育成策も簡単に紹介しましょう。
新入社員にはまず、店舗のアシスタントストアマネージャーから始まるロードマップを明示して、キャリアの目標を持ちやすくしています。
また先輩従業員は、後輩に対する2種類のフィードバックスキルを習得します。1つは上手くいかなかった点を分析・改善する「是正」、もう1つは良かった点をさらに深掘りする「強化」です。
スターバックス出身SB講師紹介
最後に当社に登録されているスターバックス出身講師とおすすめ研修プランをご紹介します。
岩田松雄 いわたまつお
リーダーシップコンサルティング 代表
元 スターバックスコーヒージャパン 代表取締役最高経営責任者
講師は大企業や外資系企業の役員を歴任した後、ゲーム会社社長となり3期連続赤字企業を再生しました。2009年スターバックス コーヒー ジャパンのCEOに就任した経験から、企業経営における「ミッション」の重要性を説いています。現在はリーダーシップコンサルティング会社の創設者として早稲田大学ビジネススクールで講師を務めるなど、次世代リーダーの育成にも尽力しています。
講師ジャンル
|
経営哲学、 意識改革、 営業・販売・マーケティング、 危機管理・コンプライアンス・CSR、 リーダーシップ、 その他実務スキル、 モチベーション、 人材・組織マネジメント |
---|
人気の研修プラン
元スターバックスCEOが教える働く理由とリーダーの心得
主催者の声
受講者層の感動が得られた。満足度が高かった。
目黒勝道 めぐろまさみち
元 スターバックスコーヒージャパン 組織・人材開発部マネージャー
トリプル・ウィン・パートナーズ合同会社 CEO
講師は元スターバックス コーヒー ジャパン 組織・人材開発部マネージャーです。12年にわたり携わった人事のプロとして、スターバックスが誇る卓越した人材とサービスの秘密、そのマネジメント手法を伝授します。著書『スターバックスの教え』では、感動的な顧客体験を通じて顧客の心を掴む方法を紹介しています。
講師ジャンル
|
リーダーシップ、 その他ビジネストピック、 顧客満足・クレーム対応、 コミュニケーション、 人材・組織マネジメント、 モチベーション |
---|
人気の研修プラン
スターバックスで学んだ自ら動くチームの作り方~組織を強くする仕組み~
主催者の声
講演内容も分かりやすく実践しやすい内容でした。
スターバックス型研修で社員のスキルを底上げ
スターバックス型研修を導入すれば、質の高いサービスを主体的に追求していく人材を育成できます。当社でもスターバックス出身講師のプランをはじめとして、自律型人材育成のための研修プランを多数ご用意しておりますので、ご興味を持たれたご担当者様はぜひお気軽に当社にお問い合わせください!
あわせて読みたい
現場で直接、上司や先輩社員から指導を受けるOJT研修。メリット…
「タイムマネジメント」という言葉をご存じでしょうか? 今、ビジ…
「職場に活気がない」「さまざまな手を打っているのに、業務効率化…
他の記事をみる
業務外の講師への取次は対応しておりません。