提供する価値・伝えたい事
短大生の時、ハンセン病療養施設「栗生楽泉園」を訪れました。
ハンセン病元患者で詩人の桜井哲夫さんは現在83才。
17才で発病、30才で失明。ハンセン病の後遺症により指は全て無くなり、鼻も穴が二つ残るのみ、声帯も切除されました。最初は怖くて顔を真正面から見ることさえ出来ませんでした。
「チョンミは朝鮮人だから、これから辛いことがいっぱいあるだろう。自分はこの中にいる限りにおいては直接差別はされないし、辛い事はない。もし辛い事があったらいつでも遊びにおいで」と言われました。
過酷な人生を歩まれた方が、こんなにも他人を気遣う優しさを持ち合わせていられるのだろうか。その日の出会いが私の生き方を大きく変えることになりました。
内 容
詩人・桜井哲夫さんは全盲の元ハンセン病患者。ハンセン病のために差別され、家族も青春も光も奪われました。
在日韓国人である金正美さんと共に再び故郷へ帰った様子を撮った、NHK「にんげんドキュメント・津軽・故郷の光の中へ」は全国に放送され、大きな感動を呼びました。第28回放送文化基金賞テレビドキュメンタリー部門本賞受賞。平成13年度ギャクシー賞選奨(2002年2月)。番組は著書『しがまっこ溶けた〜詩人桜井哲夫との歳月』(NHK出版、2002年)とともに、現在多くの中学、高校、大学及び医療・福祉系専門学校で教材として用いられています。
講演では、この映像をビデオでご覧いただくと共に、ハラボジ(祖父)と孫の関係を結ぶに至った二人の交流をお話しいたします。「人と正面から向き合う事の大切さ」を感じていただける内容です。
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「しがまっこ」とは津軽弁で「氷」の意味である。
短大生のとき「らい療養所の詩話会に参加しませんか?」という張り紙を学内で見る。その時は「らい」という言葉さえ知らないまま、ハンセン病の人たちのなかに飛び込んだ。
そこで「哲ちゃん」こと桜井哲夫さんに出会う。最初は怖くて顔をまともに見ることさえ出来なかったが、話すうちに人柄に惹かれ、熱い交流が始まる。
そして祖父と孫ほど齢の離れた2人が恋人同士みたいに腕を組んで、桜井さんの故郷の青森や韓国のハンセン病療養所を訪れる。周囲の視線は最初冷たいが、2人はそれを温かいものに変えてしまう。そういう不思議な力がこの2人にはあるようだ。
桜井哲夫さんは、頭のなかで組み立てた言葉を職員に代筆してもらう。そうやって生まれた詩がとてもいい。
(平田俊子評:読売新聞書評より)
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