想定する対象者
児童や生徒が性的被害者となるリスクについて問題意識をお持ちの教職員の方や、保護者からの相談を受けたことのある教職員の方。
人身取引、わけても児童、生徒が性的搾取の被害者になる事例が、日本においても身近なところで発生しているにもかかわらず、教職員の方の、リスクに対する認識度は必ずしも高いとは言えない。
提供する価値・伝えたい事
日本における人身取引の実情をお話することにより、児童、生徒が被害に遭うリスクを減らし、かつ一般の方の本問題に対する認識度を上げることにより、人身取引にかかる法改正や被害者救済制度の構築に取り組む政府関係機関の動きを促進する。
内 容
「人身取引について」
人身取引という言葉は、私たちにあまりなじみの無い言葉でしょう。人身取引とはずばり「人身売買」のことです。
これならみなさんも簡単にイメージが沸くと思います。しかし、この国で人身取引が起こっていることは想像できますか?
実は、今この瞬間にも、多くの人たちがこの国で人身取引されています。
人身取引はどこか遠く貧しい国で起こっているのではなく、ここ日本でも直面している大きな社会問題なのです。では人身取引とはどのようなものなのでしょうか。
2000年に採択された国連議定書に人身取引の定義が明記されています。それによると、人身取引とは人に売春や労働をさせるために、脅迫や暴力などの手段を使って人を移動させたり監視・監禁したりすることです。被害者が児童の場合は、たとえ脅迫や暴力などの手段が使われていなくても、売春や労働目的で働かせるだけで人身取引になります。人身取引は、いまや麻薬に次ぐ世界第2の犯罪産業となっており、その被害者のほとんどが若い女性や、児童であるとことが特徴です。日本の人身取引の例としては、ウェイトレスや家政婦の仕事があると騙してフィリピン人を日本に連れてきて実際は性産業に従事させたり、アイドルになれると騙して日本人の幼いの女の子を児童ポルノに出演させたりするものです。
人身取引に対する日本の取り組みは大変遅れています。毎年、米国国務省が発表する、世界186カ国・地域の政府の人身取引対策についての評価報告書では、対策が十分に取れていないとして、韓国や台湾より下のランクにランク付けされました。対応が遅れている理由の一つとして、人身取引の被害者が、自分は犯罪を犯しているのだから助けを求めることはできないと思い込んでいたり、日頃の厳しい労働環境から肉体的にも精神的に弱ってしまって声を上げられないことが挙げられます。そこで私は、被害者に接する可能性が最も大きい警察、医療関係の方々をはじめ、被害者が身近にいるかもしれない一般市民のみなさまが被害者のSOSを見落とさないように、8年間の被害者支援活動経験で得た被害者救出に必要な情報を共有させて頂きます。ひとりでも多くの被害者を発見することは、危険な人物(加害者)の逮捕にも結びつき、安全な地域作りにつながります。
日本で唯一の反人身取引団体のポラリスが対応してきた様々な人身取引の事例と、ポラリスしか聞くことが出来なかった被害者の生の声をを紹介するともに、みなさんと一緒に人身取引問題について考え、理解を深めることが目標です。
「人身取引の被害者にならないために」
講演テーマ「人身取引について」でご説明したように、人身取引は今の日本にも多く存在し、その対策は十分とは言えません。つまり、身近にいる若い女性や子どもたちがいつ人身取引の被害者になってもおかしくないという事です。虐待に耐えられず家出をした少女が、ボーイフレンドに「泊めてやる代わりに稼いでこい」と売春を強要されたり、女性が「高時給で簡単なお仕事だからやってみない?」と嘘の言葉に騙された結果、そのまま売春組織に売り飛ばされたりするケー
ス。毎日どこかで起きているようなこんな事件も、人身取引です。また、生活に困った親が簡単に稼ぎをを得るために自分の子どもを、児童ポルノに出演させたりする例もあります。老若男女関係なく、すべての日本人が人身取引の危険と隣り合わせなのです。
一度、被害者になってしまうと、そこから抜け出すのは容易ではありません。本人に罪の意識があることや、暴力を受けたり薬物漬けにされたりすることにより、心身ともに深く傷つき、新しい人生に挑戦する気力自体を失ってしまうのです。また、インターネットにアップロードされたわいせつ画像・動画は拡散され続け、半永久的にインターネット上から消えることはありません。児童ポルノの被害者は、一生誰かに自分のあわれな姿を搾取されるという運命から逃れられず、苦しみ続けます。わたしは、自分が実際に接してきた被害者の少女たちや反人身取引活動の中で得た児童ポルノ関連の情報・知識から、これ以上この国から被害者を生み出さないためにはどうしたらいいか、未然に防ぐ策を具体的にお話をし
ます。
「人身取引の加害者にならないために」
人身取引が発生し続ける原因の一つは、言うまでもなく人身取引に対する需要があるからです。売買春に関してはいろいろ意見があることは十分承知しておりますし、あえて講演のテーマには取り上げるつもりはありません。性産業が溢れている日本にいると、性を買うことに何の疑問を持たないかもしれません。自分が買春することはそこで働く女性のためにもなる、くらいの意見をお持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、自分が売春する相手が人身取引の被害者である可能性があることについて一緒に考えていただきたいのです。また、性サービスの普及だけでなく、若者の顔を合わせてのコミュニケーションを嫌う傾向や、濃密な人間関係を避ける傾向が、人身取引の加害者になる理由のひとつかもしれないと考えています。つまり、健康で生産的な人間関係が増えれば、加害者になることを回避できるのではないかと考えています。これらの問題提起を、人身取引の加害者になってしまう可能性のある方々に行っていきたいと思っています。
「日本国内で身近に起きている人身取引に巻き込まれない為に」
海外の問題だと思われがちの、人が人を売り買いする人身取引。現代の奴隷制とも言われるこの問題は、実は日本でもずっと昔から行われています。
主な人身取引とは
(1)性的搾取、(2)労働搾取、(3)臓器売買、などを指しますが、講演では、日本国内で現在ニュースとして報道されているものや、新しく起きた人身取引の事件、それに関連する社会問題、また最新の被害者の情報や加害者象など分析し、講演先の地域に密着した事例と共に、子どもや地域で取り組める防止策をお話しします。
根拠・関連する活動歴
・人身取引撲滅運動の本場である米国で活動した経験、日本において8年間一貫して現場で関わってきた経験がある。
【活動歴】
<受賞歴>
・2008年 ウィスコンシン大学名誉卒業生賞受賞
・2011年「日本を立て直す100人」(アエラ)の一人に選ばれる
<TV出演>
NHK「Bizスポワイド」
NHK「おはよう日本」
TBS「Nスタ」
<記事掲載>
読売新聞「児童ポルノ:ネットの誘惑」
Asian Politics&Policy
TBS NHK 「人身売買問題に関するシンポが開催される」
The JAPAN Time
「A light of hope for abused children How the Polaris Project helped police score a rare victory against sexual predators」
神奈川新聞「児童ポルノ規制強化訴えシンポ」
産経新聞「急成長する援デリのうまみと落とし穴」
週刊SPA「私は娘の裸を売りました」
業務外の講師への取次は対応しておりません。