幸福に暮らすための高齢者の住まいのあり方

上田博司
うえだひろし

ものづくり・生産・製造

上田博司
うえだひろし

(一社)アクティブエイジング協会副代表理事 ジェロントロジスト シニアビジネスシンクロナイザー
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想定する対象者

シニアの住環境やコミュニティーに関心のある方、その他一般

提供する価値・伝えたい事

高齢期を幸福に暮らすための住まいのあり方について、ジェロントロジストの立場から様々な角度で話題を提供しながらお話しします。

内 容

時代とともに私たちの生活スタイルや社会環境が変わってきています。高齢者人口が増加していくなかで単身の高齢者だけの世帯が増加していく反面、かつて一般的であった三世代の同居世帯の割合は年々減少していき、地域における高齢者の住まいや生活の重要性が増すなか、そのあり方が問われてきています。
自分の住み慣れた家や地域でできるだけ長く住み続ける“エイジング・イン・プレイス”、また「終の棲家」としての住まいやそれを取り巻く環境のあり方は、年齢に伴う心身の変化や社会変化に合わせた調整が必要になってきます。
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(詳細)
 人口の高齢化によって、かつて一般的だった三世帯同居の割合が減少する一方、単身の高齢者だけの世帯が増加し、家族を軸としたコミュニティのあり方は大きく変わってきています。自分の住み慣れた家や地域でできるだけ長く住み続けること、あるいは「終の棲家」をめぐっては自らの心身の変化や社会状況に合わせて考えなくてなりません。
 持ち家率が高いなか、高齢者の住まいに関する満足度の調査では8割近くの人が「まあ満足」「満足」と答えていますが、近年は減少傾向が見られます。不満な点として「住宅が古くなったりいたんだりしている」「住宅の構造や設備が使いにくい」「家賃、税金、住宅維持費等の経済的負担」などがあげられ、リフォーム(修繕、補強、改装、増築、減築などの改築)、住み替え(同地域内、移住)などの選択肢が考えられます。
 政府は、大都市における介護施設等の不足や地方創生の一環として都市部の高齢者の地方への移住を促していますが、高齢者の移住希望者は多くなく、老後の選択肢として殆んどが「現在の地域に住み続けたい」と回答しています。
 自宅で最期まで療養することは難しいのが現状です。高齢者の単独世帯の増加や介護する家族の問題もありますが、居住環境が整っていないこともあげられます。まずは、日々の生活における整理整頓、断捨離、生前整理について、元気なうちから取り組んだり、家庭内の事故防止対策をしたり、個人でできることから始めなくてなりません。
 さらに住まいと生活を良好に維持していくためには行政による支援、家族・親戚、コミュニティとの良好なかかわりを保つことが欠かせません。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」(家電制御、健康管理など)を導入したり、見守り・安否確認サービス、買い物支援サービスを受けたりするなど、地域で長く安心かつ快適に生活できるための社会制度の充実が求められています。
 ちょっとした目配りや工夫を始めることで住まいを快適にできます。現在は快適と思える「住まい」が、将来も自分の生活に合ったものとして維持できなくなることも考慮に入れ、老後をいかに過ごすか考えることが大切です。

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