食べ物を変えれば脳が変わる

生田 哲
いくたさとし

健康

生田 哲
いくたさとし

薬学博士、作家、科学ジャーナリスト、元イリノイ工科大学助教授
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想定する対象者

子どもを持つ主婦。働き盛りの男性と女性。それから、自分の健康を考えたり、子どもや孫の健康を考えている方々に、食べ物で脳の働きが変わるという朗報をお伝えする。
知能や記憶力は頭のよさ、気分は性格によるもので、遺伝子によって決定づけられていると思われがちである。だが、これは大きな誤りであると思う。あなたの知能、記憶力、気分はいくつになっても改善できるのである。
 脳が快適にはたらけば、頭脳明晰となり、知能が高まる。頭がスッキリし、気分がよくなれば、性格だって明るくなるに違いない。親切にも社交的にもなるだろう。
 そのためには、食事を見直すことだ。わたしたちは、口にする食べ物によってできている。いい方向にも悪い方向にも「食べ物を変えれば脳が変わる」のである。

提供する価値・伝えたい事

人体のてっぺんに乗っているサッカーボールのような頭。その中に詰まっているのが豆腐のような臓器が、脳だ。この脳が働くことで、心が発生する。その心を具体化したものが、言葉であり、言葉を実践したものが行動である。だから、脳は私たちの、心、言葉、行動、すなわち、人生を決める。脳は人生そのものであるから、誰にとっても大事である。
 つい最近まで、脳は変わらないものと信じられてきたが、それが間違いで、脳はどんどん変わることが明らかとなった。100年間も固く信じられてきた脳科学の常識が変わったのだ。もう、頭の悪さを先祖のせいにはできない。
 わたしたちは、口にする食べ物によってできている。いい方向にも悪い方向にも「食べ物を変えれば脳が変わる」のである。
 その例を3つ紹介する。
 (a) 子供のIQが10ポイントもアップ!
マルチビタミンとマルチミネラルの摂取によって、子どもたちのIQが高まった。
(b) 胎児や幼児の脳を育てるDHA
胎児や幼児の脳の発達には必須脂肪酸のDHAが欠かせないのだが、実際には不足ぎみである。ならば、もし妊婦と授乳期の母親がDHAを摂取すれば、子供の脳はこれまでより健やかに発達すると予測できる。この仮説は実験によって証明された。
なお、DHAはうつの予防、アルツハイマー病の予防になることが報告されている。
(c) 白砂糖の食べ過ぎは脳に悪い
子どもたちを白砂糖の消費量別に5群に分けてIQをくらべたところ、白砂糖の消費量のいちばん高い群はいちばん低い群よりもIQが25パーセントも低かったことが報告されている。

内 容

脳は何でできているのだろう。あなたが、毎日、食べる食べ物からできている。脳を根本から強くするおいしい習慣、はたまた脳に悪い、おいしい習慣もある。
 子どものIQが食べ物によって10ポイントもアップするばかりではない。いくつになっても知能は高まる。脳力を高めるDHA(ドコサヘキサエン酸)。DHAの働きを妨げるトランス脂肪酸。それから、やる気のない、うつな気分を撃退する栄養素も紹介しましょう。

脳にとって大切な栄養素
 わたしたちは、何かを考えたり、喜んだり、悲しんだり、痛みを感じたりしながら日常をすごす。こんなとき、脳内の神経ネットワークをかけめぐっているのが伝達物質(神経伝達物質)だ。
 つまり、脳が働くとは、ある神経細胞から放出された伝達物質を、別の神経細胞が受け取ることなのである。これを人と人とのコミュニケーションにたとえれば、ある神経細胞から伝達物質が放出されるのは「話す」に相当し、放出された伝達物質を別の神経細胞が受け取るのは「聞く」に相当する。脳が快適に働くには、神経細胞と神経細胞のコミュニケーションが円滑でなければならない。
 それでは、脳の働きをよくするには、どんな栄養素を食べ物から摂取すればいいのだろう。
 まず、脳のエネルギー源となる糖類、神経細胞をつくる原料であるタンパク質や脂肪、伝達物質をつくるための原料となるアミノ酸が必要だ。
 だが、これだけでは不十分だ。糖類をエネルギーに、タンパク質や脂肪を神経細胞に、アミノ酸を伝達物質にモデルチェンジするのは、タンパク質でできた酵素である。酵素は凄い実力の持ち主である。通常の化学反応は、酸や塩基を加え、高温に加熱してようやく進むものが多いが、酵素はそれを37度という温和な条件で、しかも猛スピードで進めてくれるのだ。
 そんな凄腕の酵素にしても、ビタミンやミネラルといった助け(補因子と呼んでいる)がなければ、実力を発揮できない。

 脳の働きをよくする食べ物とは、脳にエネルギーを安定的に提供し、神経細胞間のコミュニケーションをよくする食べ物のことである。反対に、脳の働きを悪くする食べ物とは、脳へのエネルギー供給を不安定にし、神経細胞間のコミュニケーションを悪くする食べ物のことだ。
 脳によい食べ物を積極的に摂取する一方で、脳に悪い食べ物をできるだけ摂取しないように心がけて実践するのが、あなたの脳をフル回転させ、本来の実力を発揮するための本筋であると思う。そうなれば、冒頭にかかげた問いに、自信を持って「イエス」と答えることができるはずである。

根拠・関連する活動歴

かつてはアメリカの大学や研究所で、遺伝子の構造やドラッグデザインをテーマに研究生活を送ったが、現在は、日本で精神や心の働きを物質レベルで解析し、脳と身体を最適状態にする栄養素を研究。ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸、薬草などを摂取し、みずから分子栄養学を実践する。

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