想定する対象者
保育士・幼稚園教諭・学校教諭など、子どもたちの成長に日常的に関わる職種の方
提供する価値・伝えたい事
家庭で虐待を受けていたり、適切に養育されていない子どもたちに、保育・教育現場ではどのように対応したらよいでしょうか。
被虐待児は集団での適応に困難を抱え、発達障害等と誤解されることも少なくありません。「普通の家庭」だけを想定していると、虐待を見逃し、子どもを追い詰めてしまうこともあります。
虐待の重症度の見極め、虐待が起こる要因、子どもを守る対応、関係機関との連携等について考えます。
内 容
(1)保育・教育現場でで表面化する児童虐待問題
<子どもの問題>
・虐待を受けている様子が見られる(傷、アザ、極端な痩せ、不潔…)
・適応、問題行動(不登校、いじめ、非行、リストカット、摂食障害…)
※子ども自らSOSを発することはほとんどない
<親の問題>
・手続き関係が滞る、約束を守れない
・園・学校や教師に対するクレーム
(2)虐待の定義
・『児童虐待の防止等に関する法律』で示される定義と、目に見えない「心理的ネグレクト」
(3)虐待の重症度の見極め
・児童相談所や子ども家庭支援センター等への通告・相談の基準
・客観的な事実・正確な情報を伝えること(傷・アザの場所・頻度、体重…)
(4)虐待の原因
・虐待は「普通の家庭」では起こりえない
・虐待の原因は、愛着関係の不成立
・虐待する(=愛着関係が成立しない)親の要因…発達障害(主に軽度知的能力障害)および精神障害(主に統合失調症)
○「愛着」とは?
愛着関係の土台:①共感、感覚・感情の共有、②共通理解の確認などの繰り返しによる、互いの「存在」の確認。
①親が子の表情を読み取り、欲求を充足させる→子が満足する→それを見た親が嬉しそうにする→子は安心する
②生きていくための規範を親が教える→子が守る→親がほめる→子は安心する
(5)被虐待児の不適応問題
・反応性愛着障害
・親から倫理規範を教わっていないために集団生活に適応できない
・小学生までは発達障害に誤診・誤解されやすい
・多くは小学校高学年頃には自力で適応するが、緊張感は高い
・中学生以降は精神疾患に誤診・誤解されやすい
・虐待の重症度と子どもの適応度は必ずしも連動しない
・親の陳述だけを信じると、見立てを誤る
・誤解の背景…「普通の家庭」を前提とした、教育者・支援者側のフィルター
(6)教育現場での対応と関係機関との連携
・子どもは虐待を語らないかもしれないが、その可能性を念頭に接する
・虐待する親への不適切な指導・助言はNG→子どもを直接救う
・基本的な生活習慣を知らない→教える
・気持ちを語る言葉を知らない→気持ちを引き出して、名前を付ける
・一人でも理解者、“気にかけてくれている人”がいれば、子どもは救われる
根拠・関連する活動歴
・被虐待者のカウンセリング
・福祉事務所での「精神保健福祉支援員」
・「児童虐待防止 支援者のための講座」事務局
業務外の講師への取次は対応しておりません。