内 容
1.労働組合の安全衛生に対する取り組みは、会社の行う安全衛生活動のチェックと安全衛生委員会の場で、
その充実を提言することが中心であった。しかし、それだけでは真に組合員の安全・健康は守れない。
業務の高度化・多様化及び生産性向上は、労働者の能力伸長のペースを上回り、
個人レベルを中心とする「災害防止」「健康障害阻止」との乖離が起きている。
2.労働組合は、「人間尊重」の活動を推進している。組合員の幸福を根こそぎ奪い取るのが労働災害であり、
健康障害である。予防するには、企業との協働活動が求められるとともに、そのための知識も必要となる。
3.労働安全衛生法の目的は、作業者の職場環境を改善し、より安全・健康を確保する、ことである。
その実現のため、事業者等(管理監督者はもちろん作業リーダーも含む)は
「災害防止に必要な最低基準を守るだけでなく、各々立場で災害防止」に努めなければならない。
同時に、労働組合も参画する安全衛生委員会の充実が求められる。
4.災害は、「不安全な状態と不安全な人の行動で発生する」が、
なんと作業者のミス・エラー(ヒューマンエラー)によるものが、全災害の90%以上にのぼる。
災害当事者に聞くと、①危険を知らなかった、②危険を知っていたが、近道や省略行為をしてしまった、
③勘違いしてしまった、などと言う。
5.誰の心の中にも、ヒューマンエラーを引き起こす魔物が潜んでいる。その魔物対策として、
作業前KYや安全パトロールなどの災害防止活動を行っているが、
「言われたからやっている」といった形だけ(形骸化)になっていないか?を点検しなければならない。
6.万一、重大災害や疾病が発生すると、事業者等に4つの責任(刑事責任:作業を指示した者から高い役職
者までが実刑、民事責任:1億5千万円を超える賠償金、行政責任:操業停止など、
社会的責任:企業イメージに影響)が問われることがある。
なお、安衛法は両罰規定であることから、その違反当事者と法人または人(ラインの長など)が処罰される。
→事例紹介
7.最近、業務上災害や疾病について「安全配慮義務を履行していない」との民事訴訟が増えている(和解が多い)。
履行したといえるためには、法を守るだけではなく、より安全・健康を確保するための教育・訓練や危険予知活動、
リスクアセスメントなどの取組みが重要である。→事例紹介
8.職場での災害防止活動を永続させるため、「指摘する管理者、指摘される作業者」を打破する必要がある。
すべての活動にリスクアセスメントを加える「危険の数値化(視える化)する方法」を提案する。→実習
9.リスクアセスメントを加えることで、危険性・有害性が視える化される。
危険度を具体的数値で示すと、管理者・作業者ともに理解しやすくなり共有化できる。
ケガをしたいと思う作業者は一人もいない。危険が見えれば管理者として指導・対策もしやすい。
10.災害防止活動は、管理側からの押し付けでは継続しにくい。
継続させるために大切なのは「レベルは低くても、作業者で考えた活動」である。
管理者は、目標を明示し、その目標達成に向けた活動を支援する。
11.災害件数は、少なくなっているが、メンタル不調による労災認定は、右肩上がりである。
同時に、民事訴訟(安全健康配慮義務違反)も増えてきている。→事例紹介
12.会社から災害・疾病がなくなれば刑事・民事責任などは問われることがない。
安全・安心して働ける職場は、活き活きしており生産性はもちろん、良品作りにも繋がる。
まさに安全衛生問題は、経営の礎である。
13.労働組合の願いでもある「安全・安心職場」へ。主体性をもって安全活動を推進しよう。
業務外の講師への取次は対応しておりません。