危険物・毒劇物・高圧ガス事故
~発生原因と日頃の安全対策~

田邉康雄
たなべやすお

安全管理・労働災害

田邉康雄
たなべやすお

労働安全コンサルタント 生涯現役エンジニア塾 塾長
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想定する対象者

化学薬品や石油・天然ガスを使って合成樹脂原料、プラスチック原料、プラスチック成型品、LSI化工用化学薬品、半導体素材、光ファイバー素材、電気分解製品、医薬中間体、医薬品、食品飲料どを製造している工場の管理職から一般従業員。
三菱化学(鹿島)、三井化学(下関)、森田化学(大阪)、日本カーリット(横浜)などの爆発・火災が相次いでいる。
作業員の危険を感知する作業員の能力の向上が大きな課題。
さらに設備が当初設置された際の設計思想が伝承されていないことに課題が残っている。これは作業員の問題ではなくて管理者(スタッフ)の課題。

提供する価値・伝えたい事

リスクは、これを認識するだけで低減する。これを基本コンセプトとする。危ないと感じれば、人間でも動物でも身を翻すもの。感受性は訓練で向上する。逆に訓練しないと低下する。
感受性向上を目指した訓練の方法とその底流に流れるコンセプトを具体的に伝授。(詳細は、下記内容欄を参照)
この講演を聴いた管理者は、設備安全の重要性を従来にも増して認識し、一般従業員は、うっかりミスなど行動災害撲滅運動の重要性を従来にも増して認識する。結果として化学工場の災害発生リスクを低減する。

あり得ないと思っている事態が3つ重なると、重大災害が発生する。あり得ないという想定が原理的にあり得ないのか、そうではなくて単に確率的にあり得ないと思っているのかそれを明確にする。原理的な想定を行う際は、化学プラントを設計したエンジニアの深い洞察力が必要となる。「運がわるいことには・・・」という言葉は安全の世界では日常茶飯事。「たまたま・・・した」、「それにたまたま・・・が重なった」、そして「運が悪いことには、たまたま・・・だった」というシナリオが大災害をもたらす。繰り返す。原理的にはあり得るが、確率的にあり得ないと思っていることが3つ重なると大災害。これは講演で好評を博している田辺説。

内 容

○危険感度の向上
一日の作業の前に実施する、いわゆるKY(危険予知)は、単にその日の作業における危険な作業、危険な工程(機械・設備)を認識させるだけに終わっているケースが大半。これに対して本格的なKYは、一般的な作業と工程を題材に選んで、この場における災害発生の可能性を発見することに特徴があります。講演においてはそのやり方の一端を開示して正しいKYの普及を行う。

○既存概念の打破
一方、ハインリッヒの法則と呼ばれる経験則がある。1件の重大災害の裏には、29件の軽度災害があり、300件のヒヤリハットが存在するという説。しかしこの説は今や通用しない。新たな説(田辺説)を説明する。この説のベースとなるコンセプトは、大きな災害と小さな災害の発生原因は異なるので、ハインリッヒの法則のように十羽一絡げに論ずることは意味が大きくはないというもの。

○慣れの排除
生物は徐々に変化する環境へは、固体(自分自身)を変化させて適応するという、優れた能力をもっている。
この能力がある故に、「作業者やスタッフは「変化する作業環境」へ適応する能力が優れている。故に「変化する操作条件」への適応性が優れている。
この適応性は裏を返せば以下の通り、危険源ともなり得る。
毎日同じ作業をやっていても少しずつ作業内容を変化させていることに作業者自身は気がつかない。そして危険と安全の限界に達した際に大きな事故(災害)が発生する。これを防止するには、新鮮な目で作業と工程(機械・設備)を観察する必要がある。新鮮な目の例としては、その作業に関係のない事務(文系)の従業員の目も貴重。もちろん時には外部の労働安全衛生専門家 (コンサルタント)の目で見てもらうことも必要。

○コントロール室はパソコンゲーム室
操作員に対してパソコン上に表示されている弁へ案内して貰うことを依頼した。そしてその操作員に追従して弁の場所に辿りついた。首尾よくたどり着いたものの、辿り着くまでに右往左往した。こんな状況が一般的である。緊急事態対応が間に合わない。

○マネジメントシステム構築の重要性
わが国の労災が大きくは減少しない事実に危機感を感じた厚生労働省は、英国で大きな成果を上げた労働安全衛生マネジメントシステムの導入を推奨している。そこで成果の上がった英国のOHSAS18001規格を概説する。簡単に言うと、危険源を見つけて危険の程度を数字化し、危険の大きい危険源から潰していくという手法である。

○技術伝承の重要性
先駆者はよく考えてプラントを設計した。よく考えて作業手順を考案した。これをよく伝承して逸脱しないようにすることが、安全の基本。貴重な先駆者から技術伝承をしてもらおう。

根拠・関連する活動歴

○化学工場の経験
三菱化学において合成繊維/樹脂原料モノマー(14BG/THF)合成プラントを設計建設した際、部下に対して「安全な作業や工程は何一つない」「危ないと感じた工程(機械・設備)に置いて風上から作業をせよ」と逆説的な指導をした。その成果がプラント完成後17年間無災害という記録をつくった。1件の小さな行動災害があったものの、その後も無災害を継続している。

○危険源発見の経験
労働安全コンサルタントとして、化学工場30箇所の安全衛生診断を実施した。診断経験を通じて、独自の危険源の発見方法を確立した。

○危険物、劇毒物、並びに高圧ガスに関する免許
講師は以下を有している。危険物取扱者(甲種)、劇物毒物取扱責任者、高圧ガス製造保安責任者(甲種化学/甲種機械)、高圧ガス販売責任者(一種)。

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